11月2日、富士通のPC事業がレノボとの合弁企業の傘下に入るという発表が行なわれ、ASCII.jpでも発表会レポートを掲載している。
筆者が昔、月刊アスキーに在籍していたころ、富士通のPC担当をしていた時期がある。まだ、デスクトップが「DESKPOWER」、ノートPCが「BIBLO」と呼ばれていたころで、10年ほど前だろうか。
その当時の富士通PCのイメージは“初心者にとにかく親切”だった。当時、PCのマニュアルもオンライン化、ソフトウェア化に移行し、薄型化が進んでいたころ。富士通だけは分厚い紙のマニュアルを同梱し、PC初心者にもわかりやすいように配慮していた。
また、プリインストールソフトとしてランチャーアプリがインストールされており、「何がしたいのか」を選ぶだけで該当するソフトが起動したし、そこから使い方のQ&Aも参照できた。
サポートなども手厚く、おそらく量販店店頭ではこのわかりやすさは大きなセールスポイントであったと思う。
ただ、近年はPCをウェブで買うユーザーが多くなり、なかなかこのアピールポイントを訴求するのは難しくなってきたのかもしれない。
筆者としては、富士通PCの魅力は親切なところだけではなく、いろいろ画期的な製品をリリースしてきた点でもある。
たとえば、2008年発売の「FMV-BIBLO NW」は、キーボードの上、ディスプレーの手前に小さいタッチパネルディスプレーを搭載。オーディオ再生や画像表示、ペイントソフトなどのタッチ操作が可能だった。また、テレビチューナーを内蔵し、テレビやDVDの表示もできた。
また、同じく2008年に「FMVらくらくパソコン」としてシニア/初心者向けPCを発売。キーボードが色分けされており、使用頻度の高いキーが目立つようになっていた。
そのほかにもいろいろあるのだが、個人的にこれぞ富士通PCといえる代表格は、超小型ノートPCの「FMV-BIBLO LOOX」だ。
PHS通信モジュールを内蔵した画期的ノートPC
超小型ノートPCといえば、東芝が1996年にリリースした「Libretto」がある。当時世界最小・最軽量のノートPCとして話題を集めた。
超小型ノートPC=Librettoという認知が広がりはじめた時代だが、そこから遅れること4年。2000年に登場したLOOXの初代モデル(LOOX S)は、PHSの通信モジュールを内蔵し、単体でインターネットの利用が可能だった。
無線LANがまだそれほど一般的ではない時代。超小型PCで無線通信機能を内蔵するというのはかなり画期的だった。