ウェットタイヤがハマり予選は4番手
SUPER GT唯一の海外戦である、タイ・ブリーラム。この街のサッカースタジアムに隣接されてチャーン国際サーキットで10月7~8日に開催された。
土曜日の予選は朝から土砂降りのスコール。今年でタイ戦は3年目だが、ここまでのスコールは初めて。しかし、すぐ止んでは降り止んでは降りを繰り返すので、練習走行では最初はウェット、途中からドライとコンディションが目まぐるしく変化していく。路面が乾き始めたのを狙ってスリックタイヤで走った谷口選手は「1'33.054」を記録して2番手タイムで練習走行は終了。
午後からの予選1回目は片岡選手が担当。スコールで再び路面が濡れたのでウェットタイヤでスタートする。2周目に「1'42.521」を記録し、5周目には「1'40.825」と記録を更新するも、ライバル勢の速さもあって徐々に順位が下がっていく。それでは10番手に踏み留まり、1回目を通過した。
予選2回目は谷口選手がアタック。路面は濡れていたがすぐ乾くだろうとスリックで勝負に出たものの、まったく乾く気配がなくこの作戦は失敗に終わる。すぐにウェットタイヤにチェンジして、再アタックすると「1'39.641」を出す。ライバルたちの記録更新もあり、順位は5位まで下がったものの、ラストのアタックで「1'39.531」を刻み、なんと50kgのウェイトハンデを背負いながら4位で予選を終了した。
大混乱のスタートを制して2位表彰台!
決勝日も朝から雨が降ったり止んだりだったが、昼過ぎにはすっかり晴れて路面も完全に乾いていた。だが、レーススタート直前、グリッドウォーク中に激しいスコールがサーキットを襲った。すぐに止んだのだが、サーキットの一部の川ができるほどの雨量で、各チームはスリックで行くかウェットで行くか、選択を迫られていた。
スリックを履いていたミクAMGは、スタートギリギリのタイミングでウェットに交換。スタートドライバーの片岡選手に前半の戦いは託された。決勝はスコールのため、セーフティーカーの先導走行でスタート。3周目にセーフティーカーが外れ、本格的にレースが開幕。だが、この3周目にタイヤチョイスの明暗が分れた。スリックで勝負に出たチームは思うように速度が出せずに、置いていかれてしまう。さらに、ミクAMGの最大のライバルとみられていた25号車(VivaC 86 MC)はペースが上げられずにラップダウン(周回遅れ)されてしまったほどだった。
片岡選手はセーフティーカー明けの3周目に前を走る55号車(ARTA BMW M6 GT3)をパス、すぐに3位に上昇する。それからは2位を走る51号車(JMS P.MU LMcorsa RC F GT3)に追いつき、オーバーテイクチャンスを伺う。51号車は早い段階でタイヤが厳しくなってきたようで、10周目に後退し、ミクAMGは2番手に上がった。
レースが10周も過ぎたあたりから路面は急速に乾き始め、それまで我慢していたスリックスタート組が息を吹き返して、ウェット組とペースが逆転する。もちろん、ミクAMGもペースダウンは否めなかったが、片岡選手がなんとか20周まで粘ってピットイン。ドライバーは谷口選手へ、タイヤはスリックへとチェンジして、再びコースに戻った。
なお、同時にピットインした65号車(LEON CVSTOS AMG)はピット作業時のトラブルで時間がかかってしまい、さらにこのトラブルが原因でドライブスルーペナルティーを課せられ、勝負権を失ってしまった。
アウトラップで14位まで落ちたものの、25周目に10位、30周目に8位と徐々に順位を上げていく。33周目にはそれまでトップを走っていた21号車(Hitotsuyama Audi R8 LMS)をパスして6番手まで上がった。全車ピットインが終わった42周目には2位まで上がってきており、残すは前を走る51号車のみとなった。しかし、その差は10秒。谷口選手もベストラップを出して51号車を追い詰めていくが、最終的には5秒差まで縮まったものの追いつくことができず、2位でゴールとなった。
これによりシリーズランキングは65ポイントとなり、再びトップに返り咲いた。2位以下とは9ポイントの差がついており、追われる側として最終戦もてぎに挑む。だがランキング2位の51号車は優勝回数2回、ミクAMGは1回。同点の場合は優勝回数が多いほうがチャンピオンなので、最後まで油断はできない。もてぎで2位以上になれば自力でチャンピオンだが、それ以外だとほかのライバルの動向次第となる。
現時点でチャンピオンの権利を残しているのはミクAMG以外だと、51号車、65号車、55号車の3台。シンプルにこの3台の前でゴールできればチャンピオンなので、最終戦もてぎではなんとしてでもライバルたちの前に出たいところだ。

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