補修キットも入っていて至れり尽くせり
前回お伝えしたとおり、沖縄で買うのを諦めたカモフラージュネットをネットで発見してしまい、我慢できずにポチってしまいました。CAMOUFLAGE SCREENING SYSTEM-WOODLAND RADAR SCATTERING TYPE IVという、1990年代の新型カモフラージュネットです。
このネット、なんと箱入りの新品で、外箱は軍に納入されたときのまま。開けてみたら中身は未開封のビニール袋に入れられていて、本当にまっさらの新品でした。
前に取り上げた米軍のハイドレーションシステムのときもそうだったんですけど、新品となると開けるのがもったいなくなってしまうのがコレクター気質。使う用にもうひとつ買って、こっちは新品のまま保存しておきたくなります。なんせ中高生のころはコミックスを買うときに読む用と読む用の予備と保存用の3冊を買っていたぐらいですから。でもハイドレーションブラダーやコミックスは小さいし安いから複数買いもできますが、さすがにこんなデカい物をもうひとつ買うわけにはいきません。金額的にもカミさんから怒られる案件になってしまうので、ここはガマンです。
そんなわけで、開けようかなどうしようかなと迷っていたんですが、開けないで置いておいても仕方ないし記事にもならないので、意を決して開封することにしました。それほどのことじゃないだろと思われるかもしれないですが、もう二度と新品なんて手に入らないかもしれないと思うとなかなか踏ん切りがつかなかったのです。
というわけで意を決してビニール袋を開封! ネットはキャリーケースに入れられた状態で入っていました。カバーを留めているベルトや、ネットを固定しているベルトを外してネットを持ち上げてみたら、隙間からREPAIR KIT FOR CAMOUFLAGE SCREENING SYSTEM WOODLAND AND RADAR SCATTERING TYPE IVと書かれたバッグが出てきました。名称からすると補修キットのようです。
持ち上げたネットはかなりなズッシリ感。テニスのネットとかもそうですけど、網状の物って軽く見えるのに結構重いですよね。これは全部で24kg近くあるので重いのも当然なんですが、見た目よりもだいぶ重く感じました。
補修キットの袋に入っていたのは、修理用ネット、大量の結束バンド、そしてマニュアル。修理用ネットは25フィート――約7.6m角の物が1枚です。濃いグリーンの結束バンドは300本もありました。何に使うんだろうと思ったんですが、マニュアルによるとネットが裂けてしまったときはこの結束バンドで裂け目をふさぎ、広範囲に破れてしまったときは修理用ネットをカットして結束バンドで括り付けるとのことです。元々電子工作好きなワタシとしては、結束バンドというとケーブルをまとめるためのアイテムっていう印象が強いんですが、今どきはいろんなことに使われてるんですよね。米軍で使われているプラスチック製の使い捨て手錠も結束バンドの応用品ですし。
ところでこの結束バンド、英語ではcable tieだと思うんですけど、マニュアルではTIEDOWN STRAPSってなっています。縛り付けたり固定したりするためのストラップって感じですかね。そりゃケーブルを束ねるために使うわけじゃないですもんね。マニュアルの最後に用語集があって、そこにCable Tie:Synonymous with strap, tiedown and tie wrap.と、同義語である旨が書かれていました。
そういえばマニュアルを見ていて気付いたことがもうひとつ。マニュアルではこのネットのことをULCANSと呼んでいるのです。何でだろうと思って表紙を見てみたら、ULTRALIGHTWEIGHT CAMOUFLAGE NET SYSTEM(ULCANS)と書かれていました。なんとまさかの超軽量。こんなに重たい物を超軽量と言ってしまうあたり、さすが米軍です。それとも本来ならもっと重くなるのを軽量化できたってことなのかなー。
ハンヴィーには2セット必要です
カモフラージュネットは六角形の物が1枚と菱形の物が1枚、合計2枚入っていました。大きさは六角形の物が8.5m×9.8m。菱形が4.9m×8.5m。それらを複数組み合わせることでカバーしたい物に形や大きさを合わせるとのことで、マニュアルの概要説明のページにはハンヴィーや戦車、テントなどをカバーするのに必要な枚数がイラスト入りで載っていました。驚いたのはハンヴィーは六角形1枚に菱形を2枚くっ付けるため2セット必要だということ。新品は保存用にしてもう1セット欲しいどころか、そもそも2つ必要だとは……。
ただ、ハンヴィーのサイズは幅2.27m×長さ4.97mで、高さ2.06mなので六角形1枚で十分隠せるし、なんなら菱形だけでも大半をカバーできてしまいます。組み合わせが必要なのは専用のサポートシステムを使ってドーム状にする場合のようで、ザックリ隠すだけならそんなに大きくなくても大丈夫。イベントで飾り的に使うとしても、畳んだまま括り付けるかバサーっと被せるぐらいしか考えられないんで、ワタシ的には1セットで十分です――と自分を納得させました。
このサポートシステムはネットを支える部品とアルミポールがセットになった物で、10年ほど前にM151A2という軍用車両に乗っていたころには持っていました。カモフラージュネットを持っていないにも関わらず、なぜかこのサポートシステムだけポチっちゃったのです。でもM151A2を売ったときにそれも売ってしまいました。残念。10年後にネットを買うのがわかってたら手放さなかったのになぁ。
ちなみにそのときのシステムでは3枚のプレートをY字状に広げてネットを支えるようになっていたんですが、このマニュアルに載っているのは円盤状です。たぶんこっちのほうが新しいんだと思いますが、変更された理由はわかりません。広げる手間が省けるぐらいしか思いつかないんですが、ネットが新型になったことと関係あるのかな?
やっぱりデカかった!
ネットは綺麗に折り畳まれてキャリングケースに入っていました。ビニール袋を開けたときにもったいなくて躊躇しましたけど、なんかもうこのままにしておきたい感じです。こういうのって畳み直すとなぜか大きくなっちゃうから、こんなにコンパクトにならない予感がするんですよね……。でもここまできたらちょっと試してみたいんで、元どおりになりますようにと願いながら広げてみることにしました。
菱形の方をパタパタと広げてみたら、どこまでも広がっていきます。いや、どこまでもってことはないですけど、8.5mって長いですね。お隣の前まではみ出してしまいました。菱形でこれだから、六角形の方をここで広げるなんて絶対ムリです。河原にでも行かないと。
実際にハンヴィーにかけてみたら、パッと見はなんだかわからない感じになりました。隠蔽度はさすがといったところです。ただ、やっぱり住宅街では超お目立ち状態でした(笑)
旧型と比べると新型の方がしっかり隠れてるように思えます。旧型はネット自体がちょっとハデすぎるような気が。見慣れているせいか、いかにもカモフラージュネットっぽくて嫌いじゃないんですが、いかにもそう見えたらダメですよね。
さて懸案の片付けです。はたしてちゃんとキャリングケースにしまえる大きさになるのかどうか。しまうときは菱形の両側をミルフィーユのようにジグザグに折り畳んでいって、キャリングケースと同じ幅になったら、両端から4分の1を真ん中に向けて折り畳みます。そして最後に2つ折りにすれば完了です。
と書くと簡単そうですが、実際は割と大変でした。この大きさの物を一人で畳むのは、やはりなかなりの重労働です。あっちを引っ張り反対側に行ってこっちを引っ張り、車が通りがかったら一旦避けて……とかやっていたら、すっかり疲れてしまいました。しかも畳んでみたら幅が大きくなりすぎてしまい、もう一度広げてやり直す始末。撮影した日はめちゃくちゃ暑くて、途中で心臓はバクバクしてくるし足はブルブル震えてくるしで、かなりヤバかったです。速攻で室内に避難して水をがぶ飲みしましたが、回復に30分もかかってしまいました。趣味で倒れたらシャレにならないので、みなさんもカモフラージュネットを展開・収容する時はお気をつけて!
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