再生ソフトはソニー製でなくても使える
再生ソフトは「Foobar2000」など、ドライバーや再生デバイスの切り替えが可能な音楽再生ソフトならば使えると思われる。
ソニーが推奨するのは、Windowsならば「Music Center for PC」、Macならば「Hi-Res Audio Player for Mac」。ともに同社が無料で提供しているソフトだ。
どちらも多彩な音楽データの形式に対応しているし、特にMusic Center for PCは、圧縮音源を高音質化する「DSEE」も備えるなど、なかなか高機能で無料ということもあって、Windowsの定番音楽再生ソフトになりそうな予感さえする。Windowsユーザーはダウンロードしておいて損はない。
ただ、上記のソフトは再生デバイスの指定を行なう必要があるが、そのためにはドライバーの導入が必要。前述の通り、現時点ではドライバーがないため、再生は試していない。
一方で、実はほかの再生ソフトではドライバーなしでもNW-A40やNW-ZX300をUSB DACとして使うことができた。
Windows 10は、今春のアップデート(Windows 10 Creators Update Version1703/build15063以降)で、USB Audio2.0をサポートしている。ということは、Macがそうであるように多くのUSB DACが専用ドライバーなしで動作することを意味している。
実際は、話を聞くと「アレは動いたがこれはダメだった」というような状況で、メーカー的には少なくとも現時点ではドライバーの提供を基本としている感じではある。
その最新版のWindows 10マシンで試したところ、オーディオデバイスとして認識した。そのPCの設定の関係でDSDファイルは試せなかったが、リニアPCMの音源はNW-ZX300は384kHz/32bitまで、NW-A40は192kHz/32bitまで、きちんと再生できた。
DSDファイルが気になるところではあるが、それぞれがサポートする音楽フォーマットどおり、どちらもDSD11.2MHzまで再生可能と思われる(NW-A40のDSD再生はリニアPCM変換再生)。
USB DACモードでもその音はウォークマンそのもの
今回はリニアPCM音源のみではあるが、ハイレゾ音源も含めてUSB DACモードの音を確認してみた。
NW-ZX300は、上級機を思わせる質の高い音でボーカルの生々しさ、アコースティックな楽器の音色も自然な再現だ。落ち着いた上品な印象だが、低音域の力感がしっかりとした充実感のある演奏になる。
NW-A40シリーズは、基調としては自然で音色の表現が豊かだが、中域に厚みがあり、ボーカルにも声の厚みやパワフルさが感じられるものになる。入門者も多いモデルだから、楽しく聴ける味付けというか、あまりHi-Fiに寄りすぎないバランスだ。
というか、ウォークマン単体での再生とほぼ同様の印象だ。
再生系がPCとなるので多少の感触の違いはあるが、ほとんど差はない。はっきり言うと、ウォークマンの内蔵メモリーに転送して単体で再生した方がわずかながら感触がいい。これはデータの伝送経路が長くなることなどが原因だろう。
とはいえ、PCでのハイレゾ再生がいきなりウォークマン品質にまでグレードアップするというのはありがたいことだろう。
ついでに言うと、「DSEE HX」機能も併用できるので、圧縮音源やCD音源の再生では、ハイレゾに近い音質での再生ができる。
価格差もあるので当然だが、NW-ZX300とNW-A40には絶対的な音質は差があるが、A40の方にはちょっとうれしい点もある。それはノイズキャンセル機能が併用できることだ。
「外音取り込み」機能は使用できないが、騒々しい環境での再生に便利だ。こういうことができるUSB DACはあまりないので、ある意味貴重と言える。
唯一気になるのは、接続に使う付属の専用ケーブルがオーディオ信号の伝送用としてはやや物足りない。ケーブルが特殊なものなので、交換することができないのは残念だ。
USBオーディオ出力やUSB DAC機能など、ほかの機器と接続をする機能が増えているのだから、そろぞろ専用のウォークマン端子ではなく、汎用性の高いmicroUSBやUSB Type-Cなどの端子への変更を期待したくなる。
とはいえ、今までの通りのウォークマンとして手軽に本格的な音質を実現しただけでなく、USB DAC機能でPCでの音楽再生でもその音質が楽しめるというのは、新ウォークマンの大きな魅力になると思われる。
マニアックな機能ではあるが、オーディオ好きな人ならば歓迎するに違いない。音質も含めて、大きな魅力を増した新ウォークマンは今秋ぜひともチェックした注目のプレーヤーとなるはずだ。