「攻め」の働き方改革~やらされるなんてまっぴら、自分のやりたいことをやる 第1回
働き方変革って誰のためのもの?
このままでいいやという人へ、働き方変革は自分流を探すこと
2017年09月04日 09時00分更新
ハピネスとは何かを考えてみよう
では、オフィスワーカーにとって、働き方を変えるメリットはあるのでしょうか。私は仕事柄多くの変革の現場を見てきましが、この質問に対しては自信を持って「Yes」と答えます。なぜならば、働き方変革を成功させたプロジェクトでは、必ず多くの社員が「やはり変えて良かった」という感想を持つからです。
では、オフィスワーカーにとって働き方変革はどのようなメリットがあるのでしょうか。教科書的な言い方をすると、生産性が上がる、エンゲージメント(仕事への熱意ややる気)が強くなるということですが、ちょっと抽象的ですね。もう少し身近で具体的なメリットが欲しいところです。
私はよくハピネス(嬉しさ)という言葉を使います。変えてみて良かった、と素直に感じられる「嬉しさ」が大切だと考えているからです。働き方を変えることで感じられる「嬉しさ」とは何でしょう。
それはその人が直面している状況によって一人ひとり違います。
山のような業務を抱えて残業に追われている人にとっては、仕事が整理され楽になることが最大のハピネスでしょう。つまらない会議ばかりでこっそり内職する毎日、という人にとっては不要な会議が一掃されることがハピネスかもしれません。上司が飛び回っていて決済の待ち時間が長く自分のペースで仕事ができない人にとっては、上司が出張先で瞬時に決済してくれるだけでも小さなハピネスを感じるかもしれません。もちろん、最新のICT(Information & Communication Technology)のシステムやデバイスを使えることもハピネスとなるでしょう。
会社から言われてやるのではなく、自分が会社を利用してみよう
このように、働き方を変えることで得られる嬉しさは人それぞれですが、私は最大のメリットは、自分流の仕事の仕方がしやすくなることだと思います。働き方変革の具体的な方法や手法は様々ですが、その多くは、より柔軟に、より自由に、より働く人の裁量を高める方向のものです。
企業主導型の働き方変革では、社員の自律性を高める、組織の俊敏性を高めるといった言い方をしますが、それを逆手に取って自分流の仕事の仕方を楽しむのです。逆手に取るなんて言い方をすると、なんか会社と対立しているような感じがしますが、もちろんそんなことではありません。社員が、自分の裁量で自在に動くようになることは、会社にとってもとても良いことなのです。
もちろん仕事の成果はしっかり出さなくてはいけません。セルフマネジメントで成果を出せる人が、より自由に自分のスタイルで仕事をする。これが働き方変革の基本です。
働き方変革は、上手く回ると社員のハピネスと会社のハピネスがピタリと合います。心配することなく働き方を見直して、より自由に自分のスタイルで仕事をしてみてはどうでしょう。では、具体的にどのように働き方を変えるのか。会社にどのようにそれを認めさせるのか。次回からそのテクニックをご紹介しますので、ご期待ください。
平山 信彦
株式会社内田洋行 執行役員 知的生産性研究所所長。
千葉大学工学部工業意匠学科卒。内田洋行スペースデザイン室、INTERNI(米・ロスアンジェルス)、内田洋行環境デザイン研究所、同マーケティング本部等を経て現職。千葉大学大学院非常勤講師(2008年~2010年/デザインインタラクティブ論)、日本テレワーク学会理事(2010~)等、歴任。働き方変革・組織風土変革・デザインマネジメント・知識創造等に関わるコンサルティング、講演、執筆等、多数。
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