長崎ちゃんぽんの名前の由来をご存知でしょうか? 中国語で“ご飯を食べる”ことを「吃飯(チィーファン)」というのですが、福建語ではシャポン、セッポンと発音します。これがもとになって“ちゃんぽん”になったと、長崎ちゃんぽん発祥のお店である「中華料理 四海樓」4代目店主である陳優継さんが教えてくれました。
「長崎ちゃんぽんが生まれた明治の後半当初は、食べ物がなかった苦しい時代。華僑や中国人留学生は道で会うと『吃飯了嗎(ご飯を食べましたか?)』と挨拶がわりにやりとりしていました。長崎ちゃんぽんには同胞やお腹を空かせている人たちにお腹いっぱいになってもらって“恩を送る”という理念があります」と陳さん。
おいしい長崎ちゃんぽんですが、食べることで元気になってもらいたいという真摯な想いから生まれていたのです。
今や、長崎ちゃんぽんは日本の定番麺料理のひとつ。自宅で簡単に調理できるキットも出ています。そんな中、冷凍食品を製造するキンレイが長崎ちゃんぽんの可能性をさらに広げる商品を新発売しました。
「鉄鍋」使用のこだわり長崎ちゃんぽん
キンレイは四海樓監修の本格的な長崎ちゃんぽん「お水がいらない 長崎ちゃんぽん発祥の店四海樓」を8月21日から全国で順次発売しています。価格はオープンで、参考価格1食300円前後。
「お水がいらない」シリーズは、鍋焼きうどん、ラーメンが人気の冷凍食品です。スープ・麺・具材を三層構造で冷凍しており、家庭の鍋で煮込むことによって手間なく本格的な味を楽しめるというもの。
秋冬向けの新製品である長崎ちゃんぽんの特長は、“鉄鍋”で炒めた香ばしい具材。
鉄鍋って珍しいの? と思うかもしれませんが、工場で鉄鍋を使用し、中華料理らしい香ばしさを出すことは簡単なことではありません。キンレイでは炒め物に従来はステンレス鍋を使用していました。鉄鍋のほうが高温を出せて香りが立つのですが、火力調節の難しさやメンテナンス面が不安視されていました。
ですが、キンレイは2017年5月に大阪・岸和田に新工場を竣工し、チャレンジングな取組の一環として特注の鉄鍋を5機導入しました。世界にひとつだけの、キンレイの工場向けの鉄鍋設備です。
鉄鍋を導入することで、四海樓の本場長崎ちゃんぽんに通じる野菜の香ばしさを再現したと言います。とはいっても冷凍食品で、はっきりと違いが感じられるものでしょうか? 記者が食べてみました。
食べてみました!
これが四海樓監修の長崎ちゃんぽんです。お皿に盛りつけた状態なのでよくわからないと思いますが、冷凍食品です。
四海樓監修の長崎ちゃんぽんは、野菜とえび、いか、かまぼこ、きくらげを鉄鍋で炒め、鶏ガラだしと豚骨だしのブレンドスープで野菜を煮込み風味をだし、麺と合わせているということ。
まず、見た目はどうでしょう。野菜の焦げている色みが見た目からしてわかります。飴色の焦げ目は、まるでお店で炒めた野菜のようですね。
麺は太めのちゃんぽん麺。四海樓の長崎ちゃんぽんに近い太さだそうです。
おいしそうです!! では、いただきまーす。
食べ進めるほどおいしさが際立ってくる
最初は「あ、こんなものか」と思ってしまいました。というのも、長崎ちゃんぽんは海鮮のだしがきいて塩味が強い風味だったように記憶していましたが、キンレイのこれは思ったより薄味でした。まろやかでコクがありますが、あっさりめで、もうひとつアクセントがほしくなったほど。
ですが、食べ進めるほどに「いいじゃん、これいいじゃん!」と思えてきました。スープにはあっさりした中にも様々な味が混ざり合っていて、食べれば食べるほど舌に馴染んできます。麺はプリプリとした食感で、スープと優しく絡みます。
野菜の香ばしさや甘さにほっとできて、とてもおいしくいただけました。スープも飲み干してしまったほどです。具材の味わいや食感も新鮮味があり、まるで冷凍食品じゃないような……。
あれ、食べ終わってから、あらためて思い返しました。これ、冷凍食品だったんだ!
「一から自分で作ったの」と言われても信じてしまいそう。というか、この完成度、本格的なダシの風味は、そうそう簡単には作れないと思います。おいしかったぁ、やるなあ、キンレイと感激しましたよ。