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先読み運転で快適性アップ:

三菱、未来予測するAIエアコン「寒くなりそうなので暖房入れますね」

2017年08月22日 16時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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 「アイロン付近は暑くなり、窓際付近は寒くなるでしょう。と、AIが予想しています」

 三菱電機が22日、人工知能を搭載したルームエアコン「霧ヶ峰」を発表。新搭載の赤外線センサー「ムーブアイmirA.I.」が3~30分後の体感温度を予測し、暑い・寒いと感じる温度変化を減らす「先読み運転」ができるそうです。

三菱ルームエアコン霧ヶ峰
FZシリーズ 4.0~9.0kW 11月1日発売
Zシリーズ 2.2~9.0kW 12月中旬発売
予想実売価格
32万8000円~44万8000円(FZ)
21万8000円~39万8000円(Z)
三菱電機
http://www.mitsubishielectric.co.jp/home/kirigamine/

●アルゴリズムで未来予測

 従来のエアコンは、不快になっている状態を見つけて解消しようとしていました。いわば不快を解消する「後追い運転」です。三菱では逆に、不快になるタイミングを予測して「先読み運転」ができればずっと快適になるはずだと考えました。

 同社は、先読み運転に必要なものは、

1.現在の体感温度
2.室外環境の変化(外気温・日射)
3.住宅性能(室温に関係する)

 3点だと考えました。

 1と2は赤外線センサーで把握できています。しかし3番目、住宅性能による変化はわかっていませんでした。低層階・高層階、伝統住宅・最新住宅など、住宅環境によって異なる断熱性・気密性の高さまで把握する必要があったのですね。

 住宅環境といわれると難しいですが、どこからかすき間風が入りこんでくる伝統的日本家屋と、アリの入るすき間もないほどピッシリした最新住宅では、エアコンの利きがまったくちがうので、そこ把握せんといかんよねという話です。

 そこで新しい霧ヶ峰は、

1. センサーで取得した室内外気温
2. 同社が蓄積した住宅環境データ

 2点をかけあわせた独自アルゴリズムを使い、少し先の体感温度を予測して運転する技術を開発。たとえば「足元が寒い」と感じる前に、足元の暖房を強めたりできるそうです。住宅環境の把握には1~2週間の学習期間が必要とのこと。

 AIが予測しているのは3~30分後の体感温度。気密性(空調の利きのよさ)によって予測する時間が変わります。住宅環境データは10年前から設計者と消費者モニターの家庭でためてきたもの。逆に言うと、今までもやろうと思えばできたのですが、エアコン搭載の基板が安くなり、AIの解析性能が上がったことで、製品使用にたえる金額感になった、ということのようです。

●新圧縮機で省エネ性向上

 省エネ性も向上しました。通年エネルギー消費効率(APF)2%アップです。

 消費電力量をおさえるために開発したのは圧縮機。エアコンの消費電力は圧縮機を駆動させるエネルギーが大きく、圧縮機を効率化することが省エネにつながります。

 コンセプトは2つの高効率ピークをもつ圧縮機です。

 今までの圧縮機はハイパワー運転時に効率のピークをあてていましたが、さらなる省エネ化には、設定温度に達したあとの安定運転時も効率化をする必要があります。しかし、今までの技術ではそれぞれ別の圧縮機を搭載するしかありませんでした。

 そこで同社が新開発したのが、2種類のDCモーター結線をもつ「アクティブスイッチコンプレッサー」と、結線を自動で切り替えるインバーター回路です。

 インバーター回路からの制御を受け、2種類の結線を自動で切り替え、圧縮機の駆動に反映。1つの圧縮機で、ハイパワー時、安定運転時、2つの高効率ピークをもてるようになりました。同社によれば、同技術の量産化に成功したのは世界初だそうです。

●長寿ブランドでギネス認定

 1967年発売の霧ヶ峰シリーズは50周年。ルームエアコンにおける世界最長寿ブランドとしてギネス記録にも認定されたそうです(2017年6月27日認定)。三菱では今後“空調先進国”の日本で50年にわたって磨きあげた技術を各国で応用展開していきたいと話していました。

 冷媒技術の進化が落ち着き、エアコンは各社の設計思想にもとづいて「センサー」「気流制御」などの技術を進化させてきました。最近はそこに「IoT」「AI」などハイテク要素が加わり、コンピューターのような機能設計になってきています。いっそ自分で制御方法をプログラミングできるエアコンが出てきたらいいんじゃないかと思うんですが、どうでしょうね。


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書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)

1983年生まれ、家事が趣味のカジメン。今年パパに進化する予定です。Facebookでおたより募集中

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