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ホームレス支援にIT活用、先進的なニューヨークの取り組み

2017年08月04日 08時52分更新

文● Jamie Condliffe

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大都市が抱えるホームレスの問題解決にニューヨークが動き出した。行政機関や非営利団体の垣根を超えて情報を共有するシステムを構築し、データに基づく支援を実施していく。

ニューヨーク市の現在のホームレス人口は、1930年代の大恐慌以来、最悪の状態に達している。ニューヨーク市は、今回こそ問題の解決にデータを活用できればと考えている。

ワイアードの記事によると、ニューヨーク市長は「ストリート・スマート」と呼ばれる新たなツールを導入することで、ホームレスに関するデータを収集したり、データを活用して支援の効果を上げようと計画しているという。このツールを導入する目的は、個人のデータを記録して、支援を受けるホームレスが市内を移動しても支援の手を差し伸べやすくすること。また、大まかな傾向を行政側が把握できるようにして、問題解決のために知識に基づいた対応を取れるようにすることだ。

ホームレスを支援する公共団体同士の情報交換が、まったくないわけではない。しかし、たいていの場合、他の団体がすでにどういう情報を記録しているのか知る方法がないため、複数の団体が同じ情報をさまざまな目的で収集していることが多い。また古いシステムのせいで、収集した情報を活用するのが難しいことも多い。収集した情報を視覚化して地図上に表示させることすら、困難な場合もある。ワイアードによると、ニューヨーク市のホームレスに関するデータも同じことが当てはまるという。

新型のストリート・スマートシステムを使えば、行政機関や非営利団体の認可を受けた支援者が、市内で生活するホームレスに関するデータを投稿したり、調べたりできるようになる。このデータには、シェルターの利用歴や病歴、職歴などが含まれている。たとえば、ある人がシェルターを訪れ、個人データには病院から退院したばかりだと記載されていた場合、その人は体力的にかなり弱っている恐れがあると気づいてあげられるかもしれない。

ストリート・スマートが最終的に目指すのは、ニューヨーク市が財源をより有効に活用できるようにすることだが、そのためにはもっとも効果のある方法を導いてやる必要がある。初期の段階では、シェルターを一番効果的に活用する方法を分析することになるかもしれないが、最終的には公営住宅プロジェクトと組み合わせて、手頃な値段の宿泊施設の利用者を増やしていけるかもしれない。

ニューヨーク市は、革新的なやり方で問題に取り組むことで有名だ。イギリスの研究団体ネスタ、コンサルタント会社のアクセンチュア、非営利のイノベーション団体である未来都市カタパルト(実は、以前私も働いていた)が2015年に行った分析では、ニューヨーク市が世界一強いリーダーシップを持ち、イノベーションの助成やテクノロジーの採用、起業家精神の助長に取り組んでいることが明らかになった。

とはいえ、ニューヨーク市も常に成功を収めている訳ではない。昨年、ニューヨーク市は市内で誰もが利用できる無料のWi-Fiスポットの提供プログラムを縮小させたが、サービスの乱用が見受けられたのが原因だ。ストリート・スマートにも、導入の初期段階では問題があるかもしれない。複数の行政機関にまたがって導入される新型テクノロジーで問題を解決するのが難しいのは、よく知られたことだ。しかし、こうした新型テクノロジーの導入に成功する都市があるとすれば、おそらくニューヨーク市だろう。

(関連記事:Wired, “ニューヨークの無料Wi-Fi 想定を超えた使われ方”)


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