東芝の有機ELテレビは地デジもキレイ! 画質を優先したパネル傾斜2度のこだわりとは!?
2017年06月15日 12時00分更新
今、テレビ業界で注目を集めている有機ELテレビ。その発売メーカー4社を取材して各々の特徴について解説する本特集だが、最後を飾るのは東芝だ。
東芝は国内メーカーとしてはいち早く有機ELテレビの「レグザ X910」シリーズを発売。画面サイズは55V型(実売価格 59万円前後)と65V型(同86万円前後)の2モデルとなる。
価格的には最上位となるモデルだが、同社としては、液晶モデルの最上位である「レグザ Z810X」シリーズも同時に発売しており、ともに位置づけとしては最上位モデルとしている。
大画面モデルのほうが好調な売れ行き
有機ELはコントラスト性能に優れ、映画館のような暗い環境で完全な黒を再現できることが大きな特徴。一方で液晶は画面輝度に余裕があり、明るい部屋で鮮明な映像を楽しめることが特徴。
それぞれに表示パネルのよさがあり、それを活かした商品づくりを行なっている。映画に最適で画質にこだわるならば有機EL、明るい環境で快適にテレビを視聴することが多いならば液晶、と使い方に合わせて選べるようにしているという。
有機ELは液晶の上位というよりも、薄型テレビの新カテゴリーと考えているそうだ。
なかなか高額な商品だが、こちらも期待通りの好調なセールスとなっており、人気は65V型の方が高いということだ。
5月下旬のアップデートで画質をさらに向上
14年間熟成を重ねた技術が有機ELテレビに!
X910シリーズは、発売後間もない5月下旬に大きなアップデートが行なわれた。地デジ放送をより高画質化する「地デジBeauty PRO」の搭載をはじめとする機能アップデートと、そして暗部階調性の向上だ。
暗部階調性の向上についてだが、完全な黒が再現できる有機ELだが、実は暗部階調の再現は苦手な面もあるという。
有機ELパネルは10bitパネルなのでRGB各色で1024階調の表現ができるが、最初の「0」(非表示)から「1」の階調が一気に明るくなってしまうという。そのため、「0」と「1」の間の階調を埋める必要がある。
これについては、液晶の階調表現でも使われる技術「魔方陣アルゴリズム」などを進化させて採用している。ちなみにこの魔方陣アルゴリズム、同社がプラズマテレビを発売していた2003年ぐらいから登場した技術。
液晶は初期のパネルは8bit表示だったので、階調表現を高めるためにこうした技術が生まれた。簡単に説明すると、1画素では再現できない「0」と「1」の間の階調を周辺の複数の画素と連携して表示することで再現する技術だ。
問題はここの階調感の再現で、発売直後は黒の締まりを重視したものになっており、よりスムーズで忠実度の高い黒の再現をするために、画質パラメーターを全面的に見直したのだという。
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