今、世界的に大きな盛り上がりを見せている“PCゲーム”。海外では以前よりPCゲームの人気は高かったが、ここ数年はその波がさらに高くなり、全世界的に大きなムーブメントとして注目されてきている。
そして、近年は日本でも盛り上がりつつあり、「eSports」(イースポーツ)やVR(ヴイアール)といったPCゲーム界隈の新しいキーワードとともに、連日のように報道されている。その背景にはどういった要因があるのか、探っていこうと思う。
eSportsは世界規模に成長している一大ムーブメント
PCゲームと切っても切り離せないのが、「eSports」というカルチャーだ。eSportsではビデオゲームをスポーツとして捉え、競技としてイベントや大会を開催している。他のスポーツと同様に細かなルールを定めた上で、公平な環境で競技大会を開催し、大会では多額の賞金がかけられており、先進国を中心とした多くの競技者が参加している。
そういったeSports大会の中でも世界最大級の規模を誇るのが「Intel Extreme Masters」(IEM)だ。1年間を通して世界各地で予選大会を開催し、予選を勝ち抜いたプレーヤーが世界一を競うという、まさに世界規模の大会となっている。そして、2007年の初開催から昨年2016年から今年2017年にかけて開催されたシーズン11まで、10年以上開催されているという歴史のある大会でもある。
そのIEMのシーズン11では、北東アジア地域で初となる韓国ギョンギ道のスポーツアリーナ「ギョンギジム」で、2016年12月17日から18日の日程で大会が開催された。賞金総額が23万5000ドル(日本円で2500万円強)という点からも、競技大会としての規模の大きさがよくわかる。
IEMギョンギ大会では、「StarCraft II」、「League of Legends」、「Overwatch」の3タイトルで競技が行なわれた。会場は地元プロバスケットボールチームがホームグラウンドにするほどの大きな体育館で、その中にステージと競技ブースが設置され、世界各地から集まったプレーヤーによって熱い戦いが繰り広げられた。
韓国でIEMの大会が開催されたのは、韓国がアジアの中でもトップクラスのeSports先進国だからだ。他のスポーツ競技と同様、国策としてeSportsに取り組み、世界レベルのプレーヤーを数多く輩出している。実際にIEMギョンギ大会にも多くの韓国プレーヤー/チームが参加し、全競技とも韓国チームが優勝するなど、層の厚さを示した。
また、韓国でのeSports人気の高さも、大会が行なわれた要因のひとつ。IEMギョンギ大会には、多くの韓国人サポーターが詰めかけてプレーヤーを応援していた。また、優勝チームのサインブースには多くのサポーターによる長い行列ができていたことからも、韓国でのeSportsというカルチャーにおける人気の高さがうかがえた。
ちなみに、IEMは今年5月6日・7日にシドニーでも開催。競技性の高いFPSゲーム「Counter-Strike Global Offensive」を採用していた。7月27日~30日に上海で行なわれるIEMでは「StarCraft II」で競うという。このようにIEMは開催国によっても人気のPCゲームが変わり、おそらく今後もさまざまな国で、さまざまなPCゲームで盛り上がっていくことだろう。
日本でもeSportsの認知度が高まりつつあり、ゲーミングPC需要が伸びている
そういった中、ここ数年、日本でも徐々にeSports熱が高まりつつある。日本でもeSportsプロチームが結成され、様々な世界大会に参加するのはもちろん、国内でもeSportsの大会が開催されるようになってきている。また、CSなどでeSportsのテレビ番組が放送されるようにもなった。世界と比べるとまだまだ規模は小さいものの、以前よりもeSportsが注目されるようになってきたのは間違いないだろう。
そして、日本で開催されるeSportsの大会でも、その多くがPCゲームを採用している。世界的な大会に参加するとしたら、当然世界大会で採用されているPCゲームのプレイが不可欠だから。当然、目に触れる機会が増えると興味を持つ人が増えるのは自然の流れで、日本のPCゲーム業界もここ数年かなり伸びてきているのだ。
それを裏付けるデータもある。近年、PCの販売不振が語られることが多いが、そういった中でもゲーミングPCは年々売上げを伸ばしているのだ。そして、多くのPCメーカーがゲーミングPCに注力し、魅力的な製品を数多く販売している。過去にもゲーミングPCが注目されることは何度かあったが、そのほとんどは特定の注目ゲームをプレイするためということが多く、一過性の場合も少なくなかった。しかし、ここ数年はコンスタントにゲーミングPCの売上げが伸びているのだ。これも、日本でPCゲーム熱が高まってきている証拠と言っていいだろう。