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6年間の歴史に幕を下ろした最後の電王戦

Ponanza強すぎの第2期電王戦第2局裏話、川上会長が電王戦の成り立ちをぶっちゃける

2017年05月27日 12時00分更新

文● 飯島範久 編集●ジサトライッペイ

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佐藤叡王の苦しい展開が続く終盤戦、三浦九段も登場

 昼食休憩後の再開は、佐藤叡王が開始時間に現われず、Ponanzaが再開後にすぐ△9五歩と指した。その後、遅れて対局室に佐藤叡王が現われた。9筋を突かれたが、それでも▲9八香と上がり穴熊を目指す。穴熊に持ち込むには後手の端歩の位が高いのが気になると検討陣からも声が上がっていた。

朝食休憩後の対局室。この時点までは窓が空いていたので風通しがよく、かなり涼しく感じた。
Ponanzaの評価値。午前中はやはり先手有利になっていた。ただ、大きく数値は変わっていないようだ。

 53手目、佐藤叡王が▲3七桂と跳ねた。これは終局後の解説で、深浦康市九段が指摘していたが、この一手が後の攻めに響いたのではないかとのこと。検討陣もこの手は読んでいなかったようだ。

 14時半ごろ、大盤解説をやっているニコファーレには、みうみうこと三浦九段が登場。観客に混じって質問するという登場だったのだが、声がバレバレですぐに正体をばらしていた。昨年のカンニング騒動で大変だったと思うが、元気な姿を見せてくれたのは嬉しい。読み筋を解説している途中に、三浦九段が奥さんと喧嘩して家を出てきたという話に脱線したくだりは、将棋とは関係ないが面白かった。

三浦九段がニコファーレにゲスト解説者として出演。タイムシフトでは6時間20分ぐらい。

 ここまで、両者ぶつかりあうこともなく自陣での駒組みを進めていたが、60手目△6四歩の時点で、評価値はPonanzaのプラス200超え。持ち時間は佐藤叡王が3時間10分、Ponanzaが3時間2分とかなり接近してきていた。

観光客が多かった最上階へ登ってみた。姫路城以上に高い建物がなく、正面に姫路駅を臨む。
海外からの観光客も多いということで、電王戦スタッフはチの櫓前で、英語や韓国語、中国語で書かれたカードを持っていた。
ここは世界遺産。ドローンによる姫路城への激突事故もあり、現在はドローン飛行を禁止している。ただ、いまだ飛ばす人はいるようだ。
電王戦記事のたびに電源の写真を載せているが、今回は城外に置かれていた。チの櫓の真下あたりだ。

 15時のおやつタイム。佐藤叡王がガトー・アン・フレーズ(ショートケーキ)を食べている姿が映し出されたが、まだ戦いが始まっていないからか、さほど厳しい表情でもなく淡々と食べていた。前回は長考が続き、持ち時間がかなり削られていたのでかなり暗い表情だったが、気分的にもだいぶ違うのだろう。

 おやつのあと、ようやく戦いが始まった。63手目▲5五歩と佐藤叡王が仕掛けたが、Ponanzaは△5六角打と反撃。あまり間を開けずに指してきたので、読み通りだったのかも。ただ、評価値的にはさほど変わらず、ここの対応次第ではガタガタと崩れそうだ。終局後の記者会見で難しい局面と佐藤叡王も語っていた。

お城のまわりには猫がたくさんいた。中には人懐こい猫も。

 このあたりから、さすがに佐藤叡王も長考が多くなってきた。すでにPonanzaの持ち時間より佐藤叡王の持ち時間のほうが少なくなってきていた。佐藤叡王が考え出すと、Ponanzaはその考えている間に次の手を読んでいるので、読みが外れない限りすぐに指せる。佐藤叡王にとってはかなり辛い展開になりはじめた。

 16時半ごろ、70手目△7五歩と突いてこられた手も終局後の記者会見で佐藤叡王が難しいと語っていた場面。ここで長考し▲5五角打を選んだが、△7六歩、▲同銀、△7五歩打(74手目)と後手が先手陣に攻め入り、評価値はPonanzaがプラス400超えに上昇。中盤でこの差は厳しくなってきた。持ち時間も佐藤叡王が1時間40分、Ponanzaが2時間41分(75手目)と、1時間の差がついてしまっている。

▲5五歩に対して△5六角。厳しい反撃だ。

 このあたりから対コンピューターと対人間の差が如実に現われ出している。対人間なら、相手の考慮時間も自分の考慮時間にあてられるが、コンピューター相手だと、相手の考慮時間が短すぎて自分の考慮時間にあてられない。それでいて難しい局面が続くので、指し間違えられない重圧とも戦うことになる。△9三桂、▲9四銀(77手目)と指したところで、評価値がぐっと広がりPonanzaのプラス800超え。

 ゲスト解説の三浦九段からすると、この局面を見てどうしてそこまで差が開くのかわからないと解説していたが、だからといって先手を持ちたくはないだろう。遠山五段は検討陣と先手番を持って指していても、攻められっぱなしで受け疲れたと話すぐらい、先手側は厳しい展開になってしまった。

 この時点で17時過ぎ、78手目が穴熊にはキツイ△8六歩を打たれ、佐藤叡王はまた長考に入る。このまま夕食休憩となった。

西日がさすチの櫓。昼間は窓が空いており涼しかったのだが……。

 夕食休憩後にも対局室へ撮影に入れるのだが、山本氏の後ろの窓が閉められていた。西日がキツイのと、夜になると寒くなると言われていたそうで、閉めたのはいいが、風が入らなくなったため、室内の温度が上昇していた。人間だけでなく、コンピューターやロボット、照明といった熱源があるため、扇風機が置かれていたが焼け石に水状態。佐藤叡王にはちょっと辛いかもしれない。

窓が閉められていて、涼しい風が入ってこないためかなり暑い。佐藤叡王は、前かがみになって考え込んでいた。

 夕食休憩後、対局は再開されたがすぐには指さず、しばらく考えた後、▲4五桂と跳ねた。この手でまた評価値を下げ、Ponanzaのプラス1000超え。このあと、△7八角と穴熊の金を取りにいき、対局後の会見で山本氏が「このあたりから評価値が上がっていった」と語っていたが、この時点でもう無理だったのかもしれない。ズルズルと佐藤叡王は評価値を下げていった。

夕食休憩後のPonanzaの画面。評価値が大きく後手に傾いている。

 中村太地六段がニコファーレの解説で「Ponanzaの陣地はキレイで無駄がない」と語っていたが、佐藤叡王は敵陣にまったく攻め込めていない。第1局もそうだったが、Ponanzaが危ないというシーンがまったくないのだ。

 結局敵陣を攻めることなく、自陣を守りきれずに19時30分、94手までで佐藤叡王が投了。評価値はPonanzaのプラス2000を超えていた。本局は、序盤が佐藤叡王のペースだっただけに、Ponanzaを打ち崩せなかったのは少々残念。人間だとミスはあるが、コンピューターは、ほぼミスがない。ミスをしてはダメというプレッシャーは相当なものだと思う。

控室のモニターで投了を確認。Ponanzaは横綱相撲だった。

 終局後、取材陣が対局室へ押しかけるわけだが、何しろ場所が離れているので中継を見ている人にとっては間が空いている。次のページからは終局後のインタビューをご紹介する。

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