SNSは事実と虚構、どちらが心地よい?
日本に限らず、面と向かって相手の事実を指摘すると、コミュニケーションをこじらせないで済むケースの方が少ないかもしれません。あるいは気の利いた返事を聴いて、「そうなんだ」と信じる人もいれば、「気づかいができるいいやつだな」と感じる人もいるでしょう。
しかし用心深い人は、「じゃあ本当はどう思っているんだろう」という疑問が湧いてしまう人もいるのではないでしょうか。だったら、初めから聞かなきゃいいのに、という立派な忠告も後の祭りです。いや、本当に何で聞くんだろう。罠なんじゃないかとすら思ったりするのですが。
SNSのコミュニケーションの輪の中に入る方が幸せか、そうでない方が幸せか、という話もあります。輪の中に入れば、友達と日常的にやりとりができますが、一方で本音を聞き出す場にはなりにくいことを知ると、急に面倒な場所に思えてきてしまうでしょう。
チャットの方がよりテンポが速く、言葉足らずも言い過ぎたことも、その場でフォローして誤解を防ぐこともできるでしょう。その意味で、より突っ込んだ話ができますが、だからこそ、既読なのに返事がなかったり、未読のままだったりすることにも意味が生まれてしまいます。
そんな事を考えていると、先週Facebookが発表したアバターでのVRコミュニケーション「Facebook Spaces」は、ちょうど良いタイミングなのかな、と思えるようになってきました。
ソーシャルといっても自分を含めて3人の部屋に、仮想の自分たちが存在しているというデモを見せてくれました。空間から存在まで、バーチャル。外的要因や不確定要素もなく、自分たちのコミュニケーションに集中することができるわけです。
その代わりに600ドルのヘッドマウントディスプレイのセットを手に入れる必要がありますが。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
この連載の記事
-
第264回
スマホ
ライドシェアにシェアバイク、これからの都市交通に必要な真の乗り換え案内アプリとは? -
第263回
スマホ
Amazonが買収したスーパーマーケットで生じた変化 -
第262回
スマホ
日産「はたらくクルマ」でみたテクノロジーでの働き方改革 -
第261回
スマホ
WWDC19で感じたのは、体験をもとにアップルがサービスの整理整頓を進めているということ -
第260回
スマホ
LoTで、いかにして世界から探し物をゼロにできるか?:Tile CEOインタビュー -
第259回
スマホ
ファーウェイ問題で感じたテクノロジーと国家対立の憂鬱 -
第258回
スマホ
スマホでの注文が米国でのスタバの役割を変えた -
第257回
スマホ
10連休に試したい、ゆるやかなデジタルデトックス -
第256回
スマホ
人によって反応が異なるドコモの新料金プラン -
第255回
スマホ
「平成」と「令和」 新元号発表の瞬間の違い -
第254回
スマホ
Adobe Summitで語られたAdobe自身のビジネスや開発体制の変化 - この連載の一覧へ