オンキヨー&パイオニアマーケティングジャパンは4月25日、ハイクラスヘッドフォン「SE-MONITOR5」を発表した。価格はオープンプライス。店頭での販売価格は10万円程度になる見込み。発売は5月下旬を予定している。
SE-MONITOR5は、密閉型のハイレゾ対応ヘッドフォンで、一昨年パイオニアブランドから登場した「SE-MASTER1」の技術やノウハウを取り入れた製品だ。パイオニアの歴代製品には1960年の「SE-1」、1980年の「MASTER-1G」、1975年の「MONITOR 10」といった機種がある。その中で、MASTERシリーズは開放型、MONITORシリーズは密閉型の機種として好評を博した。SE-MONITOR5は、一足先に復活したMASTERシリーズに続く、MONITORシリーズのブランドとして展開することになる。
時代の変化を感じるのは、同社がDAP(デジタルオーディオプレーヤー)を中心にしたエコシステムを描いている点だ。具体的にには「DP-X1A」や「GRANBEAT CP-CMX1」といった機種を中心に据え、その性能を引き出せるヘッドフォンとしている。これまでパイオニアブランドからヘッドフォンを選ぼうと思った場合、ハイレゾ入門機的な位置づけの「SE-MHR5」(1万円台後半)か、超ハイエンドの「SE-MASTER1」(25万円前後)を選ぶしかなかった。
これらは価格が大きく離れているほか、SE-MASTER1は開放型であり、モバイルでの利用が難しいという面があった。そこで「密閉型」でかつプレーヤーのポテンシャルを十分に引き出せるハイエンド機を開発するというコンセプトで開発したのが「SE-MONITOR5」だ。当初はSE-MASTER1と同様、「型番に1を冠した製品を」という検討もあったようだが、型番に5を冠したより入手しやすい価格帯の製品となった。
自社開発ユニットを新規に採用
直径50mmのドライバーは自社で新規開発。セルロースナノファイバーを使った振動板の周囲をエラストマー素材で囲ったフリーエッジ構造にしている。ちなみにSE-MASTER1はアルミ振動板だった。
ハウジングとベース部分にはマグネシウム合金を採用。重量は増すが、丈夫で振動に強く音質面で有利だという。SE-MASTER1と同様のダブルチャンバー構造を採用しつつ、サブチャンバーとメインチャンバーの間の通気孔を長くとるなどした発展形とした。またハウジング内にはディフューザーも入れることで歪みが低減できたという。共振低減のためのフルバスケット構造、パーツの連結個所にゴム部材を挟むことで振動の伝達を抑制するフローティング構造などもSE-MASTER1のコンセプトを継承した部分だ。
イヤーパッドはベロアタイプに加え、レザータイプの両方を同梱する。装着感に加えて音場表現の違いを体験してほしいという。ベロアタイプはソフトな装着感で広い音場、レザータイプは密閉感が高く、低域の高い再現性がウリ。ともに耳の形に合わせ後方が大きくなる立体形状としている。
ケーブルは着脱式で、付属ケーブルは一般的な3.5mm(3極)に加え、ハイエンドDAPで搭載が進んでいる2.5mm(4極、バランス駆動用端子)も用意する。さらに3.5mm端子用ケーブルは1.6m/3mの2種類があるため、合計3種が付属する形だ。いずれもノイズに強いツイストケーブルを使用している。
周波数特性は5Hz~85kHz。出力音圧レベルは99dB。インピーダンスは40Ω。質量は480g(ケーブル含まず)。