Ubuntuを開発する英Canonicalは4月5日、独自デスクトップ環境の次世代版「Unity 8」の開発を打ち切る方針を発表した。Unity 8はスマートフォンとコンバージェンスのためのシェルであり、「Ubuntu for Phone」として同社が進めてきたスマートフォン及びタブレット向けの取り組みも終了することになる。
今回の戦略方針の変更は、Canonicalの創業者、Mark Shuttleworth氏が発表した。Unityは2010年に登場したデスクトップ環境で、2011年に実際に搭載。当時この決断はUbuntuユーザー間で論議を呼んだ。
Unity 8は同社がスマートフォンとコンバージェンスのシェルとして開発していた。2月末にスペイン・バルセロナで開催されたMWCで同社の担当者は、以前からの予定通り、2018年4月に公開する次期長期サポート版(LTS)の「Ubuntu 18.04」で登場すると語っていたが、今回Shuttleworth氏は「次の会計年度に入るにあたって、さまざまなイニシアティブを見直した結果」としてUnity 8の開発打ち切りを告げた。これにより、Ubuntu 18.04は、Unityが導入される以前にUbuntuが採用していた「GNOME」に戻すという。
スマートフォンについてはすでに、Ubuntu Touchを搭載したスマートフォンの新機種の登場予定はなく、コミュニティーに取り組みを委ねていた。今回Shuttleworth氏は、「我々は個人または業務プロジェクトで日常的にLinuxを利用する人にとってUbuntuが使い勝手の高いものであることを願っており、Canonical及びコミュニティーから提供される様々なフレーバーを維持してきた。Ubuntu Phoneへの投資もその一環だ」としながらも、コンバージェンスを実現できれば、テクノロジー業界で受け入れられるという自分の予測は間違っていたとしている。「コミュニティーでは我々の取り組みはイノベーションではなく分断と受け止められ、業界ではコンバージェンスの可能性に向かっていない」との見解を記している。
最終的には「会社としての成長に貢献する分野に投資する」という経営判断で、コンバージェンスの取り組みを打ち切る。一方で、クラウドとIoTについては継続してプッシュしていく。具体的には、Ubuntu、OpenStackとKubernetesをベースとするインフラ製品、MAAS、LXD、Juju、BootStackなどクラウドの運用に関連した機能、SnapとUbuntu Coreが中心となるIoTとしている。