多彩なソースに対応できる点にも注目
Sonica DACは多機能であると書いた。実際このクラスでは、これまでなかった機能を持つ機種と言えるが、その意味するところは様々なソースに対応できるということだ。デジタル入力用の端子の種類がきわめて多彩なのである。
すでに述べたように、Sonica DACはデジタル信号をアナログ信号に変換する“D/Aコンバーター”に、シンプルな“プリアンプ機能”(音量調節機能)を付けた製品だ。
基本はパソコンとのUSB接続(USB DAC機能)になると思うが、ほかにLAN接続(ネットワーク/DLNA再生)、インターネット接続(Spotifyなどのストリーミング再生)、光/同軸デジタル接続などが選べる。特に注目したいのは、パソコン本体に保存した音源を再生する“USB DAC”機能とネットワーク上のNASなどに保存した音源を再生する“ネットワーク再生”機能の両方を装備している点だろう。Hi-Fiオーディオの世界では同じハイレゾ音源を再生する場合でも“PC接続”か“ネットワーク接続”かで別カテゴリーの製品になることが多いが、本機は両方の機能を1台でこなせるのだ。
ほかにもUSBメモリー接続、Bluetooth、iPhoneなどとのAirPlayなど、オーディオ機器に現在必要とされる入力端子はおおむね揃っていると言っていいだろう。強いて言えば、HDMI端子が足りない。SACD再生に対応したユニバーサルプレーヤーなどの信号も受けられたのに……と思う(ちなみに、OPPOはSACD再生にも対応したUHD BDプレーヤー「UDP-203」を販売している)。
22.6MHzのDSDネイティブ再生ではPC接続が必須
機器を接続する際に注意したいのは、設定方法だ。
大きくD/AコンバーターとしてUSB入力でパソコンと接続する場合、ネットワーク再生やUSBメモリー内のファイルをする場合の手順が異なる。前者はパソコン側でドライバーのインストール、再生ソフトの設定などの事前準備が必要となる。後者はスマホで設定/操作するため、まず最初にSonica DACをLANにつなぎ、Google Playストア(Android)もしくはApp Store(iOS)で入手した専用アプリ(Sonicaアプリ)をインストールしたスマホ/タブレットが必要になる。
光/同軸デジタル入力時は、テレビやCDプレーヤーなどの機器を有線接続すれば、特別な設定なく再生できる(BDや放送で使用している音声コーデックには一部対応していないものがあるが、その場合はテレビやプレーヤー側でPCM出力する設定にすればいい)。
パソコンとUSB接続する場合、Windowsを例にとると、まず最初にOPPOのサイトからドライバー(USB DAC機能用USB Audio Class2.0 ドライバーソフトウェア)を入手し、パソコンにインストールしておく必要がある。
次にハイレゾ再生に対応したソフトの準備が必要になる。定番はフリーソフトの「foobar 2000」だが、プラグインで機能を追加していくタイプのソフトのため、多少準備の手間がかかる。特に注意したいのはDSD再生をするまでの手順だ。
ASIO出力プラグインと、Super Audio CD Decoderプラグインの追加が必要になるが、ASIO出力プラグインは最新版、Super Audio CD Decoderは最新版ではなく、0.8.xまたは0.9.6以前のバージョンを利用しなければならない。詳しくはOPPOのサポートサイトにも記載があるが、DSD11.2MHz以上のファイルを再生する際にネイティブ再生ができないためだ。
Sonica DACの最大の特徴である最大22.6MHzのDSD(DSD512)や最大768kHz/32bitのPCMを再生するためにはPC接続が必須となるのだが、そのためにはOPPOのサイトなどを見ながらハードルを乗り越える必要がある。もっとも現時点ではDoPでDSD256の音源が楽しめれば十分であるため、DSD512のネイティブ再生にこだわらないのであれば、最新版のSuper Audio CD Decoderを使用するのでも問題はない。
ネットワーク再生は設定さえ済めば、意外と手軽に操作できる
ネットワーク再生する場合は、すでにLAN環境が用意されていれば、Sonica DACをネットワークに接続し、アプリの画面に沿った設定を続けていくだけで済む。Wi-Fi接続でも問題ないが、SSIDの取得とパスワードの入力などの手間が多少かかるのと、接続の安定性から、個人的には有線LAN接続を推奨したい。
再生操作も、Sonicaアプリでメディアサーバー機能を持つNASに保存してある音源を選ぶ。アプリはよくできており、直感的に使える。また最近では当たり前になったが、一度選曲操作を済ませておけば、スマホの電源を落としてしまっても再生が続くので快適だ。
ネットワーク再生は一度設定を済ませてしまえば、PCレスで使えるため、単品オーディオで組んだシステムとの相性もいいように思う。ただし再生できるフォーマットが最大192kHz/24bitのPCMと、最大2.8MHzのDSD(DSD64)に制限される。また、DSD対応のファイル形式(DSFやDFF)をストリーミングできないNASもあるので、注意が必要だ。