英語が世界共通の言語だとはいえ、全世界では6000以上の言語が日常的に使われています。スペイン語、英語、ヒンディー語、アラビア語、それに中国語はもっともよく使用されている言語です。
開発者やWebサイトオーナーは、海外からのリーチ増大が見込めるWebサイトの多言語対応を検討するべきでしょう。
WordPressの強み
WordPressはWebサイトを立ち上げるにはうってつけのプラットホームで、母国語に関係なく誰でも利用できます。言語を選択してWordPressをインストールする方法はこちらです。
またWordPressは訪問者向けに、多言語コンテンツを作成できるおもしろいプラグインを幅広く揃えています。こうしたプラグインを使えばよりアクセスしやすいサイトにでき、言語が違うだけで潜在的なサイト訪問者を失ってしまうのを防げます。
Webサイトの多言語化が必要な理由
英語は世界共通語ですが、オンライン利用者のうち英語ネイティブは26%に過ぎません。この26%という数字は前年より低く、さらに下がっています。
たとえば米国の共通語は英語ですが、人口の10%がスペイン語を話すように、多言語国家は珍しくありません。Webサイトを確実に多言語化すれば、海外からのリーチを増やせるだけでなく、販売につながるプラットホームを提供できます。たとえば、ヨーロッパのアパレルブランドASOSは、2013年に中国とロシア市場でリーチを増やし、世界中で売上を39%伸ばしました。
この記事では、Webサイトを多言語化するのに役立つおすすめのWordPressプラグインを紹介します。
WPML
WPMLは翻訳と多言語管理の機能性を兼ね備えたフル機能搭載のプラグインです。
WordPressサイトのニーズに合わせ、多言語CMS(年額$79)、多言語ブログ(年額$29)、多言語CMS無期限($195一括払い)の3種類のライセンスが用意されています。
当然ですが、多言語ブログはシンプルなニーズやサイト向けで、メニューや分類に沿ってすべての多言語投稿を扱えます。また、ブラウザーの言語も検出できます。
加えて、多言語CMSではウィジェット、カスタムフィールド、テーマも翻訳できます。また複数ユーザーが携わる翻訳管理やEコマースサポートも提供しています。
特徴
- 利用可能なサイト数は無制限で、上で紹介したライセンスすべてで30日間の払い戻し保証がある
- すぐに使えるサポートを提供していて、40言語に対応し、多くのテーマと互換性がある
- フル装備のCMSプラットホームを実現し、コンテンツ管理や翻訳者に仕事を割り振れる
- WPMLの翻訳管理モジュールをインストールするとさまざまなプロ翻訳サービスが表示され、翻訳の外注ができ、翻訳状況は各段階の管理画面や通知で確認できる
- 異なる言語でサポート可能な開発チームと、活発なコミュニティフォーラムがある
※WPJ編集部注:このプラグインには自動翻訳機能はありません。多言語対応に必要な機能を提供するものです(2018年2月5日追記)。
Google Language Translator
Google Language Translatorはグーグル公式のプラグインではありませんが、翻訳ツールGoogle翻訳を自サイトで利用できます。Google翻訳機能を使いたいページ、投稿、ウィジェットエリアにショートコードを追加します。
一番簡単な方法で多言語コンテンツが提供できるように設計されています。プラグインをダウンロードして有効化するだけなので、ほかのプラグインオプションと比べてとても簡単です。
特徴
- すぐに簡単に設定できる
- Google翻訳が対応する80言語をサポートしている
- Googleロゴを非表示にもできる
- Google翻訳のすべての言語を表示するか、特定の言語のみ表示するかをオプションで選べる
- 見栄えがよいように縦表示か横表示かを選べる
- Google翻訳を利用するかは訪問者が選べる。
即座に導入できる、費用対効果が高い翻訳ソリューションを探しているならGoogle Language Translatorはおすすめめです。Google翻訳を使った自動翻訳機能には多少の欠点はあるものの、しっかり仕事をこなしてくれます。
Translator
Translatorは独自の方法で訪問者が翻訳コンテンツにアクセスできるようにする無料の多言語化プラグインですが、知名度はそれほど高くありません。「Translate to」のボタンで言語を選択すれば、サイトを効率的かつ素早く数カ国語に翻訳できます。機械翻訳で、Google翻訳の自動翻訳機能を利用しています。
特徴
- 希望の言語を選ぶだけでよい
- 各投稿の上に自動翻訳オプションを表示
- Googleの多言語化ツールを利用するので、SEOも最適化される
- Webサイトに合うようボタンをスタイリッシュにカスタマイズできる
qTranslate X
qTranslate Xは無料のWordPressプラグインで、テーマを多言語コンテンツに翻訳します。
設定ページから簡単に言語を変えたり、追加、削除ができ、多くの言語に対応します。プラグインを有効化してコンテンツを書くだけで多言語化できます。サイトで動的コンテンツを管理する人にとって一番簡単なプラグインです。
WordPressは .po、.moファイルのしくみによって静的なローカリゼーションが可能ですが、動的なコンテンツを維持するためにはこうした専用のプラグインが必要になります。
特徴
- 数カ国語に対応
- ショートコードを使ってウィジェットタイトルやさまざまなカスタムフィールドも翻訳できる
- 日時フォーマットを自動変換
- 言語切替のカスタマイズ可能
- 各URLにつき1言語で、3種類のURLフォーマットが利用可能
- 言語に対応したYoast SEOのサイトマップとGoogleのXMLサイトマップを作成できる
WPGlobus
多言語サイト向けに、WPGlobus にはTinyMCE用WPGlobus、WPBakery Visual Composer 用WP Globus(WPBakery対応のテーマ向けの主要なプラグインを提供)、WooCommerce、WPGlobus Plusといったアドオンがあります。
特徴
- Webサイトのすべてのウィジェットと投稿に対応できる翻訳ツール
- Webサイトに言語を追加でき、翻訳したコンテンツも自動的にSEOの対象にできる
- ウィジェットかドロップダウンメニューでどの投稿も言語切替できる
- 管理者画面の言語をダッシュボードで簡単に切替
- 管理者画面でページ、投稿、ウィジェット、メニュー、タグ、カテゴリーを数カ国語に翻訳
- ナビゲーションメニューで言語切替できるドロップダウンメニューを追加
- 管理画面で言語コードと国旗の組み合わせを定義し、有効化する言語を選択
WooCommerce MultilingualWPMLと合わせて使用
WPMLとWoocommerceを使って簡単に多言語のEコマースサイトを運用できます。訪問者が言語を切替えると店舗ページや商品が翻訳され、切り替えた言語で商品を注文できます。
特徴
- さまざまな商品カテゴリーを多言語化
- 商品カテゴリー、カスタム属性、タグの翻訳を一括管理
- 決済プロセスまで同じ言語でできる
- 商品画像とバリエーションを同期
- 言語ごとに商品を分けずに在庫確認できる
- 希望の言語で管理者やクライアントにメール送信
- 数種類の通貨で個別のWooCommerceストアを運営
Polylang
WordPressの多言語サイトを作成、管理できる包括的なソリューションを探しているなら、Polylangがおすすめめです。Lingotekの翻訳サービスもアドオンにリンクでき、翻訳サービスを利用することも、自分で翻訳することもできます。
特徴
- 管理画面を使って41言語以上に対応
- 各言語対応の固有のサブドメインを使用
- ウィジェットで簡単に言語を変えられる
- 言語を自動検出できる。手動やURL内のコードで設定することも可能
- カスタム投稿、通常投稿、タクソノミー、ウィジェットの翻訳にも対応
プロに翻訳を依頼した方が良いか?
自社サイトで既に利益が上がっているなら、場合によってコストをカバーできるので、プロにお願いするのが一番です。
基本的な翻訳レートがわかれば予算を想定できますが、プロに依頼するなら、プラグインを使うだけのような単純なプロセスにならないことだけは注意してください。
第一に、翻訳プロジェクトの管理は複雑な作業で、プロに外注するには、しっかりしたガイドラインが必要になります。
異なる場所にいる新しいカスタマーや読者を獲得するには、それなりのサポートも必要です。翻訳サービスに投資する前に、自社で新しい訪問者やカスタマーベースに対応できるかよく考えてください。サポートの拡張について再検討が必要になるかもしれません。
最終的な判断
この記事を読んでもまだ、サイトの翻訳は難しいと感じますか? 心配いりません。少しずつ、1言語からでも始めてみてください。こうしたプラグインを使えば、確実に一歩リードできるはずです。
(原文:WordPress Multilingual Plugins to Level Up Your Global Reach)
[翻訳:和田麻紀子/編集:Livit]