「相手を動かすために『伝える』力」を身につけるには? 22名のエンジニアが悪戦苦闘
若手エンジニアのプレゼン力を磨け!DMM.comラボ×さくらが合同研修
2017年02月21日 08時00分更新
プレゼンテーション能力は、社内の事業提案や社外セミナーといった特別な場だけでなく、職場での日常的なコミュニケーションにおいても必須となる力だ。それを身につけ、磨いてもらいたいと、さくらインターネットとDMM.comラボの2社が2月18日、入社1~3年目の若手エンジニアを対象とした「エンジニア向けプレゼンテーション研修」を実施した。
両社とも、技術的なテーマのエンジニア研修は頻繁に開催しているが、プレゼンテーションをテーマにした研修は初めてだという。この日の研修には、両社から22名の若手エンジニアが参加し、レクチャーやグループワークを体験したあと、最後には両社役員を審査員に迎えたグループ対抗のプレゼン大会も行われた。
ここでは1日がかりの研修の模様をお伝えするとともに、研修を企画した両社担当者に、若手エンジニアにもプレゼン力が求められる理由や今回の狙い、今後の展開などを聞いた。
研修スタート、まずは「自分自身のプレゼンテーション」から
研修は土曜日の午前10時半からスタートした。参加者は、3~4名ずつの両社混成グループ(計7グループ)に分かれて席に着く。それぞれ初対面、しかもふだんは違う会社でインフラ、Webシステム、アプリなど、異なるレイヤーの業務に就くメンバーたちであり、各グループの雰囲気もまだどこかぎこちない。
DMM.comラボの吉野優子氏が研修の目的や1日の流れを説明したあと、研修はまず、各グループ内で1人1分間ずつ自己紹介をすることからスタートした。「ふだんの仕事内容」や「今日の研修で学びたいこと」を話し、自分自身がどんな人間なのかを伝えるというものだ。このとき参加者は、自分がプレゼンテーションする姿をスマートフォンで動画撮影してもらう。
自己紹介がひととおり終わったところで、各参加者は自分のプレゼンテーション動画を見返し、そこから「伝わる」プレゼンテーションのポイントとは何かを考え、グループ内で話し合った。
参加者からは「『1万台のサーバーを管理している』といった、具体的で印象に残るキーワード」「聞いている人に語りかけるような話し方」「笑いを盛り込んで相手を話に引き込むこと」などが良いポイントだったと評価する声の一方で、「身体がフラフラしていたり目線が動いたりしていて落ち着きがない、堂々としていない」といった反省点も挙がった。
テクニックよりもまず「プレゼンテーションの目的」を意識しよう
この流れを受け、DMM.comラボ人事部の中川亮氏が「プレゼンテーションのコツ」、特に「伝え方」の技法に関するレクチャーとグループワークを行った。
中川氏は社内の教育研修を担当しており、人前でプレゼンテーションを行う機会も多いが、やはり人前で話すときは緊張するという。ただし、プレゼンテーションを通じて意図が相手に伝わったことが実感できるのはとても楽しく、研修を通じて「プレゼンテーションは楽しい、ということをぜひ知ってもらいたい」と話す。
中川氏はまず、プレゼンテーションは「内容(コンテンツ)」と「伝え方(デリバリ)」の両面から成り立つものであり、その目的は「解・動・早」にまとめられると説明する。
「プレゼンは、できるだけ『早』く相手に『解』ってもらい、『動』いてもらうために行うもの。わたしの今日のプレゼンも、皆さんに早く解ってもらい、明日からさっそく活用してもらうためにやっている」(中川氏)
プレゼンテーションの目的をそう説明したうえで、中川氏は「伝え方のコツ」として4つのキーワードを挙げた。発表者の堂々とした態度や明快な話し方といった「存在感」、PERP法やSDS法、“空→雨→傘”法といったロジックの組み立てによる「わかりやすさ」、ストーリー構造や五感への刺激などを通じて感情に「グッとくる」働きかけ、聴衆をよく見ながら話を進め、問いかけなどで聴衆を「巻き込む」ことだ。
とは言え、プレゼンテーションにはまず相手に伝えたい「内容」がしっかりとなければ意味がなく、「伝え方」についても、細かな技法を学ぶよりは「解・動・早」という目的に合致させるにはどうしたらよいかを考え、繰り返し場数を踏むことが大切だと中川氏は締めくくった。
中川氏のレクチャーを終え、参加者は再び各グループ内で1人ずつ2分間のプレゼンテーションを行い、お互いに評価し合った。ここでのテーマは「自分の仕事のやりがいについて」で、時間も2分間と長くなったが、レクチャーを通じて学んだポイントを押さえ、冒頭で行った自己紹介よりも「伝わる」プレゼンテーションのあり方を、身をもって体験できたようだ。