ASCII倶楽部

このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

ワイヤレスで手軽にいい音、3タイプから選ぶ“高音質”コンパクトスピーカー (1/3)

2017年02月09日 15時00分更新

文● ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 「いい音で聴きたい!!」と思ったとき、まず最初に手が伸びるものは? パソコンやスマートフォンからのステップアップを考えると、「まずは少し高級なイヤフォンやヘッドフォン」と考える人が多いのではないだろうか。

 もちろんそれも有力な選択肢だ。巷にも手ごろで高音質な製品が増えてきた。海外・国内の新興ブランドを中心に数千円でも納得のいく音質の“ハイレゾイヤフォン”が続々と登場している。

スピーカーで音の世界に触れてみよう

 ただし、イヤフォンやヘッドフォンはあくまでも“ひとりで聴く”ことを前提にした「パーソナルオーディオ」だ。いい製品になればなるほど、周囲の音と分断し、音楽だけがある世界に浸っていくことが目的になる。高音質を手に入れる条件のひとつに「遮音性」なんて項目があるのは象徴的だ。

 一方でスピーカーによる再生は少し趣きが異なる。

 ヘッドフォンやイヤフォンが“いい音に没頭する”ためのデバイスだとすれば、スピーカーは“いい音で空間を満たす”ためのデバイスと言えるかもしれない。だから音楽の環境を演出し、より自然に音に寄り添えるものになれば完璧だ。小さめの音量で音楽を流した状態で他の人と会話したり、少し離れた場所で別の作業を進めながら音楽を聴くことができるし、日常生活の流れを止めずに、音楽を自然になじませられる。

 料理や家事、あるいはお風呂でリラックスする際にちょっとした音楽が欲しい。そんなバックグラウンド・ミュージック的な用途から、少しボリュームを上げて体で音楽を感じたいという人まで、イヤフォン/ヘッドフォンとは一味違った音楽体験が得られるはずだ。

 そんなスピーカー再生にチャレンジする際、市場にはさまざまな選択肢がある。1万円以下で買えるBluetoothやPC用スピーカーから、数万円、数十万円の予算で組む本格的なシステムまで。さらに上は天井しらずだが、ここではスマホやパソコンからステップアップに便利なワイヤレススピーカーと、本格的なHi-Fi再生も楽しめる入門向けのコンパクトスピーカーまで、いくつかのスタイルに沿った提案を典型的な製品と一緒にしていこう。

手軽なBluetooth、本格的でもコンパクトなアクティブ型も注目

 さていい音を手軽に手に入れるためにここで紹介する方法は大きく3つだ。

1. 定額ストリーミング再生にも対応した“Wi-Fiスピーカー
2. スマホの音を手軽にワンランクアップ“Bluetoothスピーカー
3. 本格的なHi-Fi向けブックシェルフ型“アクティブスピーカー

 システムが複雑になればなるほど、価格が上がったり、設置への配慮が必要になるなどハードルが上がっていく面はあるが、本格的なシステムになれば満足度もその分上がっていくはずだ。

 それぞれの特徴と具体的な製品に関しては順番に見ていくが、最初に強調しておきたいのは、スピーカー再生は思った以上に手軽であるということ。

 デジタルアンプの進化や設計技術の進化もあって、小型でもサイズを上回る低域やスケール感を感じる製品が増えている。

ストリーミングサービスとの連携で再び脚光浴びるWi-Fiタイプ

 Spotifyをはじめとした定額音楽ストリーミングサービスの開始で急に注目を集めるようになったのが、Wi-Fi接続タイプのスピーカーだ。Wi-Fi(もしくは有線)で、LANやインターネットに接続。NASに置いた音楽ファイルを再生したり、インターネット経由でラジオ放送を再生するといったことが可能になる。

Spotifyのウェブサイト

 また多機能な上級機という位置付けの機種となり、Bluetooth接続に対応している場合が多い。そのぶん価格が割高になることと、そもそもスマートフォン自体がネット接続機能を持っているので、Bluetoothがあればとりあえず問題ないと考える人が多かったのかもれない。それほど人気のあるジャンルではなかった。

 その状況が変わってきたのは、定額音楽ストリーミングサービスの登場だ。Spotify Connectと呼ばれる機能を使うことで、インターネットラジオだけでなく、様々な楽曲やプレイリストにアクセスできるようになる。利用には無料のSpotify Freeではなく、月額980円のSpotify Premiumへの契約が必要になるが、Spotifyの提供する何百万曲ものライブラリーへのアクセスが自由にできるようになる。

 Spotify Connect対応の機器であれば、その操作のためだけにいちいちスマホやパソコンを立ち上げなくて済む。この点も非常に便利だ。

 Spotify Connect対応の機器はSpotifyのウェブサイトに掲載されている(https://www.spotify.com/jp/connect/)が、

 中でも小型で拡張性が高い製品として特徴的なのがボーズの「SoundTouch 10」だ。

 ギターアンプを小型化したような縦型のアンプ一体型スピーカーで、本体機能自体は電源や音量調節用ボタンを除けば、6つのプリセットボタンだけと非常にシンプル。Wi-Fi接続が可能(有線LAN端子も装備)なので、無線LANが使用できる環境なら、電源をコンセントに接続するだけのシンプルさで設置が完了する。

ボーズのSoundTouch 10

 ここまでなら一般的なBluetoothスピーカーとそれほど変わらないが、ポイントとなるのは設定さえ済ませば、単体で簡単にSpotifyのプレイリストを呼び出せる点だ。専用のスマホアプリを介して設定すると、上部のプリセットボタンを押すだけで登録したプレイリストを呼び出せるようになる。一度Spotifyのプレイリストやアーティストなどを登録しさえすれば、スマホなしのワンタッチ操作で、非常に簡単に音楽を呼び出すことができるのだ。Spotifyのプレイリストは毎日更新される“パーソナルなラジオ”的な機能であるため、プリセットするのに向いている。

 またWi-Fiスピーカーの多くは、DLNAの機能を利用して、NASに保存したファイルの再生が可能になっている。

スタイリッシュが魅力の北欧ブランドBang&OlfsenのWi-Fiスピーカー「B&O Play Beoplay M5」

 Spotify ConnectはボーズのSoundTouchシリーズ以外にも、B&Wの「Zeppelin Wireless」などがある。また、Wi-Fiスピーカーには、Bang&Olfsenの「BeoPlay」シリーズなどスタイリッシュな機種が多いのも特徴だ。Wi-Fiスピーカーの多くは、ワイヤレススピーカーの中でも多機能機という位置付けなので、AirPlayやBluetoothなど、スマホ連携機能が豊富といった特徴も持つのだ。

ちょっとだけ体験、Wi-Fiスピーカーの魅力が詰まった「SoundTouch 10」

 ボーズのSoundTouch 10は、Wi-Fi/有線LAN、そしてBluetooth接続機能を備えたネットワークスピーカーだ。リビングの棚や窓際などにも気軽における縦型のコンパクトなサイズの筐体だが、ボーズらしい豊かな低音に支えられたゆったりとした温もりを感じるサウンドが上質だ。

 ボーカルなど人の声も非常に聴きやすい。解像感やレンジの広さといったところは欲張っていないが、BGMとして長時間として流しても聴き疲れのしないサウンドである。音量も十分に取れるので、15畳、20畳といった広めのリビングでも十分対応できるように思えた。

 ネットワーク接続などの設定や細かな操作は、スマホアプリ「SoundTouch」経由で実行する。インターネットラジオ局のチャンネルやSpoifyのプレイリストをプリセットボタンに登録しておけば、次回以降はスマホなしでもボタンを押すだけで簡単に音楽の再生を始められる。

 内蔵するスピーカーはモノラルだが、2台のSoundTouch 10を組み合わせればステレオ再生が可能になる。こういった拡張性の豊富さも魅力の一つ。サイズそのものがコンパクトであるのに加え、電源コンセントにケーブル1本つなぐだけで利用できるため、設置性は非常に高い。各部屋に設置することで複数の部屋で同じ音楽を流す(マルチルーム再生)ことも可能。コンパクトなサイズを生かして、各部屋に設置するのも面白い。

上部にあるプリセットボタン。ほかに音量調節と電源、Bluetooth/アナログの入力切替ボタンがある。

 なおWi-Fiスピーカーという機能を生かし、DLNAの仕組みを使いNASなどに保存した音源を再生することも可能だ。またパソコンにSoundTouch用のサーバーソフトをインストールしておけば、iTunesやWindows Mediaで管理しているファイルの再生もできるようだが、パソコンを常にオンにしておく必要があるため、若干便利さを損なうかもしれない。

 AirPlayには対応しないが、Wi-Fiスピーカーとしては手軽な価格で、ボーズらしいサウンドを実現してくれる点は好印象。使い勝手のいいストリーミング対応スピーカーとして注目したい製品である。

主なスペック

製品名:SoundTouch 10
ブランド:ボーズ
直販価格:2万9160円
サイズ:幅87×奥行き141×高さ212mm
重量:1.31kg。

その他の注目機種

製品名:Zeppelin Wireless
ブランド:B&W
実売価格:10万円前後
サイズ:幅660×奥行き183×高さ188mm
重量:6.5kg。

 直径25mmのツィーターと、90mmのミッドレンジ、そして150mmのサブウーファーを備えた2.1chスピーカー。Wi-FiやBluetoothでの接続に対応。AirPlay、aptX、Spotifyなど機能面でも豊富なモデルだ。ブラックとホワイトの2種類がある。

製品名:SRS-X99
ブランド:ソニー
実売価格:7万円弱
サイズ:幅430mm×奥行き125×高さ133mm
重量:約4.7㎏

 LDACと呼ばれるソニー独自のBluetoothコーデックに対応。対応機器間であれば、Bluetooth経由でもハイレゾ相当のデータ転送が可能だ。フルデジタルアンプS-Master HXを搭載する。無線LANやDLNA、Spotify Connectなどにも対応。とにかく多機能な1台。

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

週間ランキングTOP5

ASCII倶楽部会員によく見られてる記事はコレだ!

ASCII倶楽部の新着記事

会員専用動画の紹介も!