1月21日は、米国で歴史的な1日となりました。
ワシントンDC、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ…全米の都市で、女性の権利を訴えるデモ行進、「Womens March」が開催され、ワシントンDCでは50万人が行進に参加しました。
筆者が住むバークレーでも、ベトナム反戦運動が勃発したUCバークレーはもちろんのこと、サンフランシスコの対岸にある港町オークランドでも10万人が行進に参加し、交通機関は軒並み麻痺する結果となりました。
そして1月20日の大統領就任演説はインターネットの歴史の上で、ライブストリーミングとしては史上最大規模だったそうです。
Akamaiによると、ストリーミング中継のピークの帯域は8.7Tbpsだったとしています(http://www.prnewswire.com/news-releases/inauguration-sets-record-for-live-video-streaming-of-news-event-on-akamai-300394284.html)。2009年のオバマ大統領の就任演説は1.1Tbpsだった事を考えると、約8倍の帯域が使われていたことになります。
筆者はオークランドに、行進の様子を取材しにいきました。
トランプ政権の政策への「No」
Womens Marchの参加者は、それぞれピンク色を身につけて参加します。通行止めとなったオークランドの中心を貫くグランドストリートの道幅一杯に、およそ10万人の参加者がプラカードを掲げて更新していました。
女性の権利を訴えるという主題は、今年その矛先を新大統領に就任したばかりのドナルド・トランプ氏に向けていました。
選挙中から性や人種に対する差別的な発言が相次いでいたトランプ氏を、大統領として認めないというプラカードが数多く見られました。
加えて、1月20日の就任式の後、早速トランプ色を打ち出す人事を発表している新大統領の政策にも敏感です。
たとえばホワイトハウスのウェブサイトでは、LGBTの権利に関するページや、いわゆるオバマケアと言われる健康保険に入りやすくする政策、気候変動への取り組みに関するページが削除されました。
これに対して反対するプラカードも多数見られました。
特に多様性が保たれたカリフォルニアの都市部に住んでいるリベラル層にとっては、トランプ大統領は真逆の思想であり、当選が決まったときの悲鳴のキズが今でも癒えていません。そうした背景も助けて、涙ぐみながら更新する女性の姿も少なくありませんでした。
シリコンバレーとトランプ大統領
ちなみに筆者は、トランプ大統領とシリコンバレーが、どのような関係性を築いていくのか、あるいは対立するのかという点に非常に注目しています。
このことは、次のiPhoneがどんなデザインかなんてどうでもよくなるほど、興味深いテーマです。あるいは、将来のiPhoneに影響を及ぼしかねない問題でもあるわけで。
大統領の当選が決まってから、AppleやGoogle、Amazon、Teslaなどのテクノロジー企業のトップがトランプ氏を訪問し、意見交換をしました。
トランプ氏は米国第一主義を貫くものとみており、たとえば米国企業が販売する製品を海外で作ろうものなら、高い関税をかけると息巻いています。その矛先は自動車メーカーやAppleに向けられています。
ティム・クック氏がトランプ氏とどのように対峙するのか、その方向性はまだ明らかではありませんが、事を荒立てて得なことはないとお互いにわかっているのではないでしょうか。
トランプ氏は中国を貿易不均衡国として名指ししており、日本もメキシコとともに巻き添えを食っています。もしiPhoneが米国で作られることになっても、日本からのパーツの多さが攻撃材料になりかねませんし。
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