1月19日、F5ネットワークスジャパンは米国以外では初めてになる「ジャパンテクノロジーセンター」の開設を発表した。日本でニーズの高い性能検証が可能になり、ユーザーの期待値とベンダーの公表値のギャップを埋める役割が期待される。
2桁成長を続ける日本法人への投資の形
今回開設が発表された「ジャパンテクノロジーセンター」はF5製品の性能検証が可能なPOCラボやデモ、パートナーや顧客などへのトレーニングを提供する施設で、同社の赤坂オフィスに設置されている。2桁成長を達成している日本市場への投資施策の一環で、米国以外では初めて設立される施設だという。
開設の背景には、クラウドやセキュリティ分野に注力している同社のグローバル戦略がある。F5で10年の就業経験を持つギド・フォスメア氏によると、現在は手動による構築・運用が行なわれていたトラディショナルなデータセンターから、自動化とオーケストレーションが進みつつある新しいデータセンターに移ってきている時期。こうした大きなパラダイムシフトの中、信頼感の高い性能検証やデモ、トレーニングを行なえる体制を構築する必要があったという。特にセキュリティ分野に関しては、常時SSLの潮流や苛烈なDDoS攻撃といった現状があり、これに対応するF5製品の実力を実証していくことで、導入までの障壁を下げられるという。
数週間かかってた負荷検証が最短1日で可能に
従来、同社はシアトル、サンノゼ、ニューヨーク、ロンドンなどにテクノロジーセンターを用意してきたが、多くはソリューションを顧客に披露するEBC(Executive Briefing Center)がメインで、性能検証は本社のあるシアトルでしかできなかった。これに対して、ジャパンテクノロジーセンターでは、IXIAの機器を用いた多様な負荷検証が可能になるという。
もちろん、国内での性能検証自体はこれまでも可能だったが、シアトルから機器を調達する必要があったため、実施までに数週間かかっていたという。しかし、ジャパンテクノロジーセンターには最新ハードウェアが全機種用意されているため、「負荷試験が最短1日で可能になる」(フォスメア氏)とのこと。また、大容量な伝送能力が必要とされるキャリアレベルの検証にも耐えうるという。
性能検証では、トラフィックをSSL化したり、WAFポリシーを追加した場合にどの程度性能が変化するのか、クラウド環境に移行した場合、アプリケーションは期待通り動くのか、オーケーストレーションでどんな効果が得られるのか、などを検証できるという。「日本では正確な速度検証が必要になる。お客様の期待値と実際の性能のギャップを埋めなければならない」(フォスメア氏)とのことで、SIerなどのパートナービジネスが中心の日本のITの現場で、ユーザーに信頼できる数字を出すためには、こうしたジャパンテクノロジーセンターのような施設が必要にあったという。