デルは現地時間1月5日、米国ラスベガスで開催中の「CES 2017」にてプラスカンファレンスを開催。これからのパソコンに多大な期待を感じさせる、コンシューマー向けの製品群を発表した。
まず最初に発表されたのが、オールインワン・パソコンとして現在、最高峰のサウンドを実現する「XPS 27 AIO(ALL-IN-ONE)」。スピーカーが再生できる全周波数範囲に渡ってハイファイオーディオを内蔵する世界初のパソコンとなり、オーディオ機能を重視していない製品が多々ある中、真のオールインワンを実現。グラミー賞を獲得した音楽プロデューサーのジャック・ジョセフ・ピュイグと共同制作したモデルとしても話題を呼んでいる。
デスクトップには前面に6基、背面に4基のフルレンジスピーカーを搭載。この10 基のスピーカーは、他社の27インチパソコンよりも2倍の音量で、50W のサウンドを出力する。しかもUltraSharp 4K Ultra HD(3840 x 2160)のエッジトゥエッジ型タッチディスプレイを採用。600万ピクセルの画質で100%のAdobe RGB をサポートするので、限りなく実物に近いイメージを表現できる。再現できるカラーは実に10億色以上だと言う。CPUはIntel Core i5またはCore i7のいずれかを選択。米国のDell.com にて1月5日から販売し、価格は1500ドルから。
カンファレンスにはグリッチホップのパイオニア的存在である、アメリカ出身のエレクトロトリオ「ザ・グリッチ・モブ」のBORETAとOOAHが登場。BORETAは彼らの音楽制作のアプローチ方法について説明。OOAHは「XPS 27 ALL-IN-ONE」でどのように演奏するのか、会場で実際に披露してみせた。常に新しいことに挑戦し続ける彼らは、今年中には「XPS 27 ALL-IN-ONE」をライブに採り入れる予定であることを語った。
音楽の次はアートで、クリエイター向けの各機能を装備した「Dell Canvas」を発表。このパソコンのユニークな点は、ワークスペースがキーボードではなく、フラットな27インチディスプレイになっていること。デジタル製図用テーブルからヒントを得た。タッチ機能、デジタルペン、トーテムというコントローラーを活用して作業を行ない、まるで紙にペンで描くのと同じように、自分の考えやアイデアをパソコン画面上に表現できる。Microsoft社と共同開発され、Windows 10を搭載。AdobeやAutodesk、AVID、Dassault Systems、SolidWorks、Microsoft などのパートナー各社が提供するソフトウェアともシームレスに連携するので、ユーザーの創作意欲を途切れさせることなく引き出してくれる。米国のDell.com にて3月30日販売予定。価格は1499ドルから。
「Dell Canvas」の発表には、デジタル・ビデオ・オーディオ・システムの製造開発を行なうAVID社のCEOであるルイス・エルナンデスが登場。パソコンをより良いオーディオとビデオ製造プラットフォームにするために、デルと協業したことを語った。同社のプロダクト・スペシャリストのコーリー・テドローは、「Dell Canvas」を使ってのデモを実施。タッチスクリーンがクリエイターにとっていかにビデオ編集を快適にさせるかを、巧みな操作で実証した。
その後、会場のスクリーンに7月7日全米公開予定(日本公開は8月11日を予定)のスパイダーマンの最新作「スパイダーマン:ホームカミング」の予告編が上映された。これはデルが本作の制作に協力しているためだが、主役のピーター・パーカーを演じるトム・ホランドが登場したことに、会場は大いに賑わった。トムは映画本編にデル製品が登場すると言う。トムは、自身が演じるピーターの親友が使うノートパソコンとして、「Inspiron 15 7000 Gaming」を紹介した。
この「Inspiron 15 Gaming」シリーズは、NVIDIA GTX 10シリーズのグラフィックスを搭載したゲーミングノートパソコン。4Kの高画質にも対応する1080pの高性能ゲーミング機能と、CPUにIntel Core i7Quad Coreを備えるモデルも選択できる。デルは高級ラインの「ALIENWARE」に加え、より手頃な価格帯で提供する「Inspiron」ブランドのゲーミングノートパソコンをラインナップ。「Inspiron 15 7000 Gaming」はその先駆けとなる。米国のDell.com およびBest Buyにて1月5日から販売し、価格は799ドルから。
新たなビジュアル体験ができるディスプレイとして、「UltraSharp 32 Ultra HD 8K モニタ」についても発表された。これは世界初の32インチ8K解像度モニタ。Ultra HD 4K の解像度の4 倍で、フルHD の実に16 倍のコンテンツ量を処理できる。その鮮やかさや光と影のコントラスト、リアリティさは目を見張るほど。10 億以上の色数を誇り、解像度は33.2M pixel。モニタに映し出されたボクサーの映像は、たくましい筋肉や浮き出た血管、身体の産毛までもリアルに表現。Adobe RGBとsRGB の色域が100%で、280ppi もの画素密度を備える。米国のDell.com にて3月23日発売予定。価格は699.99ドルから。
デルは世界最小サイズをうたうモバイルノート「XPS 13 2-IN-1」を発表。これは狭額縁のディスプレイを採用した、13.3型で世界最小サイズを謳う「XPS 13」の2in1モデル。360度のヒンジを備え、デルのクライアント・プロダクト・グループ 副社長のサム・バードは、本機を閉じた状態から360度回転させて、タブレットスタイルにして見せた。ディスプレイの解像度はフルHD/4Kから選択でき、バッテリ寿命は最大15時間。米国のDell.com およびBest Buyにて1月5日から限定販売し、価格は999ドルから。
このほか、アメリカのWiTricity社 の共振無線充電技術を搭載し、ケーブルやドックから取り外すことなく、パソコンを持ち運ぶことができるLatitude 2-in-1の新製品「Latitude 7285 2-in-1」の構想も発表。充電マットとデルのワイヤレスドッキングソリューション「WiGigドック」を組み合わせることで、ユーザーはケーブルやドックから取り外すことなく、パソコンを持ち運ぶことができる。その手軽さに、充電に対する概念が変わる製品になるだろう。詳細は追って報告される。
なお今回、発表された「Dell XPS 27 AIO」、「Dell Canvas 27」、「XPS 13 2-in-1」はCES 2017のイノベーションアワード受賞製品。デルの製品はこの他にも多数、イノベーションアワードに受賞しており、カンファレンスでは紹介されなかった製品も、多数、展示され、華やかに会場を彩った。
初出時、「XPS 13 2-IN 1」を無線充電対応と表記しておりましたが、正しくは「Latitude 7285 2-in-1」が無線充電対応となります。お詫びして訂正致します。(2017年1月16日)
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