Uberの自動運転車はサンフランシスコで運行を停止せよ
当局の通知を無視して運行を続けるUber
自動運転が後戻りできない体験である一方で、まだまだ発展途上の技術であるという理解をしている筆者ですが、基本的には、安全に走行距離数を重ねてデータを取り、技術向上の速度を上げるべきだと考えています。
Uberの自動運転車導入も、その一助になるはずです。しかしサンフランシスコでは、当局運行停止が命じられ、トラブルになっています。UberはVolvoの自動運転車両にドライバーを乗せて、テストを開始しました。カリフォルニア州陸運局(DMV)は、当局の許可を得てからテストをするよう通知していましたが、Uberがこれを無視して運行を続けているのです。
Uberによると、ドライバーを乗せていて自動運転の定義に当たらないから、DMVが言う自動運転車の許可は必要ない、という主張です。しかしDMV側はカリフォルニア司法長官命令を発行し、適切な許可を取るよう通知しているのです。
地元のニュースチャンネルKron4は、Uberの自動運転車が赤信号を無視して通過しているYouTubeビデオ投稿を紹介し、安全性に対して疑問を投げかけています(http://kron4.com/2016/12/14/video-viewer-says-driverless-uber-ran-red-light-in-san-francisco/)。
DMVからの命令は手続き上の問題ですが、赤信号通過は安全性に関わる問題であるため、後者の方が重要だと思います。自動運転車に乗り込むドライバーがどのような指示を受けているのかわかりませんが、交通法規遵守や危険回避のために同乗している“はず”。にもかかわらず、一方では自動運転車にドライバーを乗せているということで、許可を取る手続きを回避しようとしているわけです。
確かにこれでは、サンフランシスコ市民の賛同が得られないのも無理はなさそうです。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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