この写真にある遠隔操作されている半自動トラクターを誰かがハッキングしたらどうなるでしょうか?
私はサイバーセキュリティーに関わる人間であり、テクノロジーの大ファンです。セキュリティー業界が直面している課題の1つは、モノのインターネット(IoT)の成長です。IoTは日常的に使用するものをインターネットにつなげるということです。それは、トースター、目覚まし時計、圧力センサー、バルブ、セキュリティーカメラ、医療用錠剤、あるいは自動車であったりします。そのメリットは非常に大きく、リモート監視、管理、そして遠隔地から何かを制御する機能などさまざまです。IoTによって、人が避けたい日常的な仕事を機械にまかせられるようになります。
これがIoT市場が爆発的に成長している理由です。インターネットに接続されたIoTデバイスの数は、2020年までにおよそ250億台になると予測されています。
しかし、テクノロジーはツールにすぎないため、そこにはリスクがあります。高潔な目的のために使用できるものは、悪事にも利用できるのです。接続されたデバイスはすべて、他人のプライバシーにも安全にも利益にも関心がない誰かに乗っ取られる可能性があるのです。
それは、誰かが電気鍋を乗っ取って夕飯を加熱しすぎて台無しにする程度のことならごく小さな問題です。しかし、ぞっとするような本物の危険につながる可能性もあります。ストーカーがあなたの知らないうちに家庭内のカメラをハッキングするかもしれません。テロリストが高速道路で自動車の運転を乗っ取るかもしれません。どこかの国が敵国の送電網や上水道をひそかに攻撃する可能性もあります。あるいは、アナーキストが緊急救命室の重要な装置をダウンさせるかもしれません。どれも好ましい状況ではありません。テクノロジーは悪用され得るのです。
そのため、私は毎日そのような出来事を調べており、技術革新とセキュリティーの脅威が交差する将来について思いを巡らしています。ここに、私がけだるい午後に思い描いていた最新の小さな宝石があります。それは、Case IHの自動運転コンセプトカー(英文)です。これは、半自動機能で自律走行することもオペレーターが遠隔制御することもできるトラクターで、野獣のようにパワフルなマシンです。自動運転トラクターの利点は非常に大きなものになると予想され、農場の農業生産を根本的に変える可能性すらあります。これらのトラクターは、短い収穫時期を最大限に活かし、収穫量が最大になる最適ルートを使用して、燃料を補給するとき以外は毎日24時間休みなしで集団で働いて、生産量を最大化できます。これにより、不可能または望ましくないと考えられている場所でさえ耕作ができるようになる場合があります。国の農業生産に対して非常に大きなメリットをもたらす可能性があります。
しかしその一方で、これらの野獣のたった1台でさえハッカーにハイジャックされるわけにはいきません。1台でも甚大な被害を及ぼす恐れがあります。停止させるのが難しいことが、地元の法執行機関で重大な問題であると判断される可能性があります。まるで車輪の付いた竜巻です。
私はこのマシンをほかより重要なケースとして選び出したわけではなく、単にテクノロジーとセキュリティーを並べて論じるための例として挙げたにすぎません。すばらしい潜在的利益がある一方で、最悪の潜在的リスクもあるのです。私たちは社会の一員としてその両方を理解して、最適のバランスを実現できる方法をとり、適切な安全手段を講じて、より大きなコミュニティーの健全な倫理に従う必要があります。テクノロジーを導入すればするほど、セキュリティーの重要性が増していきます。
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※本ページの内容は 2016年11月1日更新のMcAfee Blog の抄訳です。
原文: The Latest IoT Device I Do Not Want Hacked
著者: Matthew Rosenquist