当時のゲームは音楽まで魅力があった
当時はゲームミュージックの黎明期。ゲームの内容はもちろんだがプレイ中の音楽にも魅力があり、有名タイトルであればサントラCDが発売されるというのは珍しくなかった。また、当時は機種ごとにハードウェアが大きく変わるため、同じタイトルのゲームでも、機種によって音がまったく違うということも多かった。
「プロジェクトEGGでも『ソーサリアン』をPC-98版とX1版の両方出しているのですが、やっぱりX1のオープニングはまったく違うんですよ。音数が違うのもありますが、深みがあるんです」
ソーサリアンを含むドラゴンスレイヤーシリーズ、イース、英雄伝説など、とくに日本ファルコムのゲームミュージックにはファンが多い。2009年からは全曲を自由に使えるという『ファルコム音楽フリー宣言』を実施しているので、テレビや街中のBGMや効果音などで昔プレイしたゲームの音を耳にし、ゲーム画面がフラッシュバックしたという往年のファンもいるだろう。
また、ガイナックスファンでもある鈴木氏の一押しは、KAJA氏の曲。先日復刻された『サイレントメビウス』の戦闘シーンをはじめ、『プリンセスメーカー』や『夢幻戦士ヴァリス2』など、多くのタイトルで曲を提供している。FM音源ドライバーである「PMD」の作者といって思い出す人もいるだろう。
「当時ガイナックスネットという草の根ネットみたいなものがありまして、そこでKAJAさんがコミケで同人ゲームを売るという情報をたぶん書き込んでいました。どうしてもそれが欲しくて、それだけのために初めてコミケに行きました。そのゲームの音楽もすっごくいい曲なんですよ」
鈴木氏が、曲そのものではなく音楽の使い方ですごいと感じたのが、データウエストの『サイキック・ディテクティヴ・シリーズ』だ。単純にCDを再生したりFM音源を鳴らすわけではなく、その2つをうまく組み合わせて、街の中のざわつきや空気感などを演出していたという。これ以外にも、マイクロキャビンの『エルムナイト』が音楽をちゃんと楽しませようとしているのが感じられて、記憶に残っているという。
復刻するのが難しいレトロゲームも数多くある
D4エンタープライズでは『プロジェクトEGG』としてレトロゲームの復刻を手掛けているが、いくつかの問題でゲームを復刻できないことがある。一番の問題は、権利関係だ。とくに古いゲームになるほど権利関係がわかりにくくなり、そもそも誰に権利があるかもわからないことが多くなる。また、複数の人が権利を持っている場合は全員の許諾が必要となるため、難航してしまうこともしばしば。
それでもプロジェクトEGGでは毎月コンスタントにタイトルを追加配信し続け、その数は900本以上に及ぶ。無料で遊べるタイトルも多くそろっているだけに、レトロゲーム好きであれば、一度はのぞいて見て欲しい。
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