英ブリストル大学はイルカやサメなどの生態調査において背ビレの画像認識で個体識別を行なう手法を開発し、高精度で個体識別が可能なことを発表した。
これは10月1日に論文サイトarXivで公開されたもので、サメの背ビレ輪郭からの個体を特定するプロセスを自動で行なうもの。これまでにもイルカやサメなどの生態を研究する場合、その個体がどれほどの距離を移動するのかといった生息域調査には個体識別として背ビレの形状などを参考にしていた。
対象としたのはホホジロザメ。背ビレの高さや幅、とくに後端側にギザギザとなっている部分の輪郭などを抽出する。識別ソフトウェアはディープラーニングで動作しており、これまでに蓄積した画像で学習させた結果、約81%の精度で個体識別できたとしている。また、サメ同士の争いなど輪郭が変わった場合も皮膚の斑点を参考にして同定できるようだ。
野生動物の個体識別などではGPSやトランスポンダーといった発信機を装着するといった手法もあるが、外観だけで個体識別ができるのであれば、例えば観光客やサーファーが撮影してFacebookにアップした画像などからでも、その個体がどれほどの活動領域なのか判別でき生態調査のデータは一気に広がることになる。
研究チームでは世界の研究コミュニティと連携して画像を収集して識別ソフトウェアの高精度化を目指すとともに、イルカやクジラなどの応用を検討しているようだ。