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CANVAS石戸奈々子さんに聞く。無料ワークショップ情報も!

子どもがプログラミングで目を輝かせる理由

2016年09月01日 16時30分更新

文● 遠藤諭(角川アスキー総合研究所)

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子どもたちの「ゴール」や「出口」があるといいと思っていた

−−気をつけることはありますか?

石戸 当たり前ですが子どもたちはそれぞれ興味関心が違うんです。わたしたちは子どもたちそれぞれの興味に基づいてプログラミングに触れてほしいと思っています。だからこそ多様なカリキュラムや多様な学びのスタイルを提供することにしています。

 先ほど挙げたみんなで遊園地をつくるというカリキュラムでは、たとえばメカが好きな子は機構を作ることに一生懸命だったりプログラミングが好きな子は動きを作っていたり、センサーばっかりいじっている子もいたんですね。子どもたちがそれぞれ自分の関心に基づいて熱中していました。でも、結局最後はみんなのアイデアがひとつになって、そこで感動するのでまたやってみたいというようになるんだと思っています。いつも子どもたちが夢中になり主体的に学んでいる姿がみられます。

−−課題は?

石戸 カリキュラムや教える人材、環境整備、地域の支援体制など様々な課題があります。わたしたちは、「Programming Education Gathering」、PEGというプロジェクトを通して全ての子どもたちに「プログラミングで学ぶ」環境が届くよう頑張っています。各地で指導者研修会の開催、出張ワークショップや授業の実施、カリキュラムの企画、機材整備サポートなどを重点的に行っています。学校・教育関連団体・自治体の皆さんなど全国100以上のパートナーと共に、1年間で25,000人の子供たちにプログラミング学習の機会を届け、年間1,000人以上の教育関係者への研修会を開催しました。

−−プログラミング教育はどのように世の中に貢献していくと考えていますか?

石戸 情報社会をみんなが安心して生きていける基礎的な素養が社会に広がっていくことは大きな価値だと思います。また創造力やコミュニケーション力が高まることによって社会経済は活性化すると思います。それが将来の新しいIT産業を生む国際競争力の強化にも繋がるのではないかなと思います。

−−子どもたちは簡単にプログラミングに入っていけるものですか?

石戸 プログラミングを学ぶ子どもたちは目を輝かせて熱中しています。それはプログラミングを学ぼうと思っているからではなく、自分たちのアイデアが形になることに対してわくわくしているからだと思うんです。子どもたちは新しい表現手段を手にし、いきいきと取り組んでいます。わたしたちも楽しみながら学んでいくことを大事にしてこれからも取り組んでいきたいと思います。

−−今回、開催される小中学生プログラミングコンテストについて教えてください。

石戸 ずっと子どもたちが目指すゴールや考えてつくったものの出口があるといいなと思っていました。そこで、このたび「全国小中学生プログラミング大会」を始めることとなりました。第一回のテーマは「ロボットとわたしたち」です。少し先の未来、子どもたちの未来では、もしかしたら当たり前のように身の回りにロボットがいる暮らしがあるかもしれない。その暮らしはどうなっているんだろうと子どもたちがこの大会をきっかけに考えてみたり、社会に活かしてみたりすることにつなげてほしいと思っています。

−−「ロボットと私たち」というテーマではロボットを動かすことに特化しているんですか?

石戸 そうではないんです。ロボットを動かすということももちろん大歓迎なのですが、それだけではなくてロボットが身近になった学校や家、乗り物はどうなっているんだろうというような、社会全体にロボットが入った暮らしはどうなっているのかを考えてほしいと思っているので、あまりロボットにとらわれすぎずに広く考えて欲しいと思っています。たくさんの応募を期待しています。

 第一回全国小中学生プログラミング大会の最終審査・表彰式は10月22日に東京都内にて開催予定だ。小学1年生から中学3年生まで、プログラム作品の応募対象は幅広い。アイデアも大きなポイントとなるので、いまから準備しても受賞の可能性は十分にある。詳しくは、同大会の公式サイトをご覧いただきたい。

石戸奈々子(いしどななこ)

NPO法人CANVAS理事長/株式会社デジタルえほん代表取締役、慶應義塾大学准教授。東京大学工学部卒業後、マサチューセッツ工科大学メディアラボ客員研究員を経て、子ども向け創造・表現活動を推進する NPO「CANVAS」を設立。これまでに開催したワークショップは 3000回、約35万人の子どもたちが参加。実行委員長をつとめる子ども創作活動の博覧会「ワークショップコレクション」は、2日間で10万人を動員する。その後、株式会社デジタルえほんを立ち上げ、えほんアプリを制作中。総務省情報通信審議会委員、デジタル教科書教材協議会理事などを兼務。著書に『子どもの創造力スイッチ!遊びと学びのひみつ基地 CANVASの実践』、『デジタル教育宣言 スマホで遊ぶ子ども、学ぶ子どもの未来』、『デジタル教科書革命』など。デジタルえほん作家&一児の母としても奮闘中。

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全国小中学生プログラミング大会スペシャルワークショップ

【初心者向け】MOONBlockワークショップ
日時:2016年9月4日(日)10時〜12時半
申し込みはこちら=>http://canvas.ws/workshop/11665

【中級者以上向け】enchant.jsワークショップ
日時:2016年9月4日(日)14時〜16時半
申し込みはこちら=>http://canvas.ws/workshop/11664

【中級者以上向け】Raspbery Piワークショップ
日時:2016年9月11日(日)13時〜16時半
申し込みはこちら=>http://canvas.ws/workshop/11674

※会場はいずれも、角川第三本社ビル14F会議室となります。
東京都千代田区富士見1-8-19

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