8月26日(金)に開催されるゲーム音楽吹奏楽コンサート「あそぶらす 第1話」。 坂本英城氏が企画し、プロの吹奏楽団である「ブリッツ フィルハーモニックウィンズ」が演奏を担当。ゲストに、いとうけいすけ氏、伊藤賢治氏、岩垂徳行氏、なるけみちこ氏を迎えて開催される、新しい吹奏楽コンサートの演奏曲目がすべて発表されました!
【演奏予定曲】
★あそぶらすのテーマ(新曲/初演)
●『パズル&ドラゴンズ』メドレー・あそぶらすスペシャルアレンジ!(『パズル&ドラゴンズ』より)
★西風〜マホロバ -栄- (『討鬼伝2』より)
●吹奏楽のための交響詩「消滅都市」第一楽章(『消滅都市』より)
●『サウザンドメモリーズ』メドレー(『サウザンドメモリーズ』より)
★刻の工房(『ノーラと刻の工房 霧の森の魔女』より)
★法廷組曲 逆転裁判6(『逆転裁判6』より)
●The Final Time Traveler (2016年版)(『TIME TRAVELERS』より)
★宝島(アンコール)
★=新規発表演目
「『パズル&ドラゴンズ』メドレー・あそぶらすスペシャルアレンジ!」を皮切りに、『討鬼伝2』より「西風〜マホロバ -栄-」、吹奏楽のための交響詩「消滅都市」、『サウザンドメモリーズ』メドレー、『ノーラと刻の工房 霧の森の魔女』より「刻の工房」、「法廷組曲 逆転裁判6」と、演奏曲目のほぼすべてが本コンサートのための新規書き下ろしかつアレンジされています。
これらに加えて、フィギュアスケートの金メダリストである羽生結弦選手がエキシビションナンバーに選び、ゲーム音楽ファン以外にも多くファンを持つ名曲「The Final Time Traveler」が、昨年8月の初演版にさらに編曲を加えた新規アレンジで演奏されます。さらに今回新たに発表された「あそぶらすのテーマ」は、この演奏会でしか聴けない、坂本英城氏の書き下ろし楽曲です。
そしてこのコンサートは、作曲家本人が演奏や指揮で参加し、トークコーナーもたっぷり用意されるとのこと。
注目の「あそぶらす 第1話」開催にあたって、企画の坂本英城氏、ブリッツフィル音楽監督の松元宏康氏、フルート奏者・大塚恵里香氏、パーカッション奏者・冨岡春絵氏にお話を伺ってきました!
きっかけは「The Final Time Traveler」
――さっそく、「あそぶらす」の企画が立ち上がった経緯からお伺いしたいと思います。
松元:2013年に、僕が正指揮者を務めている琉球フィルハーモニック チェンバーオーケストラ「イオ」で「The Final Time Traveler」が演奏されているのを聞いたんです。僕は指揮していたのではなく、客席で演奏を聞いていたんですが、「うわ、これはすごい曲だ」と思って。どうしても指揮をしたかったんです。その後ずっとチャンスを窺っていて、2015年の2月に『吹奏楽で「The Final Time Traveler」を演奏したい』とお願いして、2015年8月のブリッツフィルハーモニックウィンズ第23回定期演奏会で演奏が実現しました。
坂本:僕、吹奏楽のスコアを書くのは初めてだったんです。吹奏楽のイベントに参加させていただくのも初めてで。すっごく勉強になったし楽しかったです。
――坂本さんは、今まで吹奏楽編成の曲を書かれたことは?
坂本:ないですね。僕はまず弦から作曲を始めるタイプなので、吹奏楽用のスコアを書くにあたって「あ、弦がない」と(笑)。なので、作曲の仕方をいちから変えなければならなかったんですけど、いつもと違う方法のせいか、いろんな面白い発想が出てくるんですよね。「元の曲ではこの楽器で演奏しているけど、吹奏楽版ではこうしてみたらどうか」とか……。おいしいごはんを、今までとまた違う、素晴らしい素材で作り直すような感覚で、すごく楽しかったです。「The Final Time Traveler」は去年の定期演奏会でも演奏しましたが、また新しく編曲して、今回用のオリジナルアレンジになる予定です。
松元:定期演奏会で坂本さんとゲーム音楽の演奏を初めてやったときに、吹奏楽との相性のよさをすごく感じたのと、とにかくすごく面白かったんです。それで、「来年はゲーム音楽だけの演奏会をやりたい!」と坂本さんにお話して。すぐ坂本さんにご快諾いただけたので、「どうせだったら坂本さん、我々を自由に使ってください」ということで、「あそぶらす」では総合プロデュースをしていただくことになりました。
坂本:もう、そんなこと、普通言っていただけませんよ!音楽を好きでやっていて、こんな風に言われることないです。光栄です、ありがとうございます。
新しいゲーム音楽を演奏する新しいコンサート「あそぶらす」
坂本:今回の「あそぶらす」では、ゲーム音楽しか演奏されません。ゲームっていうと、ファミコンから始まる据え置き機の作品を想像されると思うんですけど、今回の演奏曲の半分ぐらいはスマートフォンのゲームの曲なんです。あえて、そういう「新しいゲーム音楽」を取り入れています。ゲーム音楽のイベントやオーケストラコンサートって、昔の作品をやることも多いですよね。でも今回はわりと近年にリリースされたゲームの音楽でまとまっている。そういう意味でも、新しい試みですよね。
――初演される曲がとても多いですね
坂本:はい。「討鬼伝2」とか「逆転裁判6」とか。「消滅都市」ももちろん初演ですし、アレンジはすべて今回のための書き下ろしです。作曲者本人がアレンジしている曲もあります。
作曲家と一緒に演奏できるチャンスも!
坂本:今回ゲストでお呼びしている方は、みんな楽器が弾けるんですよね。ご自身でも演奏できる方に集まっていただいたので、ブリッツ フィルハーモニックウィンズの奏者のみなさんに交じって、一緒に演奏もします。ぼくは「The Final Time Traveler」でピアノを弾くのと「討鬼伝2」で指揮をします。「逆転裁判6」は岩垂さんが指揮をなさいますし、「サウザンドメモリーズ」ではいとうけいすけ君が、「ノーラと刻の工房」ではなるけさんが、それぞれ指揮をします。作曲家が指揮をしたり、演奏をしたりするコンサートって、なかなかほかでは見られないと思うんですよね。
松元:まさにおっしゃるとおりで、管弦楽でゲーム音楽を演奏するイベントって今の日本でものすごく多いですし、プロの吹奏楽団がある特定のゲームの演奏会をやったりツアーを組んだりすることもありますけど、こうやって、何人もの作曲家の方と曲と演奏とでコラボレーションするコンサートは多分初めてだと思います。作曲された方が演奏されるのも、トークコーナーも含めて、どこを抜き出してもかなり面白くなると思うんですよね。
――演奏のほかにもトークコーナーがあるんですね
坂本:はい。「トークの時間を3時間用意して欲しい」って言ったら、ものすごく怒られたんですけど(笑)、今回もトークコーナーがあります。いかにあの猛獣4人(いとうけいすけ氏・伊藤賢治氏・岩垂徳行氏・なるけみちこ氏)を松元さんが取りまとめるのかというところも見どころです。トークの時間を確保するために演奏のテンポを早くして……とか思ったんですけど「腕がもげるからやめて」と奏者のお二人から言われて。なので、演奏とトークがバランスよく配分されたイベントになります!
――ブリッツ フィルハーモニックウィンズさんの定期演奏会では、いちばん最後に観客も楽器を持って舞台に上がって、みんなで「宝島」を演奏するコーナーがあります。今回の演奏曲目にも入っていますが、観客参加OKでしょうか?
坂本:はい、今回も観客のみなさんにも参加していただける「宝島」演奏があります。最後に一緒に演奏するのはゲーム音楽にしようかな、とも思ったんですけど、みんなが知っていて楽しめる曲ということで、「宝島」になりました。 ブリッツ フィルハーモニックウィンズのみなさんと、参加する作曲家全員と一緒に観客のみなさんにも舞台に上がっていただいて、全員で演奏したいと思っています。
吹奏楽とゲーム音楽の将来
――「あそぶらす」演奏にあたって、冨岡さん、大塚さんのお話をお聞かせいただけますか。
冨岡:今、わたしは「消滅都市」をプレイしているんですけど、すごくかっこいいんですよ、音楽が!だから、かっこよく演奏したいと思っています。
坂本:知ってる曲だと、奏者側のテンションも上がりますよね。
大塚:プレイしている作品の音楽を演奏できるっていうのは、ゲームならではのことだと思うんですよね。普段の演奏会では、「楽譜がきて、それを見て、音源を聴いて、フルートを吹く」という感じになるんですけど、ゲーム音楽の場合はそのプロセスが違うので、どういった編曲になるのかすごく楽しみですし、演奏できるのがわくわくします。
坂本:吹奏楽編成のゲーム音楽ってあんまりないんですよね。 僕が作った曲では「100万トンのバラバラ」ぐらいかもしれないです。
松元:実は、将来、そこを狙っているんですよ。
坂本:ほう。
松元:ゲームの曲が、吹奏楽編成だけで作曲されている、というのを。吹奏楽っていうと、「迫力」とか「音が大きい」っていうイメージがあると思うんですけど。
坂本:そうですね。
松元:でも、ものすごくいろんなことができますし、繊細な表現もたくさんできるんです。
坂本:そうそう!
松元:「感動的な音」とか「柔らかい音楽」というと、みなさんストリングスを想像すると思うんです。ストリングスももちろん素晴らしいんですけど、吹奏楽にも独特のよさがあるんですよね。今回の「あそぶらす」の企画を通して、ゲーム音楽に携わっている方が「今度は吹奏楽で作曲してみよう」という方向に発展していければなあ、と思っています。また、それとは逆に、ゲーム音楽を演奏することによって、吹奏楽サイドがゲームに興味を持つことも多いと思うんです。いま、吹奏楽人口って、高校野球の人数よりも多いんですよ。日本全国で600万〜700万人いると言われています。我々もそのうちの一人ですけれど、その人達がゲーム音楽に触れることによって、吹奏楽のコンクールや演奏会で演奏することになれば……と思っています。
坂本:そうですね。 これをきっかけに、ゲーム音楽も吹奏楽も、相乗効果で良さを知ってもらいたいな、と思います。
「あそぶらす」はリビングの延長線上にあるコンサート
――吹奏楽ファンにも、ゲーム音楽ファンにも届けていくコンサートとして企画された「あそぶらす」、どのような雰囲気のコンサートになるでしょうか。 もし、衣装など演出のご予定がおありでしたらお聞かせください。
坂本:僕たち、衣装にジャージ着たり、ジャージ着た上でかぶり物を使ったりするから記憶に残りにくくなっちゃうんですよね(※坂本氏率いるノイジークローク社員によるバンド「TEKARU」は、衣装がジャージであるほか、小物や小道具などをふんだんに使ったステージングを披露している)。バンドのほうではそんな感じなので、今回はあんまり変化球は投げずに、まっすぐ。尖った部分はひとつに絞ります。
松元:でも、今回の演奏会はフォーマルな感じにはしないつもりでいます。 あまり堅苦しくならずに、普段着で。また、座りますよね? ソファに。去年のあのトークコーナー大好評だったんです(※去年の定期演奏会では舞台の隅に置かれたソファに指揮者・作曲家が座ってトークをした)。
坂本:座りますね。リビングみたいな感じで。
――だいぶリラックスした感じのトークコーナーになりそうですね
坂本:そうですね。そうなると思います。あとは、トークが事故らないように気を付けるだけです(笑)。
――最後に、読者のみなさんに一言お願いいたします。
坂本:「あそぶらす」は、リビングでコンサートしているみたいな雰囲気にしたいと思っています。中世のお金持ちみたいな感じで。「作曲家と演奏家のみなさんが、仲良く一緒にゲーム音楽を吹奏楽で奏でている」というところを、「あそぶらす」第1話では大事にしていきたいと思っています。
新しいゲーム音楽吹奏楽コンサート「あそぶらす 第1話」のチケットは好評発売中。お手元に持ち運び可能な楽器をお持ちの方は、ぜひ楽器を持ってコンサートに行って演奏を聴いて、最後に作曲家のみなさんと一緒に「宝島」演奏にご参加ください!
イベント概要
Blitz Philharmonic winds 第27回定期演奏会
坂本英城Presents あそぶらす 第1話
企画:坂本英城(ノイジークローク)
演奏:ブリッツ フィルハーモニックウィンズ
指揮:松元宏康(ブリッツ フィルハーモニックウィンズ音楽監督)
ゲスト:いとうけいすけ、伊藤賢治、岩垂徳行、なるけみちこ(50音順 敬称略)
開催日:2016年8月26日(金)
開演時間:18時45分
開催場所:川崎市多摩市民館
入場料:(前売)一般3500円/学生2000円、(当日)一般4000円/学生2500円
※全席自由。
※学生券は入場時にチケットとご一緒に学生証を提示して頂く場合がございます。
※未就学児のご入場はご遠慮下さい。
演奏プログラム
1 あそぶらすのテーマ(新曲/初演)
2 『パズル&ドラゴンズ』メドレー・あそぶらすスペシャルアレンジ!(『パズル&ドラゴンズ』より)
3 西風〜マホロバ -栄- (『討鬼伝2』より)
4 吹奏楽のための交響詩「消滅都市」第一楽章(『消滅都市』より)
5 『サウザンドメモリーズ』メドレー(『サウザンドメモリーズ』より)
6 刻の工房(『ノーラと刻の工房 霧の森の魔女』より)
7 法廷組曲 逆転裁判6(『逆転裁判6』より)
8 The Final Time Traveler (2016年版)(『TIME TRAVELERS』より)
9 宝島(アンコール)
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