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「さくらじまハウス 2016」セッションで披露されたCTOの本音

はてな×BASEのCTO対談が鹿児島の桜島で聞けるしあわせ

2016年07月20日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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7月17日、鹿児島の桜島においてエンジニア向けイベント「さくらじまハウス 2016」が開催。会場には立ち見が出る数の参加者が集まり、はてなの田中慎司さんとBASEの藤川真一(えふしん)さんによる豪華なCTO対談に耳を傾けた。

約140名が集合し、「さくらじまハウス、ドッカーン!」

 「エンジニアの熱量が爆発する」をテーマに行われたエンジニア向けイベント「さくらじまハウス 2016」。本州最南端にある鹿児島の桜島を舞台に、東京でも聞けないような豪華なメンバーによるセッション、地元鹿児島のハッカソン「Kago Hack」の表彰式、そして他県のエンジニアによるLT大会などが行なわれ、そして懇親会まで含めると約9時間半に渡る濃厚なイベントとなった。参加者も140名を突破し、会場となるレインボーハウス桜島は立ち見も出る盛況ぶりだった。

会場となった「レインボーハウス桜島」

 もともと、さくらインターネットはユーザーコミュニティである「さくらクラブ」を鹿児島で立ち上げた経緯があり、地元との関わりが深い。今回は、この枠組みにアマゾン ウェブ サービス ジャパンが相乗りし、JAWS-UG鹿児島を地場のコミュニティや大学・専門学校などを巻き込んで規模も拡大した。

 AWSJが協賛するきっかけは、昨年末AWSJの小島さんがさくらインターネットが鹿児島で行なったニコ生の番組に参加したこと。「前日の大阪出張とタイミングがあったので、『さくら号で桜島に来た』と言いたかっただけ(笑)」というわりと安易な理由で鹿児島に来た小島さんだが、現地のエンジニアの熱量に感銘を受けたという。これをきっかけに、さくらインターネットの田中邦裕社長、福岡を拠点にスタートアップやコミュニティとの橋渡しを務めている油井さんとの間でイベントの話がとんとん拍子でまとまり、今回の開催に至ったという。

冒頭、さくらインターネットの油井佑樹さん、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSJ)の小島英揮さんがイベント開催の概要を説明

 イベント自体は鹿児島のコミュニティが中心に企画。CTO対談やIoT対談、ギーク対談、エンジニア社長対談などバラエティ豊かなセッションが用意された。テーマは異なるものの、どれもエンジニアに向けた内容で、地元の参加者も熱心に聴講していた。

漏えい事件が起こったら謝るのがCEO、原因を説明するのがCTO

 最初のセッションは、はてなCTOの田中慎司さんとBASE CTOの藤川真一さんによる「鹿児島で実現!憧れのCTO対談!」。日本UNIXユーザー会の法林浩之さんがモデレーターを務めるという初っぱなから豪華なセッションだ。プロレスのリング入りを思わせる甲高いアナウンスで登場した2人に対して、「正直、名前もよくわからなかったと思いますので(笑)、とりあえず自己紹介をお願いします」と法林さんが振る。

はてなCTOの田中慎司さん、BASE CTOの藤川真一さん、モデレーターの法林浩之さん

 はてなブックマークやはてなブログでおなじみのはてな。14年の社歴の中で、田中さんのCTO歴は6年で、100名以上に膨らんだはてなの2代目CTOとして技術関係をまとめて切り盛りしている。一方、BASEのCTOである藤川さんは、「えふしん」としておなじみ。スマホ向けのTwitterクライアントである「モバツイ」の立ち上げと売却までを経験した後、顧問を経てBASEのCTOに就任し、今年で2年目となる。

 まず、法林さんが振ったのは「CTOってなにをする人?」というお題に題して、田中さんは「明確な定義はないし、会社の規模によってやることは変わるが、経営者としてテクノロジーに対して責任を持つ人」と語る。そのため、どの技術を採用するかを評価し、方向を明確にし、さらにエンジニアに認知してもらう必要があるという。BASEのえふしんさんも、やはり「責任を負う」という点が重要と指摘し、「情報漏えいに対して謝るのはCEO。なぜそうなったか説明するのはCTOである僕の役割」と具体例を挙げる。

 とはいえ、CTOの役割はフェーズによって異なる。「立ち上げの時はとにかくプロダクトを作り、レベルを上げることだが、エンジニアが増えると採用やマネジメントが重要になる。だいたい10人を超えると、好きなことやっていいよだと回らなくなる」(田中さん)。一方、サービスがある程度大きくなると、中間層の厚みが増すため、日々の業務にを任せられ、やや余裕が出てくる。実際、田中さんも同じようなフェーズで最初の3年はマネジメントと組織作りを重視していたが、最近はまたプロダクトに少しずつ戻ってきているという。

 一方、えふしんさんの優先事項は実は採用。「CTOってみんなよりコードを書けるリードエンジニアがなることが多いけど、今は自分より優秀な人を雇うというのがミッション。その人たちがやらなければならないことをやってくれるので、自分で別のことができる」(えふしんさん)というのがその理由。Webプラットフォームはえふしんさんが担当しているが、プロダクトに関しては、ある程度リーダーに任せているという。

 では、CTOにはどうやったらなれるのか? えふしんさんは「CTOは任命されないとなれない」とシンプルに答える。技術力の高さ、マネジメントの経験、チームとの相性も踏まえて、あくまで周りに認められないとできないというわけだ。田中さんも「僕も2代目なので、そういったプロセスだった。だから、どうしてもCTOになりたいのであれば、社長になりたい創業者とともに起業する必要がある」と語る。

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