アフリカ大陸の南端に位置する南アフリカ。5400万人が住む大国だ。6月末、ヨハネスブルグとケープタウンの2都市を訪問する機会があったので、そのときに垣間見た現地の携帯電話の動向をまとめたい。
なお、渡航の目的は携帯電話とは関係なく、1時間ほどの自由時間で見て回ったに過ぎないので、偏りがある情報であることを最初にお断りしておく。
南アフリカでは
ファーウェイとサムスンの熾烈な広告戦争
まずは広告合戦から。空港に着くなり、その後街中(特にオフィス街、ショッピングができるモールなど)で見ることになる2社の対決が繰り広げられていた。
最初に見たのは中国銀行をはじめ、壁一面の中国の銀行の広告。次にHuawei。最新の「HUAWEI P9/P9 Plus」の広告が目に入ってくる。荷物受け取りではSamsung。Samsungは南アの国民的スポーツである(おそらくはラグビーに次ぐ)クリケットチームを起用し、スマートフォンだけでなく、家電でも大きな広告を表示していた。
このように、SamsungとHuaweiの広告は市内でよく見られたが、Appleをはじめ、その他のメーカーの広告はあまり見かけなかった。広告を見かける頻度としては、新製品を発表したタイミングだったせいか、Huaweiが多かったような気がするが、Samsungは独自のショップも展開しており、王座の風格(おそらく、15年前のNokiaがそうだったはず)。世界の動向と同じく、最大ベンダーであるSamsungに対し、Huaweiが積極的に広告展開しているというところか。
街中ではエントリークラスのAndroidスマホが普及
2年契約で安価なプランもある
人々はどのような電話を使っているのか。多かったのはSamsungの「Galaxy J」シリーズのような、安価ながらタッチ操作が可能なAndroidスマートフォンだ。
Galaxu Jシリーズ、その上のミッドレンジのGalaxu Aシリーズは2年契約をする形で、月100〜200ランド(約700〜1400円)の範囲で手に入る。さらにHuawei Yシリーズなど、エントリー向けも展開している。
南アフリカで最大手キャリアのVodacomは独自ブランドでAndroidベースの安価な端末を提供しており、これらが手軽に利用できるスマートフォンとして定着しているとは現地(ヨハネスブルグ)の知人の話。だが、街を歩いていると今や懐かしいNokia Tuneも聞いたので、まだまだフィーチャーフォンも少なくないと感じた。
ケープタウンの繁華街にある修理ショップに入ってみた。10年以上前から店を経営しているSulemanさんによると、人気は旧式のGalaxy SシリーズやiPhoneとのこと。2台持ちも多く、緊急用としてのフィーチャーフォンとスマートフォンをセットで使っている人が多いのではという話だった。
そうやって話している時に、50代ぐらいの男性が「iPhoneの中古が今週入るって聞いたけど……」とやってくる。Sulemanさんは「すぐに売れたよ」と答えた。次にやってきた女性は、2軒先でブティックを経営していて、イヤフォンを買いにきたという。現在のメイン端末は「Galaxy S6」。基本的に2年契約ごとにスマートフォンを買い換えているが、実は今年買ったというスマートフォンはHuaweiだった。「カメラもいいし、インターフェースもいい。Samsungより使いやすかった」というが盗難に遭い、結果的にGalaxy S6になったとのこと。
この女性、スマートフォンをアップグレードすると、ティーンネイジャーの息子に古いスマホを譲るそうだが、息子はSamsungがお気に入りとのことだった。
キャリアのショップでも、Huaweiの”プッシュ”を感じることができる。ヨハネスブルグの空港にあるCell Cというキャリアのショップで、コンサルタントのMzonbaさんは「主流はSamsungだが、Huaweiの人気が高まっている」とコメント。「価格に対するバリューという点で満足度が高いようだ」と分析してくれた。
SamsungとHuawei以外では、LG、ソニー、Microsoft(Lumia)、BlackBerryがあったほか、MTNというキャリアのカタログにはXiaomiもあった(Xiaomiは2015年末よりMTN向けに提供している)。地元アフリカの携帯電話メーカーであるAG Mobileの端末もあり地元色を感じることができた。
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