iOS 10はアプリの定義変える？ OSの進化で見るアップルの歴史

2016年06月24日 17時30分更新

文● 貝塚／ASCII

　6月14日、15日にアップルの開発者向けイベント「WWDC2016」が開催されました。ついに発表されるか!?と注目された新型のMacBook Proの発表はなく、今年は開発者向けイベントらしくソフトウェア関連の発表に始終した2日間となりました。

　6月21日発売の電子版週刊アスキーでは、WWDC2016で明らかにされたアップルの方針や、同社が最大のアップデートとも語る次期iOS「iOS 10」の新機能などを詳細レポートでお届けします。アップルファンはもちろん、IT業界の動向に敏感な読者の皆さまに楽しんでいただけるハズ！

　以下には今週の特集から記事を抜粋して紹介。新機能、新OSだけでなく、macOS、iOSの歴史も振り返れる読み応えのある特集に仕上がっています！

これからのアプリは起動せず「呼び出す」時代

　iOS 10では、アプリのあり方が多様化する。従来は1つのアプリ内で機能が完結していたが、iOS 10ではロック画面にウィジェットとして表示されたり、Siriの処理結果として表示されたりするものが増え、必ずしも起動／終了する必要はなくなる。

　ロック画面も改良、右へスワイプすると通知を一覧でき、左へスワイプするとカメラが起動するように。Touch IDは指を重ねるだけで作動する。メッセージの返信を書くなど、ロック解除しないままできる作業も増えた。ディープラーニング活用も進化のポイント。写真アプリの顔認識やQuickTypeの予測変換は、同技術の成果といえる。人口知能のノウハウを得たiOS 10に注目だ。

「macOS」誕生、Mac OS Xからの歴史を振り返り

　1984年に最初のモデルが発売されたMacのOSは、呼び名だけでなく、中身も含めてさまざまな変遷を経て現在に至る。iOSの比較的なだらかな進化とは対照的に、大きな変化を何度も経験してきた。その中で、以前のOSとは外観も中身もほとんど別物となったのが、 2000年に「Public Beta」として登場したOS Xだった。それ以前のMac OSは、ハードウェア環境の進化に対応しきれず、初代から引き継ぐ「遺産」の中でも負の側面が目立つようになっていた。そこでOS Xは、優れたユーザーインターフェースに代表される、Mac OSの正の遺産をできるだけ生かしつつ、互換性にとらわれない新世代のOSとして開発された。

　OS Xは、アップルを離れている間にジョブズが興した米ネクスト（NeXT）社で開発したワークステーション用のNeXTStepというOSの技術をベースに開発された。その上に、初代のMacから続く旧Mac OS風のユーザーインターフェースを乗せたものだった。

　しかし、それ以前のMac OSとの互換性は乏しく、旧OSのアプリは実行できなかった。ユーザーインターフェースも、あくまで似せて作っている部分があるだけで、微妙かつ重大な違いも多かった。そこでアップルは、製品版をいきなりユーザーに押し付けるのを避け、公開ベータ版として配布（日本では3500円で販売！された）して、ユーザーの反応を確かめることにした。それが2000年に登場したPublic Betaだった。それは旧来のMacユーザーにすんなり受け入れられたとは言い難いが、もはや後戻りはできないアップルの覚悟を表明するという役割は少なくとも果たすことができた。

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