6月2日、日本セーリング連盟とソフトバンクグループは記者会見を開き、ソフトバンクグループがスポンサーとして参加しているアメリカズカップの予選シリーズ、「ルイ・ヴィトン・アメリカズカップ・ワールドシリーズ(LVACWS)」の第9戦目を11月18日から日本で開催することを発表した。
アメリカズカップに関連するレースがアジアで開催されるのは初めてのこととなる。
あのスポーツイベントがついに日本上陸!
発表会にはソフトバンク・チーム・ジャパンの総監督を務め、自らもレースに参加している早福和彦氏が登壇。「海洋国日本でアメリカズカップのレースができるのがうれしい。良いレースと結果をお見せしたい」と意気込みを語った。
さらにソフトバンクグループ代表の孫正義氏も登壇。この発表会のために日本へ運んできた実物のアメリカズカップを見て「最初に大会を開催したイギリスもまだ優勝して手にしていないカップ。ぜひ日本が勝ってイギリスよりも先に日本に持ち帰ってほしい」と早福監督へエールを送っていた。
大会会場は福岡県の知行浜。ソフトバンク・ホークスが本拠地とするヤフオクドームの前にある海岸だ。その福岡からは高島宗一郎市長も来場。「知行浜周辺は湾になっていて海が見やすい。特別スタンドなども計画して来場者が楽しめる会場にしたい」と全面的な協力を約束した。
明治維新以前から続くイベント
オラクルの創業者もチームオーナー
アメリカズカップの始まりは1851年と、なんと明治維新よりも前のこと。スポーツイベントの優勝カップ・トロフィーとしてはサッカーのワールドカップの1930年よりも古く、近代オリンピックのスタートも1896年なので、世界最古のスポーツイベントのひとつに位置づけられている。
アメリカズカップへは、世界的にも有名なビジネスマンがスポンサーとして数多くチャレンジしている。古くはイギリスからチャレンジした紅茶で有名なリプトン卿。
現在アメリカズ・カップを保持している、オラクル・チーム・USAのオーナーは、チーム名からもわかるようにオラクルのラリー・エリソン会長だ。さらにマイクロソフトの共同創業者として有名なポール・アレン氏も、アメリカズカップにチャレンジするチームのスポンサーになったことがある。
日本チームとしては1992年から3大会連続で出場し、いずれもベスト4という成績を収めているが、2000年以降は出場が途絶えていた。しかし、ソフトバンクグループの支援を受けて、今回16年ぶり4回目の挑戦中なのだ。
レース艇には一般的なヨットのイメージとは違うカタマラン(双胴艇)を使用。全長13メートル、マスト高は21メートルの大きさ。さらに艇の下部にセットされた水中翼により、艇が海面から浮き上がり空中を飛んでいるかのような帆走をする、実にダイナミックな艇だ。
実力はすでに十分のソフトバンク・チーム・ジャパン
LVACWSは、現在第5戦まで消化しており、ソフトバンク・チーム・ジャパンはトータルポイントで4位の成績となってる。順位から見るとやや物足りない感もあるのだが、今後は好成績を残す可能性のあるポテンシャルを持っている。
総監督の早福氏は日本チームの元メンバー。日本の参加が途絶えたあとも、他国のチームでアメリカズカップにチャレンジし続けていた、日本でもっともアメリカズカップを知るトップセーラの1人だ。
さらに実際に艇を操船するスキッパーは、ニュージーランド出身のディーン・バーカー。前大会ではニュージーランドチームに所属し、あと1勝でアメリカズカップを手にするところまで行った世界でもトップクラスの実力を持ったセーラーだ。そのほかにも、日本人クルー(乗組員)としては、ロンドン五輪のセーリング競技に日本代表として出場した吉田雄悟氏も参加している。
発表会にはアメリカズカップ・イベント・オーソリティーでCEOのラッセル・クーツ氏も登壇。彼自身もアメリカズカップに参加していたセーラーで、5回の優勝経験があるミスター・アメリカズカップ。その彼から日本チームについて「高いポテンシャルを持っており、優勝も不可能なことではない」と評価されており、ソフトバンク・チーム・ジャパンのLVACWS福岡大会、さらにアメリカズカップ本大会での活躍に期待したい。
なお今後のレーススケジュールとして、福岡大会まで、シカゴ(アメリカ)、ポーツマス(イギリス)、トゥーロン(フランス)と3大会が予定されてる。このレースの模様は、スポーツニュースサイトのスポナビライブで中継されることも同時に発表された。興味のある人はぜひチェックしてほしい。