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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第152回

スマホは所有しない時代? SamsungがフランスでGalaxy S7のレンタルサービスを開始

2016年06月03日 13時30分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII.jp

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 Samsungが5月末、フランスで「Up2you」というサービスを発表した。月額27ユーロで「Galaxy S7」をレンタルできるというもので、4ヵ月経過後は他の機種に変更もできる。スマートフォン市場の成長が鈍化する中、ニーズはいかほどか。スマートフォンをレンタルするというモデルは根付くのだろうか?

4ヵ月で新しい端末に乗り換えられるレンタルサービスをフランスでSamsungが開始。今はGalaxy S7、秋にはGalaxy Note 6を使いたいという人向け?

”あなた次第”でアップデート?
スマホレンタルサービスがフランスでスタート

 Up2you(Up to you:日本語にするなら”あなた次第””任せる”といった意味)というネーミングには違和感を感じるが、このサービスはSamsungの対象機種をレンタルするというものだ。

 オンラインで申し込むとSamsungのスマートフォン(新製品)を受け取り、月額料金を支払って借りることができる。新しい機種にアップグレードしたい場合は、4ヵ月が経過していれば再度申し込むことができ、これまでの端末と交換する形で受け取る。

 ただし、いくつかの条件がある。まずは契約自体は24ヵ月(2年)契約であるという点。月額料金は機種により異なり、最初の1ヵ月目はデポジット的な初期料金が必要だ。

 現時点では「Galaxy S7」と「Galaxy S7 edge」のみが選択でき、料金はGalaxy S7の場合、初期料金が89ユーロ、その後は月額27ユーロ、Galaxy S7 edgeでは初期料金が119ユーロ、月額30ユーロとなる。故障や破損(月額7ユーロ)、破損と盗難(月額9ユーロ)などの補償をオプションでつけることも可能だ。

 FAQを見てみると、契約後に端末を所有したい、あるいは24ヵ月が経過する前に解約したいなどのイレギュラーな要求には応じてくれない様子。使ってみて途中で端末に愛着が出ても、レンタルなので返さなければならない。手続きはすべてオンライン。通常の小売店やオペレーターのショップでは申し込みできない。

 Galaxy S7は2月のMWCで発表されたSamsungの最新機種だ。2015年のMWCで発表された前機種の「Galaxy S6」シリーズと比較すると、販売動向は好調のようだ。Counterpointによると、米国では30%増、欧州でも20%増(ともにGalaxy S6シリーズ比)で売れているという。

料金自体は決して安くはない
このオファーのユーザーメリットはコストではない

 この料金だが、決してオトクとは言いにくい。たとえば、フランス最大手のオペレーターOrangeでは、24ヵ月の縛りのある料金プランでGalaxy S7は端末が149.90ユーロ、月額の利用料金64.99ユーロで手に入る。この料金プランでは、15GB分のモバイルデータ通信(LTE)、100以上の地域への固定電話への通話、米国とカナダの携帯への通話、SMS/MMS(無制限)などが含まれる。

 ではUp2youはどうか。契約期間は同じ24ヵ月だ。この間、最低でも支払う金額はGalaxy S7の場合、89ユーロ(初期料金)+27ユーロ(月額料金)×24ヵ月で、合計737ユーロとなる。これに加えて、通信料金も生じる。

 端末単体なら、Orangeでは699.90ユーロ、大手家電小売のFnacでは799ユーロで購入できる。つまり、Up2youを利用して2年間端末をレンタルするのとほぼ同じ料金で、端末を自分のものにできるのだ。

 メリットが価格ではないとすれば、何が売りなのか。4ヵ月すると可能になるアップグレードだろう。夏にも発表かと予想されている「Galaxy Note 6」が対象となれば、Galaxy S7を使った後にNote 6に切り替えという使い方が可能になる(その際は、Galaxy S7の月額料金である27ユーロから、Note 6の月額料金に切り替わる)。

 Samsungのフランス法人によると、今後2年でフランスの同社のハイエンド機種を利用するユーザーの10~15%がUp2youに加入すると見込んでいるとのこと。フランスでの動向を見て、うまくいけば他の市場に拡大する可能性があるという。なお、SamsungのFAQによると利用できるのは個人顧客のみで、レンタルが向いているように見える法人顧客は申し込みができない。

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