Microsoftが3月末に米サンフランシスコで開催した開発者向け年次イベント「Build 2016」では、Windows 10の最新情報、Linuxなどに関連したニュース(BashがWindows 10で利用可能に)、HoloLensの開発者向け出荷、CortanaやAIの「Tay」まで話題は盛りだくさんだった。だが、一部が指摘されているようにWindows 10 Mobileの話題がなかった。さらには、「優先度は低い」という幹部の言葉も報じられている。
多くのスマートフォンユーザーに
リーチしたいならWindowsではない
3月31日、iPhone SE発売と同タイミングに開催されたBuildだが、3日間のイベント中、Windows 10 Mobileに特化した話題はなかったようだ。レポートによると、スマートフォンでのデモではiPhoneやAndroidが使われ、Windows 10 Mobileが用いられたのはSkypeのデモだけだったとか。
Microsoftウォッチャーがいぶかる中、The VergeがBuild会場で、Windowsとデバイスグループを統括するエグゼクティブシニアバイスプレジデント、Terry Myerson氏に聞いた話を紹介している(関連リンク)。
それによると、「いま現在、Windows 10 Mobileはファミリーの一部ではあるが、今後1年で開発者の関心を高める分野の中核ではない」と語ったという。つまりは優先順位が低いということになる。Windowsの成長のフォーカスについて尋ねると、「スマートフォンの顧客にたくさんリーチしたい場合、Windows Phoneではない。新しくエキサイティングなことがしたいなら、XboxとHoloLensがその場となる」と述べたと報じられている。
その後、ロシアのメディアHigh TechがWindowsマーケティング担当シニアディレクターのAaron Woodman氏のコメントとして、「我々は大きな野心とともに(Windows 10 Mobileスマートフォンを)投入した。だが、市場はわれわれが望んでいたダイナミクスを反映しなかった。正直なところ、もっといい結果が出ても良かった」という言葉を報じている(関連リンク)。
Lumiaブランドも終了?
Nokiaの清算進めるMicrosoft
Microsoftは2月のMWCでも目立った動きがなく、ブースには日本でリリースされているWindows 10 Mobile端末が並んだ。端末としては、2015年秋にWindows 10 Mobile搭載のフラッグシップ「Lumia 950」「Lumia 950L」、それにエントリーの「Lumia 550」を発表、さらに2016年2月に「Lumia 650」をリリースしている。なお、Lumia 650は好調だったLumia 640の後継でビジネス向けのミッドレンジ〜エントリー機種となるが、「最後のLumiaブランドスマートフォン」とも言われている。
Lumiaはご存知のように、Microsoftに買収される前のNokiaがWindows Phoneに戦略を変更した時に作ったブランドだ。Nokiaを飲み込んだMicrosoftは、2014年10月に「Nokia Lumia」からNokiaを落として「Microsoft Lumia」にした。
だからといってスマートフォン事業が活発化するわけでもなく、2015年7月にCEOのSatya Nadella氏は事業方針の変更を明らかに。フラッグシップのハイエンド、ビジネス向けなど3カテゴリに絞り、投入する機種数を減らすとした。現状をみると、その戦略通りといえる。そして、出荷台数も減っている。Gartnerの2015年第4四半期のシェアでWindowsは1.1%。これは前年同期の2.8%から半分以下だ。
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