スマホアプリでクルマが借りられる!
スマートフォンのアプリでは様々なサービスが展開されている。その中でも最近特に注目を集めているのがソーシャルなシェアリングサービスを展開するアプリだ。
例えばビルの空きスペースをイベントやパーティをしたい主催者にシェア、月極め駐車場の空きスペースを時間貸しとしてシェアなど、スマホと連動することにより予約と集金を簡素化できることで利用者を伸ばしている。
anycaはそんなソーシャルシェアリングの自動車版である。まず会員登録をするところから始まるのは他のアプリと同じだが、その会員はクルマを貸すことも借りることもできるのだ。
ここまでアプリのスクリーンショットを見て、掲載されている写真がかなりキレイなことに気づいただろうか。
これは、クルマを貸したいという会員向けに定期的に撮影会を行ない、プロのフォトグラファーがanyca登録用の写真を撮影してくれるというサービスで、クルマを貸し出すための登録を行なった会員には無料で提供されている。
会員数の拡大により
貸出登録車の拡大を進めるanyca
現在anycaは借り手、貸し手の区別をつけずに言えば、会員数は約3万人とのこと。そして貸出可能な登録車は約1000台。会員すべてがこの1000台を借りるために会員になっているわけではないが、それでも貸し手側の不足は否めない。
そこで週末を中心に定期的に貸し手であるオーナーに向けた説明会を開催している。おおむね1会場で10~20組が参加するとのことだが、今回取材した説明会も、参加者はかなり真剣に説明を聞いていたのが印象的であった。
ソーシャルサービスが仲介しているとはいえ、いわゆる個人間でのカーシェアリングはビジネスとして成り立つのであろうか?
この疑問に答えるべく出てきた数字が6000万と3%。これは日本国内の自家用車として登録されている自動車の台数が6000万台で、その自家用車の稼働率が平均3%なのだという。つまり1年のうち平均的に乗られている時間は10日前後なのだ。その他の350日は駐車場にいるわけで、この350日分をシェアしようというのが、そもそものアイデアであったという。
事業としてクルマを用意するカーシェアリングは、レンタカーとして登録しなくてはいけないので「わ」ナンバーが前提となるが、個人間でのカーシェアリングは共同使用という範疇になるため、レンタカー登録の必要がなく、その共同使用の仲介をするのがanycaということになるのだ。
シェアの利用料はそのクルマの年式と新車時の価格で決まるが、法規に適合しているパーツやオプションはその利用料に反映されるので、こだわりのカスタマイズが施されていても、それはかなり正当に評価される。 また、貸し手の売り上げはオーナー会員全体の平均で2万5千円/月ほど。よほどの都心でもなければ、駐車場代と自動車税の月割り分程度はカバーできる計算だ。
この説明会に参加された夫婦の奥様が、この数字を見て「クルマの売却を検討していたけれど考え直した」と言っていた。
保険加入義務づけや評価システムで
安全に貸し借りをしやすいように
貸し手側の不安要素もかなりカバーされている印象で、まず事故などの気になるトラブルに対しては利用する借り手側に、利用料のほかに借りる日数分の掛け捨て自動車保険加入を義務付けている。
また、傷やへこみなどについても事前に双方でチェックすることを強く推奨しているが、それに加えて傷やへこみを事前に登録できる機能を夏ごろまでにアプリに実装するとして、予約の段階で傷やへこみをチェックしトラブル回避を狙うようだ。
借り手、貸し手の双方はクルマのシェアののちにお互いを評価することも勧められており、この評価によって予約を拒否することも可能としているところも、貸し手のオーナーにとっては安心材料となる。
ほとんどの会員はクルマを借りた後は貸した時よりもキレイにして返すそうだ。そして気に入ったクルマはかなりの頻度でリピーターになるという。
実際にこのアプリを起動してみると、それらがわかりやすい形で表示され、双方にとってかなりの安心材料になる。ソーシャルサービスにとってこの安心感は一番重要なものであると考えられるのだが、anycaはその相互の安心感を一番に考えているようだ。
クルマの情報発信も怠らず、会員向けに毎月テーマを決めたキャンペーンやイベントも開催されている。4月はデロリアンの試乗会を開催するとのこと。
インストールは無料なので、カーシェアに興味があればとりあえずインストールしておくといいだろう。