時間と印象と平等
だんだん話がとりとめもなくなってきましたので、この辺で終わりにしたいと思いますが、「時間」というのはやはり、面白い概念ですよね。前述の絶対時間、相対時間に加えて、印象時間なるものもあるでしょう。
「楽しい時間は早いもので…」というのは、会をしめるときの常套句になっていたりしますし、渋滞のような無駄な時間はより長く感じます。これらは主観的な印象ではありますが、時間を感じる際に大きく左右してきます。
ただ、万人にとって1時間は1時間で、とても平等なものです。その1時間を何に使えるか、の部分が変化しているだけに思えるからです。
筆者の場合、昼間の1時間は原稿を書く時間に充てています。充てなければならない仕事なわけです。もしもお金に思い切り余裕があれば、時間の使い方に自由度がより広がることになるでしょう。たたおえば久々に晴れた昼間の1時間を、野原で昼寝できるかもしれないわけで。
しかし昼寝し続けているから楽しい、というわけではありません。仕事をしていても、楽しいと感じることは多々あるわけで、そういう意味でも時間は平等だな、と感じる次第。
一方、効率が好きな人は、時間に対して多重化をかけるでしょう。例えば移動時間を読書の時間に変えるというのは、通勤で電車を用いる多くの人々が実践してきた多重化です。空いていて座れれば、ちょっとした仕事もできるかもしれません。
米国で車で通勤する場合、本を読み上げてくれるオーディオブックがせいぜいで、おそらく自分で本を読むよりも時間がかかるでしょう。最近注目されているのが音声による文字入力やデバイスの操作。認識精度の高まりから、これはあるいは、文字入力系のサービスを使えるのではないかと期待できます。
このあたりの話は、来週のイベントを終えた後の日本出張のための飛行機の中で書こうかと思います。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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