アプリ使用時の体感速度に
差はほとんど感じられない
次に、PCMark 8のストレージテストの結果を見ていこう。こちらは、Officeアプリ群や画像処理アプリ、ゲームなどの実際のストレージアクセスをシミュレートしたテストで、実際の利用時の性能を示す指標となる。
PCMark 8のストレージテスト結果 | ||||
---|---|---|---|---|
製品名 | SanDisk 「Ultra II SSD」 |
Crucial 「 BX200」 |
CFD販売 「CSSD-S6T」 |
ADATA 「SP550」 |
Storage Score | 4982 | 4900 | 4985 | 4943 |
Storage bandwidth(MB/Sec) | 275.09 | 198.36 | 186.63 | 228.29 |
World of Warcraft(Sec) | 58.2 | 59 | 58.9 | 58.5 |
Battlefield 3(Sec) | 133 | 134.1 | 135 | 133.8 |
Adobe Photoshop light(Sec) | 113.5 | 114.6 | 115 | 114.2 |
Adobe Photoshop heavy(Sec) | 358.7 | 389.4 | 363.1 | 366.6 |
Adobe InDesign(Sec) | 57.3 | 57.9 | 59.9 | 57.6 |
Adobe After Effects(Sec) | 70.6 | 71.1 | 71.4 | 70.8 |
Adobe Illustrator(Sec) | 71.7 | 72.3 | 72.7 | 72.1 |
Microsoft Word(Sec) | 28.2 | 28.4 | 28.6 | 28.7 |
Microsoft Excel(Sec) | 9.2 | 9.3 | 9.4 | 9.3 |
Microsoft Power Point(Sec) | 9.2 | 9.3 | 9.4 | 9.2 |
結果を見ると、Storage Scoreには大きな差はみられなかったものの、Storage bandwidthのスコアにはやや大きな差が見られる。これだけのスコア差なら、体感差もありそうに感じるかもしれないが、テストの細かなスコアを見てみると、スコア差は思ったほど大きくないことがわかる。この点からも、実利用時の体感差は各製品の間で非常に少ないと言えるだろう。
よほど書き込みが多発する用途ではない限り
耐久性も問題なし
TLC NANDフラッシュメモリー採用の低価格SSDを利用するうえで気になるのが、やはり耐久性だろう。今回は、実際に耐久性テストは行っていないため、言及は難しい。
とはいえ、公表されている範囲内での耐久性に関する指標では、MLC NANDフラッシュメモリーを採用するSSDと比べて遜色のない数字となっている。
唯一TBWを公開しているCrucial BX200を例に考えると、総書き込みバイト数は72TB。これは、1日あたり40GBの書き込みをなったとしても、5年間の使用に耐えることを示す。
日々大量の書き込みが発生するデータサーバーなどでの利用はやや厳しいかもしれないが、一般的なユーザーが利用するPCでは、1日あたり40GBも書き込みを行なうことはまずない。
おそらく、通常利用の範囲内であれば、少なくとも10年程度は安心して利用できるだろう。そして、TBWを公表していない他の製品についても、ほぼ同等レベルの耐久性を実現しているはずだ。
MLC NANDフラッシュメモリーを採用するSSDが登場した当時も、耐久性に関して不安視する声が多数聞かれたが、実際の製品で耐久性が低く、使用に耐えられなかったものはほぼなかった。
当然、メーカーとしても、製品として販売するからには品質を無視するわけにはいかず、ある一定の耐久性を確保して出荷している。そう考えると、TLC NANDフラッシュメモリー採用SSDとはいっても、必要以上に不安になる必要はない。
そのうえで、優れたコストパフォーマンスを実現しているわけで、現在もっとも注目されているのも納得だ。
480GBの容量で1万円台半ばで購入できる低価格SSDは、PCのHDDと交換し、快適度を高めるパーツとして、非常に魅力的な存在と言える。
また、価格の高さからシステムドライブのみに低容量SSDを使ってきた人にとっても、データドライブも含めたシステムのフルSSD化を検討する段階に入ってきたと言える。
この冬、手軽にPCをアップグレードするパーツとして、低価格SSDはかなりオススメだ。