三菱電機は1月27日、空中に噴出した海水を電波の送受信アンテナとして利用する技術「シーエアリアル」を開発したと発表した。
海水は金属同様に電気を通すことに着目した技術。一般的にアンテナは電波の波長に応じたサイズを必要となり、低い周波数の送受信設備では数m~数十mにもなる。これらの大型アンテナは設置や移設には大規模工事を必要とするが、柔軟な導電性素材を用いることで可搬性を高くすることができる。
空中に噴水式に海水を吹き上げ、そこに電気を通してアンテナとして利用するが、水柱は海水面とも繋がっているためそのままでは電流が海に流れててしまい効率が低下する。このため、電波を遮断しやすい波長の1/4の長さを持つ絶縁ノズルを開発、高周波電源から海水を遮断している。また、電気を通すといっても金属に比べると導電率は低いため、最適な太さになるようにシミュレーションを行なって設計しているという。
三菱電機ではプロトタイプを開発し、地上デジタル放送の受信に成功したという。大型のアンテナをどこでも設置でき、装置自体がコンパクトであることから、海岸や海上の低周波用大型アンテナの置き換え、新事業の展開なども考えているという。