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CES2016で垣間見えたインテルセキュリティ、次の一手

PCとスマホの先にあるセキュリティの世界を考える

2016年01月29日 17時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki) 編集●ASCII.jp

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Intel CEOのBrian Krzanich氏。CES開幕前夜の基調講演にて

CESの花形だったPCからIoTの世界へ

 筆者は2003年に初めてCESに来て以来、ほぼ毎年、開幕前夜の基調講演を聴いている。かつて、この場所はMicrosoftの指定席であり、同社CEOだったBill Gates氏が2008年に最後のステージを飾るまで約10年間、そして2012年まではCEOを引き継いだ当時のSteve Ballmer氏がステージに立っていた。いうまでもなく、家電ショウであるCESにおいてもPCは長きにわたって花形であり、その関連技術を含めて中核に位置していたMicrosoftが最新技術をアピールする場となっていた。

CESでのIntelブース。ゲームを中心にPC関連の展示もあるが、主役はどちらかといえばセンサーを使った各種デモやウェアラブル機器、ドローン、ロボットなどだ

 時代は変わり、過去3年間このステージを担っているのはIntel CEOのBrian Krzanich氏だ。IntelといえばPCの印象が強いが、同氏が語る世界はPCよりもむしろその先の世界にある。無線技術や各種センサー、小型の組み込み機器向けのSoCなど、いわゆるIoT(Internet of Things)と呼ばれる内容が中心となりつつある。

 IoTでは大量のデータが収集され、それらを分析しつつデバイスの管理をする必要があるため、効率的で高性能なネットワークやデータセンターの存在が重要となる。IoTでウェアラブルやドローンのアピールをしつつも、Intel自身はデータセンター向けの高性能なプロセッサーが利益の源泉であり、両面戦略でIoT時代の存在感を誇示するのが最近の傾向だといえるかもしれない。

RealSenseカメラを搭載したドローン。立体認識で障害物を把握するだけでなく、コース上に障害物が迫ってくることを予期して避けて移動することも可能

広範囲のデバイスに包括的なソリューションを

 ところが、それだけネットワーク接続されるデバイスが増えると、当然問題になるのはセキュリティだ。PCやスマートフォンにおける被害は比較的影響範囲が分かりやすかったが、IoTの世界ではデバイスの種類が一気に増える。乗っ取られるデバイスの種類によっては人的、社会的影響が大きくなる可能性があるなど、どのような形で被害が出るか想像がつきにくい。

 Intel Security GroupバイスプレジデントのGary Davis氏は「PCからスマートフォン、そしてその先にある広範なデバイスの世界まで包括的に可能な限り安全を守り、ユーザーにセキュリティを意識させないことが重要」だと説明する。

Intel Security GroupバイスプレジデントのGary Davis氏。CESの会場でお話を伺った

 Intel Securityはもともと買収したMcAfeeのPCやモバイルデバイス向けのセキュリティ対策製品を土台としているが、コンシューマの世界でもビジネスの世界でも、ユーザーの行動体系が多様化することでカバーすべき分野もさらに広がっている。

 スマートフォンは接触時間も長く、PC(Personal Computer)よりも、ある意味でよりパーソナルなコンピューターとなりつつある。スマートフォンには重要な個人情報が記憶され、それを所持しての行動記録はすべて重要な個人情報となる。スマートフォンを使ってWebやアプリからクレジットカード決済を行なったり、あるいはバンキングアプリを使って直接金融取引するユーザーもいるだろう。

 もし、スマートフォン内に危険なアプリやマルウェアが混入していたり、あるいは通信経路のWi-Fiアクセスポイントが悪意のある第三者によって設置されたもので、ここを使って傍受や侵入経路に活用される可能性もあるだろう。PCよりも身近で行動範囲の広いデバイスをうまく保護する必要が出てくる。

 そして今後数年先を見据えたとき、Davis氏が言うところの「その先にある広範なデバイス」が通信機能を持ってインターネットに接続されてくる。現在はまだ限られているが、スマートTVをはじめとする各種家電機器、カメラやドアロックなどのホームセキュリティ製品などは、Wi-FiやBluetoothを介して互いがそう遠くない時期に相互接続されるようになる。

Intelプロセッサーを搭載したスマートウォッチのTag HeuerとBasis Peakの展示コーナー

 これは家庭だけでなく、オフィスビルや、それとは別にセンサーネットワークなどの形で街中や郊外に存在することになるだろう。今後、自律行動可能なロボットやドローン、そして自動運転車が街や家の中を徘徊するようになると、さらに対策すべき対象は増えることになる。

 こうしたデバイス増加の波に対して、適切な形で包括的なソリューションを提供することが重要だ。実際、PCの世界がそうであったように、スマートフォンやIoTデバイスのハッキング報告が徐々に広がることで、ユーザーはその重要性を認識することになるとDavis氏は指摘する。

人が乗るとSegwayとして利用できるが、顔を模したRealSenseカメラ付きの顔モジュールと腕のアタッチメントを装着すると、対象者を追跡したり、障害物を避けながら自動でコースを採って移動する自走式のアシスタントロボットに変貌する

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