このページの本文へ

日本MS蔵本氏が伝授、セキュリティ現場担当者のための説明&交渉ノウハウ

“ドラッカーの言葉”で経営層からセキュリティ投資を引き出す術

2016年01月20日 11時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ドラッカーが定義するコスト/リスクでセキュリティ投資を検討してみる

 著名な経営学者であるピーター・ドラッカーの言葉や考え方ならば、経営層もなじみがあるはずだ。蔵本氏は、セキュリティ対策がドラッカーの定義した企業経営にまつわる「4つのコスト」と「4つのリスク」のどれに当てはまるのか、そこからセキュリティ投資をどう検討できるのかを考察した。

 「4つあるコストのうち、セキュリティ対策が最も近いのは『監視的コスト』。これは『投資したらどれだけ儲かるか』というタイプのコストではない。ドラッカーは『対策をしなければどれだけ損するか』を考えましょう、と書いてある」

 「セキュリティ投資を考えるうえでは『リスクを負わないリスク』が非常に重要。『セキュリティリスクがあるからワークスタイル変革をやらない』というのでは、企業競争力が下がるというリスクが増大する」

ドラッカーが定義した「4つのコスト」と「4つのリスク」

 リスクを負わないリスクとは、「危険だからITを使うのをやめよう、禁止しよう」という発想である。蔵本氏は、エンジニアは経営者のこうした考えを変えるために説得し、行動すべきだと述べ、自動車にたとえてこう説明した。

 「自動車はすごくスピードが出て目的地に早く着くが、交通事故の危険もある。だから、シートベルトやエアバッグといった“イネーブラ”が必要になる。経営層が『自動車に乗りたい』と言ったときに、『シートベルトやエアバッグを付ければ安全かつ速く走れます』と提案できるのが、優秀なエンジニアというもの」

加えてフグのたとえ話も。「フグには毒があるが、取り除けば美味しく食べられる。そして毒を取り除けるのはプロのエンジニアだけ。そこをうまく使って交渉してほしい」

カテゴリートップへ

アクセスランキング

  1. 1位

    デジタル

    実は“無謀な挑戦”だったルーター開発 ヤマハネットワーク製品の30年と2025年新製品を振り返る

  2. 2位

    ITトピック

    「全国的に大変な状況になっています」 盛岡のSIerが見た自治体システム標準化のリアル

  3. 3位

    ゲーム

    信長を研究する東大教授、『信長の野望』を30年ぶりにプレイ 「若い頃だったら確実にハマってた」

  4. 4位

    ゲーム

    92歳 vs 95歳が『鉄拳8』でガチ対決!? “ご長寿eスポーツ大会”が海外でも話題に

  5. 5位

    sponsored

    SIer/ネットワーク技術者こそ知ってほしい! 「AV over IP」がもたらすビジネスチャンス

  6. 6位

    デジタル

    ヤマハ、2026年夏にWi-Fi 7対応アクセスポイント投入 スケルトンモデルも追加で「見せたくなる」デザインに

  7. 7位

    TECH

    NTTが日比谷を「光の街」に。次世代通信技術を都市にインストール

  8. 8位

    ITトピック

    セキュリティ人材の課題は人手不足ではなく「スキル不足」/生成AIのRAG導入が進まない背景/日本で強いインフレ悲観、ほか

  9. 9位

    ビジネス・開発

    10年先にいる「将棋界」から学ぶ 強豪将棋AI・水匠チームが語る“人を超えたAI”との向き合い方

  10. 10位

    TECH

    2026年度始動の「サプライチェーンセキュリティ評価制度」 企業セキュリティが“客観評価”される時代に

集計期間:
2025年12月21日~2025年12月27日
  • 角川アスキー総合研究所