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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第142回

2015年の世界のスマホ市場は、Huaweiが1億台と好調、第3のOSは苦境

2015年12月30日 12時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII.jp

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Android+iOS=97% 第3のOSは苦境に
Windowsスマホは端末の平均単価がAndroidよりずっと低い

 つづいてはOSのシェアを見てみよう。上位5ベンダーのうちAppleをのぞく4社がAndroidベンダーだが、Androidのシェアは81.2%、前年同期からは1.5ポイントダウンで成長率は9.5%。対するiOSは台数では前年同期比17.3%増で、シェアが15.8%となり、前年から1.7ポイントアップした。

 つまり合計するとAndroidとiOSだけで97%である。残りの3%のうち、MicrosoftのWindows Phoneは2.2%で、“その他”を合計しても、たった0.8%だ。

 Microsoftは今年Nokia買収の減損処理を行い、端末戦略については今後機種数を絞る方針を明らかにしている。Surface的な位置づけになっていくのだろうか……それこそSurfaceフォンの登場に期待したいところだが、Microsoftの今後の戦略はまだわからない。

 IDCでは、MicrosoftとNokiaがローエンドに向けてWindows Phoneをプッシュした結果、平均販売価格(ASP)は148ドルとAndroidの219ドルと比べても、大きく下回っている点に触れている。「ローエンド戦略は2014年まではそれなりの結果を出していたが……」とのことだ。2016年はさらなる減少が予想されている。

 0.8%の「その他」はもっと苦しい。なんと前年比16.8%のマイナス成長だ。ここにはMozillaがこの2年間取り組んできた「Firefox OS」、元NokiaのMeeGoチームが中心となった「Sailfish OS」のJolla、Canonicalの「Ubuntu」などが含まれる。

 MozillaはFirefox OS搭載スマートフォンのキャリアからの提供を打ち切ることを発表。SamsungのTizenと同様にIoTに軸足を移す戦略だ。Jollaはタブレットの供給が間に合わず、11月に一時的なレイオフを発表、12月中旬に投資ラウンドの調達に成功したことを発表した。主軸としたいOSライセンスでの発展が遅い中、ライセンス関連の取引を「まもなく発表できる」としているが、代替OSの需要はあるのかという根本的な疑問すら浮かぶ。

成長の鈍化とともにコモディティー化がさらに進行
中国ですら買い換え市場になったスマホ市場

 このように、スマートフォン市場はコモディティー化が進み、AppleのiPhoneローンチすら(スペックはさておき)マンネリ化しつつある。Xiaomiの勢いもひと段落し、勢いを感じる話題が少なかったというのが感想だ。iPhone登場から8年、市場は急速に成熟し、中国すら買い替え市場になったとIDCは述べている。

 スマートウォッチが、スマートフォンの次のトレンドかというと、そうとは言い切れないし、タブレットは違う道を歩み始めている。

 年始のCESでは元気なHuaweiがフラッグシップのスマートフォン、スマートウォッチを出すというウワサがある。だが全体としてはスマートフォンよりも、2015年以上に自動車や家電の話題が増えそうだ。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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