マサチューセッツ工科大学(MIT)などの研究チームは12月24日、パソコン用CPUとして動作するレベルの光回路プロセッサーを試作したと発表した。
これは12月24日に学術誌ネイチャーに公開された研究で、MITおよびUCバークレー校、コロラド大学ボールダー校などの共同研究として開発していたもの。
開発されたプロセッサーはRISCアーキテクチャーで設計された3×6mmサイズのもので、光検出器と光変調器、導波路、光学フィルターなどど半導体プロセスでワンチップに作り込み、チップ内の信号伝達をはじめとした回路に用いられているという。ただしすべての回路を光で行なっているわけはなく、基本的に半導体でできた演算回路や記憶回路の間を光伝送で繋ぐという構成のようだ。
7000万個のトランジスタに対して光回路は850個にとどまっているが、光による伝送距離は20mにもおよぶという。デモンストレーションでは実際にLinuxを動作させて普通にCPUベンチマークテストをとっており、「パソコンのCPU」として利用できるところまで完成しているようだ。なお、製造に関しては現在の半導体チップと同様な半導体プロセスを用いているという。
光コンピューターは、電線内を移動する電子よりも速く、ひとつの導波路で送受信できるデータ量が多いなどの利点がある。とくに今回の試作チップは省電力性も謳われており、チップ内でデータを送受信する際の電力を考えると、光で行なえば電子の1/10の消費電力で済むという。このチップも同クラスの半導体チップよりもはるかに低い電力で動作するようだ
この研究グループからは、光伝送回路などのベンチャー企業が立ち上げられており、今回の研究成果に関しても(そのままの形では出ないと思われるが)近い将来に新プロセッサーの展開が期待される。
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