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自分へのクリスマスプレゼントにも最適な高コスパAVアンプ

これは買い、iPhoneやTVを良音で鳴らすヤマハ「RX-V579」

2015年12月24日 14時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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 買っちゃった~。買っちゃったのよAVアンプ、ヤマハの「RX-V579」! ヨドバシで4万3000円ちょい。自分へのクリスマスプレゼントだと奮発し、箱に持ち手をつけてもらい、よっこらしょで帰ってきた。

 じつはちょっと前、1つ下の「RX-V479」が欲しいという記事を書いていた。なんといっても実売約3万円という価格に惹かれたんだけど、最終的には1万円足して上位機種を買ってしまったのであった。それはいったいなぜかという話。

 まずは、そもそもなんでAVアンプを買ったのか。5.1chとか7.2chとか、いわゆるホームシアターとしてのAVアンプには興味がなかった。だけど、わたしが鳴らしたい音源を鳴らせるアンプが“たまたま”AVアンプだったからなのだ。

 音源とは液晶テレビとMacBook AirそしてiPhone。HDMIと無線だ。CDは全部リッピングしてあるし、うちで音が出るものといえばテレビかデータなのだ。その音をすべてうちにある2chスピーカー、JBL「4312M」というかわいいコンパクトモニターで鳴らしたいと考え、いいのはないか探しつづけてきたのであった。

左下に長男っぽい感じでおさまった(伝わらない)

JBLの4312M。このひとの才能を生かしたかった

 一時期はうちに10年近くあるマランツのプリメインアンプ「PM6001」にアナログ接続するネットワークプレイヤーがあればいいんじゃないかと考えたこともあった。けど、それじゃHDMIが使えない。HDMI対応のDACというかプリアンプがあればいいんじゃないかと思ったけど、そんな都合のいいものも見当たらない。

 Olasonicの東和電子は、Bluetooth機能搭載のHDMIアンプつきスピーカー「TW-D9HDM」を3万円ちょいで売っている。スピーカーつきというのが惜しい。これスピーカー端子つけてアンプだけ別売りしてくれたら最高なのになあ。家にそもそもスピーカーがないよという人にとって最強だとは思うけど。

 そういうわけで選択肢を削っていった結果、「AVアンプ買うかー!」という結論にたどりついた。ではどうしてRX-V579にしたのか。

音質:RX-V579>>RX-V479

 価格.comで価格・仕様・評判を見て、ヤマハの「RX-V479」「RX-V579」2機種のパフォーマンスがなかなか良さそうだということになったのが始まりだった。マランツやデノンも考えたけど、最終的には主に予算と機能性が理由で脱落した。しかし問題はネットじゃ音質がわからないこと。

 個人的にAVアンプはプリメインに比べて音がいまいちという偏見があった。5chなり7chみたいな多チャンネル向けに作られてるわけだし、同価格帯で2ch専用のプリメインに比べたらそりゃ劣るんじゃないかな~~というイメージがあったのだ。2人乗りのスポーツカーと7人乗りのミニバンみたいなもんじゃないかと。

前面はRX-V479、RX-V579共通。USBメモリーが聴けて便利(あんま使ってないけど)

RX-V479背面。HDMI入力が6個あるのはRX-V579とおなじ

RX-V579背面。7chなのと、端子の数がけっこうちがう(後述)

 そこでヨドバシカメラに行き、RX-V479、RX-V579、それぞれ音質を確かめさせてもらうことにした。RX-V479は5.1ch、RX-V579は7.2ch対応だけど、今のところまだそんな環境はないのでフロント2chの鳴り方を聞かせてもらおうと。

 試聴室に入り、2機種のアンプにそれぞれiPhoneをUSBでつないで、AAC 256kbps音源をダイレクトで鳴らしてみた。わたしの耳はプレイヤーもiPhoneでよければ、エンコードもMP3 320kbps、AAC 256kbpsで十分というコスパの良い仕様なので便利だ。ちなみにChilly Gonzalesというピアニストのアルバムなのだけど、これが鳴ってびっくり、めちゃくちゃ違った。

 まず3万円のRX-V479。コストパフォーマンスがいいことで気になっていたのだが解像感が気にかかる。ガラスを1枚隔てた感じで、ピアノの音がくもって聞こえた。まあAVアンプってこういうものなのかもねという感じがしてしまった。

 ところが4万3000円のRX-V579を聞いてみるとぜんぜんちがう。音の粒を感じる。ピアノを弾いているときの「パシッ」というハンマーの音(かな?)まで聞こえる。ギターとバイオリンのデュオなんかを聴いても印象はおなじ。説得力があるというかRX-V479に比べて解像感が段違いに高かった。よい! これはよい!

RX-V579。対応スピーカーならバイアンプにもできる

サブウーファーのプリアウトは2つ。何気にアナログ映像入出力も多い

 しかしなぜこんなにちがうのか。ヨドバシの人も「5ch用と7ch用でパワーアンプの差はあると思うんですけど」と、わかっておらず2人して首をひねった。

 ヤマハの人に聞くと、RX-V579はコンデンサーが変わったそうだ。セラミックからPML Cap(薄膜高分子積層コンデンサー)というフィルムに近いコンデンサーに変わり、ノイズが約40%ほど減ったんだとか。RX-V479は前と同じ。

 コンデンサーはルビコンとの共同開発。安定した性能・コスト実績から長年採用しつづけてきたセラミックからお別れした理由は、RX-V579がDSD 5.6MHzハイレゾに対応したため。ドルビーアトモスなど将来の3Dサラウンド対応も見越し、今のうちに音質のグレードを上げておこうと考えて採用したのだそうだ。

 なお上位機種のRX-V779は、PML Capを採用している上、ロームと共同開発した新しいボリュームICも採用。低ノイズ・ハイスルーレートになっているという。話を聞いてウッとなったものの、7万円台は予算オーバーなので見送った。

 しかしRX-V579の音質なら今あるプリメインアンプの代わりにしても我慢できる。そういうわけでヨドバシで4万円をバサーッと現金払い、RX-V579かついで帰ったのが先日の話。ウフフ鳴らすよ鳴らすよ~~~と妙なテンションでいろいろ試してみたのだけど、遊びはじめてみるとこれまた予想以上におもしろいのだ。

使い勝手:楽しいザンス!

 まずはテレビの音を出してみる。

 音を出すにはテレビとRX-V579をHDMIでつなぐだけ。わたしがテレビで何を見るかといえば衛星放送とhulu。テレビにはアマゾン版ChromecastであるFire TV Stickを接続。RX-V579にはそのままhuluの音が出る。らくちんなり。

 テレビとはHDMI(ARC)で接続しているので、リモコンでテレビをつければRX-V579もオン、同じくテレビを切ればRX-V579もスタンバイ。もちろんFire TV Stickもおなじテレビのリモコンで操作できる。便利。うちにお母さんはいないけど、お母さんが使うことになってもすぐに理解できるのではないか。

Fire TV Stickを起動。いま気づいたが金魚と神棚のバランスが妙だ

すべてテレビのリモコンで操作できる。HDMIってすばらしい

 HDMIは6系統と豊富で4K/60p(4:2:0)伝送対応、うち1つはHDCP2.2にも準拠。わたしは大してつなげるものもないけど、PlayStationやらWiiやらBlu-rayレコーダーやら、たくさん持っている人はセレクターとして重宝するはず。

 ちなみにFire TV StickにはAirPlayでミラーリングできるアプリがある。iPhoneもしくはMacの画面をそのまま映せることになり、動画ライフがたいへんはかどる。自分で撮影してカメラロールに保存してある動画を再生したり、意味もなく「ねこあつめ」の曲をスピーカーで聴いてニヤニヤしたりもできる。

Fire TV Stickのアプリで「ねこあつめ」ミラーリング。あまり意味はなかった

Safariの動画もミラーリングで映せる。夜にはエロ動g……げふんげふん

 つづいてMacBook AirからiTunesの曲をAirPlayで流す。

 Wi-Fiが必要になるけど、Wi-Fiの初期設定はiPhoneと同期させるだけなので簡単。いつもどおりiTunesからAirPlayを選び、RX-V579を設定して、iTunesで曲を選ぶだけで、スピーカーから曲が流れる。Wi-Fiが不安定なのか何度か音飛びしたのが気になるけど、まあそれはアンプのせいじゃない(たぶん)。

 テンションが上がったのはRX-V579がスタンバイ状態のとき、AirPlayで曲を再生するだけでカチッとスタンバイから起きること。「ウヒョ~、Airザンス!」となぜか口調がイヤミになった。魔法を使っている気さえするのであった。

iTunesもAirPlayでつなげる。再生するだけでスタンバイから起きるのが気持ちいい

こんなに近づける必要はない。たまに音飛びするのはWi-Fiのせいだろうか

 RX-V579はBluetoothも対応している。朝にはテレビをつけず「radiko」「らじるらじる」でそれぞれFM放送を聴いているのでうれしい。ちなみにチューナーとアンテナをRX-V579の背面につければラジオもそのまま聴けるそうだ。話題のワイドFMにも対応しているそうなのでそれも今度試してみたい。

 1つ前の「RX-V577」までBluetoothはオプション、別売りだったのだが今回からは内蔵になった。コーデックとしてはAACやSBCに対応していて、ミュージックエンハンサーというヤマハ独自の高音域・低音域補間技術にも対応。こいつでAACをBluetooth aptXに近づけようという話らしい。

 ちなみにわたしはまったく利益を享受していないのだけど、サラウンドスピーカーに仮想のサラウンドバックスピーカー効果をつける「バーチャル・サウンドバックスピーカー」というのがRX-V579の目玉機能。5.1ch環境でも7.1ch環境を体感できるという話で、もしかしたらそのうち試すこともあるかもしれない。

 いいかげん話が長いので終わらせる。最後はサイズとかデザインの話。

まとめ:満足した

 まずサイズ。縦にでかい。今まで使っていたプリメインアンプはラックの2段分だったけどRX-V579は3段を占拠する。後ろにWi-Fiアンテナがついているけど、高さギリギリで立てられず。まあ立てなくても使えてるから気にしない。

大きさを伝えるため、たまたま近くにあったスケバン刑事を置いた。伝わらないと思った

Wi-Fiアンテナを立てると入らなかった。下向きにしても問題ないので大丈夫

 操作系はリモコンがしょぼい。テレビに出てくる操作画面は輪をかけてしょぼい。昔のパソコンか。でもまあiPhoneのリモコンアプリが優秀なのと、普段そこまで複雑な操作をしないので気にならない(ただ、リモコンアプリからAirPlay時に操作できなくなっちゃうバグ?はちょっと難)。あと前面のパネルがショートカットボタンになっていて、長押しで設定を記憶させられるのは便利。

 デザインは可もなく不可もなく、昔ながらのデザインという感じ。黒でつやつや。チタンカラーだったりすると雰囲気が出るのかもしれないけどそこまでこだわりないから別にいい。今までAVアンプというもの自体を使ったことがないこともありパネルが鏡面加工なので汚れがつきやすそうなのはちょっと気になった。

しょぼい操作画面。めったに使わないので別にいい

前面のボタン長押しで設定を保存できるのは便利

リモコンアプリ「AV Controller」。Wi-Fi環境で便利に使える

 なんだかんだ書いてきたけど使い心地としてはめちゃ満足。便利。そしてなにより音質が満足できるというのがうれしかった。個人の感想です。

 なのだけど、試聴室で聴こえた音が家では聴こえなかった。なぜかと考えたらスピーカーだ。よくオーディオの世界ではスピーカー:アンプ:プレイヤーは4:3:3とか5:3:2で買おうとかいわれる。次はもうこのアンプをどうこうするより「4」もしくは「5」のスピーカーを買ったほうがいいんではないだろうか。

 そう思ったが最後、今度はそっちに物欲が移り、B&W「CM1S2」とか中古で出てないかなあとオークションを探しはじめることになるのであった。

追記:小社ウェブ担当のアリノさんがわたしの記事を読んで「RX-V479」を買ったらしい。あれはあれでいいものである。しかし「オイテメー!あのときあんなにRX-V479がいいって」と怒声が聞こえてきたので逃げようと思う。

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