12月8日、EMCジャパンはクラウド連携を実現する新製品とソリューションについて発表会を開催した。データ保護・長期保管のエリアにおいてクラウドとの連携を図るソフトウェア製品の強化や、高密度な新シェルフなどが披露された。
クラウドとの連携を3つの階層で実現
冒頭登壇したEMCジャパン マーケティング本部 部長 渡辺浩二氏は、昨今求められるITの俊敏性や体験価値やサービスレベルの向上、トータルのコスト削減を実現すべく、既存のITインフラに、クラウドやオールフラッシュアレイ、コンバージドインフラなど新しいテクノロジーを提唱してきたと語る。「特にクラウドのテクノロジーを、どのように使っていくのかが非常に重要になる」とのことで、今後の企業はクラウド戦略を実現すべく、シンプルで自動化された運用、あらゆる場所でのデータ保護、そしてクラウドとオンプレミスとの連携が必要になるという。
特に重要になるのは同社が「To The Cloud,FROM the Cloud,IN The Cloud」と呼ぶクラウドとの連携になる。EMCはオンプレミスとクラウドを連携させるべく、ストレージのスタックを「データレイク」「プライマリデータ」「長期保管」の3つの階層に分けている。
データレイクの階層では、EMC Isilonからデータを移行させ、直接階層管理できる「CloudPools」を11月から提供している。また、VMAXやVNXに格納されているプライマリデータは「CloudArray」でクラウドへの移行手段を提供する。そして、データ保護・長期保管の階層ではデータ保護ソフトウェアの「Networker」で「Data Domain」にデータを格納しつつ、「CloudBoost」を用いてクラウドへのバックアップを実現する。
長期保管の階層でクラウド統合を実現
今回発表されたのは、データ保護・長期保管の階層を担うCloudBoost 2.0とDataDomain OSのアップグレード、さらにNetWorker 9の3つになる。
CloudBoostはプライベート/パブリッククラウドへのデータの転送を行なう製品。最新の2.0では重複排除やWAN最適化、圧縮などの強化で、パフォーマンスを約2倍に拡大させたほか、ローカルキャッシュ機能を追加した。また、拡張性も向上し、データ容量を最大6PBにまで拡大。ファイルのチャンク化や暗号化などによるセキュリティの強化、仮想アプライアンスのみならず、新たに物理アプライアンスを提供する。バックアップソフトもAvamarのみならず、Veritas NetBackupがサポートされる。
データ保護製品であるData Domainも5.7にバージョンされた。おもにクラウド事業者がデータ保護サービスを提供するにあたって最適な機能として、容量管理・監視機能、セキュアなマルチテナント機能の拡張が行なわれた。また、高密度な新シェルフ「DS60」と4TBドライブをリリースし、最大59%というスペースの削減を実現。さらにData Domainシステムをオフラインにせず、拡張シェルフ間でのデータ移行が可能になった。
25年の歴史を持つというNetWorker 9では、ライフサイクルに従ったポリシーベースのバックアップ管理がより簡素化されたほか、「ProtectPoint」との統合を実現。また、ブロックレベルの保護を採用することで、パフォーマンスを大幅に改善した。さらにNetWorkerの仮想アプライアンスが用意され、サービスプロバイダーでの導入が容易になったという。
データ保護製品でのクラウド対応を強化したEMC。性能や機能の底上げ、仮想アプライアンスの提供などで、より現実的なクラウドとの連携を実現していくようだ。