通信料の多さはT-Mobile.atがピカイチ!
安定性は最大手のA1が優秀
ウィーンではベルリンよりも余裕があったので、スピードチェックも多くできた。測定場所は筆者が宿をとったピルグラム通りエリアのレストラン、ウィーンのシンボルで観光名所のシェーンブルン宮殿ベランダ、もうひとつのウィーンのシンボルである市民公園のシュトラウス広場、ザッハトルテで有名なホテル・ザッハーや世界有数のオペラハウスである国立歌劇場が軒を連ねるケルントナー通りの名店「カフェ・ゲルストナー」、そして空の玄関口であるウィーン国際空港の第3ターミナルという合計5ヵ所だ。各測定結果は次の通りである。
ピルグラム通り駅近郊のレストラン
- A1: 9.83/8.72Mbps
- T-mobile.at: 11.52/2.86Mbps
- 3: 4.03/1.47Mbps
シェーンブルン宮殿ベランダ
- A1: 9.84/8.30Mbps
- T-mobile.at: 0.75/0.25Mbps
- 3: 4.48/2.27Mbps
市民公園シュトラウス広場
- A1: 9.74/8.20Mbps
- T-mobile.at: 10.86/2.83Mbps
- 3: 4.80/2.28Mbps
カフェ・ゲルストナー
- A1: 8.78/6.94Mbps
- T-mobile.at: 9.23/8.60Mbps
- 3: 4.43/2.30Mbps
ウィーン国際空港第3ターミナル
- A1: 9.85/8.43Mbps
- T-mobile.at: 10.97/3.12Mbps
- 3: 4.53/0.87Mbps
LTEとして見ると若干物足りない気がするが、下りは各社ともおおむね10Mbps前後というまずまずの速度を記録した。また、元国営のA1より外資系のT-Mobile.atの方が速い場所が多いというのは非常に興味深い。しかしT-Mobile.atは、シェーンブルン宮殿の測定ではLTEにもつながらず、極端に遅い結果が出た。その後iPadで測定したところ、ベランダでのXperiaほど酷くはないものの、やはりLTEにはつながらずに下りが2Mbps前後だった。実はシュトラウス広場の測定時も、LTEの電波を掴むのにしばらく時間がかかっている。シェーンブルンの不調も同じトラブルが発生したかと思われるが、残念ながら詳細は不明である。
このXperiaのトラブルに関しては、もしこれが日本国内のロードテストならば、後日測定し直しをしたり、発表を控えたりしたかもしれない。だが今回はあえてトラブル時の結果をそのまま掲載している。その理由としては「ウィーンに旅行へ行く事なんて、そう何度もありはしない」というものだ。回線の正確な実力を知ることも重要だが、滅多に使うことのない環境下でこのようなトラブルが発生したということも重要な情報だと筆者は考えている。世界的な観光スポットで通信環境の実力を知ることが出来なかったのは残念だが、ご理解いただければ幸いだ。
話をスピードテストに戻そう。下り速度ではT-Mobile.atに一歩譲ったA1だが、上りに関しては安定して8Mbps前後を記録しており、こちらはなかなか優秀だ。カフェ・ゲルストナーのみ若干数値が落ちているが、それでも上下共にT-Mobile.atのような大崩れが無いところを見ると、流石は元国営と言ったところだろうか。容量も3GBとそこそこあるので、これなら綺麗な景色や美味しいお菓子の写真をSNSなどへバシバシアップしまくってもストレスを感じることはないだろう。実際筆者もいくつか画像データを個人のSNSへアップしているが、ウィーンではモバイル回線のアップロードでストレスは感じなかった。容量のT-Mobile.atに対して、安定性のA1である。
「3」に関しては、規制値通り4Mbps少々の下り速度である。3G回線ということを考えると充分に安定した優秀な数値なのだが、競合相手が倍の数値を当たり前のように記録しているところを見ると、流石に見劣りしてしまう。ドイツのO2もそうだったが、第3のキャリアにはもうひと頑張りしてもらいたいところだ。次回は最後、イタリア編をお届けする。