みなさん、まだSNSで消耗していますか?
「友達」に気兼ねするあまり、言いたいことも言えず、適当な日常を書いてお茶を濁すような日々。拾ってきた適当なソースを投げ合う左右対抗シェア合戦、カット野菜やらカビないパンやらのいい加減な都市伝説、それらはいつまで経っても止むことなく、まるで風土病のようにSNSにはびこり続けています。
そんな中で「Plag**」というアプリは、私の30年以上に及ぶネット体験の中でも独自のポジションを築きつつあり、たまに眺めては改めてネットワークの可能性を考えたりもできる、言ってみれば憩いのアプリのようになっています。
Plag**はインターネット時代のメッセージボトルだろうと思います。ショートメッセージや、写真、動画をインターネットの海に放り込み、それを誰かが受け取ってくれるまで待つ、というような。
Plag**がなにより素晴らしいのは、ほかのユーザーをフォローしたり、フォローされたりするわずらわしさのないことです。そして、どう考えても大ブレイクはしそうにないことでしょう。
情報との出会いは一期一会
Plag**の情報伝達は独特で、古典的です。まるで人力P2Pのように、ユーザーのバケツリレーで情報を拡散していきます。
まずログインすると、どこからともなく誰かの書いたテキストや、誰かの撮った写真が流れてきます。この投稿は「カード」と呼ばれています。このカードに「いいね!」を押す代わりに、画面をスワイプします。
おもしろいのは、ここでゲートキーパーの役をユーザーが担うことです。次のユーザーにカードを渡して拡散するなら上にスワイプ、渡さずにスキップするなら下にスワイプ。ユーザーの判断で情報が拡散したり、しなかったりするわけです。
どちらかにスワイプすると、別の誰かが投稿したカードが表示されます。ここで、もし前のカードが見たければ、端末をシェイクすることで戻れます。でも、戻れるのは直前の一枚だけ。つまりカードAを見てスワイプし、カードBを開いてまたスワイプし、そしてカードCを開いてしまうと、もうカードAを見る方法がないということです。
すなわちカードとの出会いは一期一会。検索でカードやユーザーを探し出す術もありません。これがPlag**の基本的な性格を決めているものと思われます。
ただ、カードにはコメントが付けられます。コメントのIDからユーザープロフィールや、もし書いてあれば、ほかに使っているSNSのアカウントなどを知ることはできます。したがって完全に匿名というわけではありません。
もうひとつおもしろいのは不思議とコメント欄が荒れないことです。これは一期一会の世界なので、出会いを大切にしようという気づかいが、自然と生まれるせいかもしれません。
(次ページでは、「投稿エリアが違うことで生まれるおもしろさ」)