Googleは病気などで手が震えてしまう人でも自分で食事ができるようになるスプーン「リフトウェア」を日本で発売しました。今回は、実際にリフトウェアを触れたので、詳細レポートをお送りします。
小さなコンピューターを内蔵したスプーン
リフトウェアは、Lift Labsという米国のスタートアップが開発した製品。Lift Labsは2014年にGoogleの次世代開発技術開発部門「Google X」に買収され、現在ではその1チームとして活動しています。
リフトウェアは加齢や本態性振戦などにより手の震えが現れる人が快適に食事をするための道具です。本態性振戦の原因は現在究明中ですが、パーキンソン病や脳梗塞であると言われています。これらの手の震えは強弱もさまざまで、重度の場合はペンをもつことはもちろん、スプーンやフォークで食事をすることは大変難しいとされています。そこで、リフトウェアはグリップ部にコンピューターと加速度センサーなどを内蔵。手の動きと震えを識別し、スタビライザーを動作。スプーンが安定するように、ほぼリアルタイムに震えに応じて制御をかけます。
実際に触ってみたところ、かなり不思議な感覚に襲われます。リフトウェアは横揺れにはまだ弱いものの、縦揺れにはかなり大きく揺れていても対応し、また強弱をランダムにつけてみても変わりありませんでした。それに、本体には電源スイッチがなく、基本的に裏返しておくとオフ(正確にはスリープ状態)、持ち上げると自動でオンになるので、電気が通る物だと忘れがちになります。
なお、スープスプーンの部分は取り外し可能。取り外した場合も自動でスリープになります。海外ではスープスプーンのほかにフォークやテーブルスプーンも用意されていますが、日本ではまだ未発売。ただし、日本版と海外版でスペック的な差異はないため、海外のものを購入して利用することは可能です。なお、Googleでは利用者の声に応じて、今後の追加パーツの販売も検討していくとのこと。
価格は4万7520円とやや値が張るものの、人間の基本動作である「食事」を自分でできるというのは、普段自分が思っているより重要なことです。もし身近な人で、老化や病気で手の震えが起きて苦しんでいる人がいればぜひチェックしたり、プレゼントに検討してみてはいかがでしょうか?