富士通研究所は9月28日、既存の光ファイバーを使用しつつもサーバー間の光通信を従来の2倍に長距離化する技術を開発したと発表した。
サーバー間を結ぶ光ファイバーでは現在毎秒25Gbpsの光トランシーバーが一般的に用いられており、1本で複数の情報を伝えるマルチモードファイバーが利用されている。光ファイバーの中では反射を繰り返して光が伝わるが、伝送距離が長くなると伝搬モード(反射の繰り返し)ごとに速度が異なるため、モード分散と呼ばれる現象によって高速特性が劣化してしまう。モード分散を低減する特殊な光ファイバーもあるが、既存の光ファイバーに比べて価格が1.5倍と高価で、すでに敷設されている光ファイバーを交換する必要があった。
富士通研究所が開発した技術は、送信側で光ファイバーに光を送り込む前に、直径が半分の中継光導波路を通すことで速度の遅い伝搬モードを低減、モード分散を低減するというもの。中継光導波路に合わせて、コア幅25μmの光送信器を開発。既存マルチモードファイバーを用い、伝送速度25Gbpsで従来の2倍となる200mの伝送を確認した。
距離が2倍になれば、従来の4倍のサーバーを接続できるようになるため、大型データセンターにおける分散処理能力の向上に貢献できるという。同社では、光トランシーバーの小型化を進め、2017年度の実用化を目指すという。