ウォークマンA20シリーズの進化した
ノイズキャンセル機能を大解剖
ではいよいよ、A20シリーズのノイズキャンセル機能を詳しく紹介していこう。基本的な仕組みとして、A20HNシリーズに付属するイヤフォンはノイズキャンセルのためのマイクを備えているが、ノイズキャンセル自体はA20本体で処理する。
ヘッドホンは、ソニーの対応モデルを別にすれば、他のイヤホンを組み合わせるとノイズキャンセルは機能しなくなるし、付属イヤフォンをほかのプレーヤーに接続してもノイズキャンセルが使えないのは同じだ。
ノイズキャンセル機能は、新たに開発した「インテグレーテッドDNCプロセッサ」を採用。ノイズキャンセルためのデジタル演算処理、ノイズの種類を判別するアナライザー、高音質処理や音質効果を加えるデジタルイコライザーなどを1チップ化したものだ。
言わば、このプロセッサーのおかげで、ハイレゾ再生+ノイズキャンセルや、ハイレゾ再生でもイコライザーなどの音質効果を重ねることができるわけだ。
早速ノイズキャンセル機能を試してみよう。まずは音楽再生なしの状態で、ノイズキャンセルのオン/オフを聴き比べてみた。カナル型なのでイヤホンを装着した状態でもそれなりに周囲の音は遮断されるが、それでも室内にいる人の会話は明瞭に聞こえるし、エアコンの送風の音なども耳に入ってくる。
これをオンにすると、主にエアコンの送風ノイズのような低周波の「ゴーッ」と低く唸っているような音がスッと消えていく。ただし、人の声はあまり強力に消してしまうことはなく、音楽を止めていればイヤフォン装着のまま会話も十分にできる。
ノイズキャンセルの性能としては、特別に強力というわけではないが、ノイズキャンセルによる音質の変化、音が鈍ったり高音にかすかなノイズが感じらたりといった悪影響はほとんどない。
環境選択では、従来通りに「電車・バス」、「航空機」、「室内」が選べるが、新機種ならば「フルオートAINC」を選択しておけば、自動で最適なものに切り替えてくれるので、わざわざ切り替える必要もない。
そして、ノイズキャンセルの量を調整できるので、特にうるさい場所などでは効果を高めてみるといいだろう。
中高域はクリアで、低音域のエネルギー感もなかなか良好
聴きやすいバランス
ノイズキャンセルの有/無も聴き比べながら、音楽を視聴してみた。ノイズキャンセルオンの状態でも、基本的な音質傾向は自然で聴きやすいバランスだ。
ノイズキャンセルをオフにすると、中音域がやや細身になり、ちょっと弱々しい感じになる。ノイズキャンセルオンの状態で最適なバランスになるように音質をチューニングしているようだ。
女性ボーカルは情報量が豊かで声の伸びや抑揚感がよく出る。ひとつひとつの音を粒立ちよく再生するくっきり型の再現だが、基本的な音質がナチュラルなので不自然な鮮やかさを感じるようなこともない。ジャズの演奏ではウッドベースの低音もなかなか豊かに出てくるし、モコモコと不明瞭になることもない。
特筆したいのは、音楽への没入度が高まること。イヤフォンの試聴でも、周囲の人のざわめきなどは多少なりとも耳に入っているようで、クラシックで音量が小さくなる部分になると周囲のざわめきが聞こえて集中が途切れてしまうが、さすがはノイズキャンセルだけあってそんなことはない。
ついつい音楽を聴き込んでしまいがちになるので、やはり路上や駅のホームのような場所では危険とさえ感じる。基本的には電車内などならば着席した状態で使うなど、移動しない場所で使いたい。
ちなみに、既存のハイエンドモデル「NW-ZX2」とオーバーヘッド型の「MDR-1A」の組み合わせで聴き比べてみたが、当然ながら細かな音のニュアンス、低音楽器の芯の通った力強さ、音場の広がりなど、音質的にはそれなりの差はある。
だが、A20HNに戻して聴いてみても、思ったより落差を感じなかったのも事実。むしろ適度なメリハリと音の勢いのある元気の良さでは、より好ましいとさえ感じるほどだ。
ハイレゾ音源ならではの音の自然さやディテール感も十分なレベルで、より楽しく音楽と付き合えるような気軽さがある。
(次ページに続く、「ハイレゾでもイコライザーの調整が可能に!」)
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