6月に急きょ立ち上がった、レッツノートコラボケースの企画。「その後、どうなったのよ?」と疑問を感じている読者がいたらごめんなさい。実は水面下で着々とプロジェクトは進行していたのだ。かなり具体的な形になってきたので、ここで一度、状況をご紹介しよう。
サイコーのノートはサイコーのケースで覆いたい
と言いつつも「何それ? 初耳」という人もいると思うので、経緯を簡単に紹介しておく。
編集部では6月に角川アスキー総合研究所の遠藤諭とともに、パナソニックのレッツノート開発チームを直撃。レッツノート RZ4の魅力を最大限に発揮するためには「専用に考えられたケースが必要である」と熱弁をふるった。
まずレッツノート RZ4は、モバイル環境で仕事をガッツリこなしたいヘビーモバイルユーザーにとっては夢のような存在である。重量約745gととびぬけて軽量であり、一般的なビジネスバッグであれば、縦向きに入れても十分なほどコンパクトなフットプリント。LTEでどこでも高速なモバイル通信まで可能である。
しかもキーのうちやすさ、画面解像度、そして性能や堅牢性などレッツノートならではの特徴も盛り込み、タッチ操作にまで対応する。
モバイルに特化したハードとしては完璧に近い仕様と言っても過言ではない。
しかし……、この利点によって、普通のノートでは気にならない贅沢な悩みも生まれてきた。それが、カバンの空きスペースという問題である。小型になったぶん、従来持ち運んでいたカバンの中にも余裕が出るが、なんとなくおさまりが悪くなるのだ。
一方、仕事で各地を渡り歩くユーザーであれば、カバンの中にはパソコン・あるいはスマートフォン、場合によっては筆記用具や紙の書類といった感じで、仕事に必要な道具がたくさん入っている。具体例を挙げれば、ACアダプターや変換ケーブル、USBメモリー、そしてモバイルバッテリーの類だ。空いたスペースにはこうしたアクセサリーがたくさん入っているはず。
パソコンが小さくなってもカバンのサイズは変わらない。そしてパソコン以外の荷物も持ち運ぶ。であれば、この空いたスペースを有効活用できないか? それが企画の発端であり、コンセプトだった。
それなら「弁当箱だ!!!!」と遠藤は叫んだ。そしてプレゼンして、パナソニック ストアの担当者に熱意を伝えた。これに数多くのカバンやカメラ・デジタル機器用のケースを手掛けるハクバが合流して、プロジェクトが一気に進展。レッツノートの商品企画担当や開発のプロジェクトリーダーを交えた真剣な議論も経て、遠藤、そしてアスキーが考える、サイコーのレッツノート専用インナーを作るプロジェクトが始まったのだ。
以上が、前回までの要旨。記事ではホワイトボードを囲みながら、担当者が侃侃諤諤やっている写真もチラ見せしたが、より具体的な形になってきた。
インナーに求められる条件とは?
弁当箱とは何か。映像をはじめとしたプロが持ち運ぶ機材を思い出してほしい。ジュラルミンケースに、整然と収まった機器とアクセサリーの数々。スポンジ素材を機材の形にくりぬいてすっぽりと収まるように加工したり、あるいは細かな仕切りで効率よく収納できるよう工夫されていたりする。
ビジネスマンが持ち運ぶ場合でも、大物から小物まで、ごく一般的なサイズのビジネスバックにピッタリと収まり、必要なものがどこに入っているか一目で理解できる。場合によっては中身だけ取り外してそのまま持ち出せれば便利そうだ。そして一律な形状ではなく、使い手が必要な部分だけを選択できれば、荷物の大小に応じて、最適化が可能だろう。
そんなユーザーがカスタマイズできる余地を残し、必要なものを無駄なくギッシリ詰め込めるもの。そこで思いついたのが弁当箱だ。
アルミやプラスチックでできた決められたスペースを仕切りで区切り、ご飯とおかずを入れる。開くと見た目も美しい。そんなインナーを一言で表現したのである。
とはいえ、結構難しさもありました
そんな話で盛り上がりながら、徐々に参加者たちのテンションも上がる。……しかし、実際に始めてみるといろいろ大変になってくるのも、モノづくりの難しさ。「やるなら早く、でもいいものを」。そのせめぎあいの中で、パナソニック、ハクバさんの多大なご尽力を得ながら、プロジェクトは進んでいった。
まず悩んだのはケースのサイズ。レッツノートRZ4は約19.5mmと薄型。これはスポイルしたくない。本体自体も頑丈に作られているので、カバンにラフに入れて使える気軽さをなるべく損なわないようにしたい。
次にデザイン。レッツノート RZ4はパナソニック ストアのカラー天板を含めて、コーディネートの楽しさも選べるモデルだ。できればその楽しさを共有できるように。などと突き詰めれば突き詰めるほど、欲が出てくる。
結果として図面レベルでのやり取りも増え、かなりの数の試作もこなした。7月の記事掲載から、8月末の現在まで、実はそのための濃密なやり取りを繰り返していたのだった。
レッツノートに必要なアクセサリーがお供する
そして今回ようやく「これならイケる!」と素直に納得できるサンプルが登場した。その詳細や機能、効果的な使い方は発売直前に改めて紹介するが、ここではその外観と特徴をチラ見せしてしまおう。
アスキーとパナソニックのコラボで生まれる(予定)のインナーケースの特徴はこんな感じ!
1. レッツノート RZ4と必要なアクセサリーを一体化して持ち運べる
弁当箱のコンセプトに則り、なるべくコンパクトかつ薄型に本体とアクセサリーを一緒に持ち運べるようにしている。
2. レッツノートの本体カラーにマッチするポップなカラー!
ブルー&カッパー、あるいはウォームゴールドやレッドの天板などレッツノートの色に合った配色でカラーを構成。また、メッシュ素材を利用し、無機質になりがちなビジネスグッズもちょっと楽しくできる。
3. 持ちたいものだけ持ち運べる、合体・分離コンセプト
ケースに付属する3つのポーチは、取り外して単体でも利用可能。またベースとなる部分だけをカバンに入れれば、仕切りとしても機能。ACアダプターを持ち運ばないのであれば、長いポーチを取り外し、折り畳み傘がちょうど入るぐらいのスペースもできる。
4. インナーケース単体でも持ち運べる!
小さなとってがついているので、パソコンだけ持っていければいいというのであればカバンなしでも利用可能。背面には書類や雑誌も入るので、社内移動の際、会議に必要な道具だけ持ち歩きたいという場合にも便利。
──などなど。
合体・分離のコンセプトにしたことで、活用の幅が広がるので、アイデア次第でいろいろな活用も思いつくはず。サンプルを見た遠藤は「これはある意味、桃太郎だね」とコメント。若干意味不明だが、桃太郎(=レッツノート RZ4)に寄り添う形で、イヌ・サル・キジ(=ポーチ)が同行すると、鬼を退治できるぐらい最強になるということらしい。
時間をかけて煮詰めてきた、レッツノート RZ4専用インナーケース。だいぶゴールが見えてきました! 皆様のお手元に届くタイミングも近いと思いますよ!