世界的に普及がはじまっている定額制音楽配信サービス。前回の記事で解説したように、世界最大手となる「Spotify」は、まだ日本でのサービス開始前だが、ブランド力の大きさではそれに勝るとも劣らない「Apple Music」のサービスがスタートし、ついに日本でも定額制音楽配信という新しいスタイルの普及が本格化しそうだ。
今回は、Apple Musicをより高音質で楽しむためのノウハウや、一緒に使いたいおすすめイヤフォンを紹介していく。
携帯音楽プレーヤーの高音質化の定番テクニックで、やはり効果が大きいのはイヤフォンの交換だ。もちろんヘッドホンでもいいが、屋外で軽快に使うことが主体となると思うので、イヤフォンの方が携帯性も優れているし、音漏れなどの点でも使い勝手がいいだろう。
一番お買い得!? 1万円以下とは思えない
立体的な音場の再現が魅力のiriver「ICP-AT500」
最初に紹介するのは、韓国の老舗オーディオメーカーであるiriverの「ICP-AT500」(実売価格7600円前後)だ。iriverはAstell&Kernブランドのハイレゾ対応の高級携帯プレーヤーが人気だが、それに比べるとこちらはリーズナブルな価格設定となっている。
1万円以下のイヤフォンというと、いかにも初めてイヤフォンを買い換える人におすすめな価格帯と感じる人も少なくないと思うが、このモデルは、高音質イヤフォンで定評のあるFinal Audio Designが音質チューニングを担当したモデルで音質的な実力もなかなかのもの。
使用ドライバーは8mm径のダイナミック型で、ラウンド形状のハウジングがボディーの共振を抑制し、ハウジング内の空気の流れを最適化することで、深くスムーズな低音再生と豊かな空間表現を実現している。
ケーブルは一般的な素材のものだが、平型形状を採用することでタッチノイズを抑制し、ケーブルの絡まりを防いでいる。イヤーチップは3サイズが付属。カラバリとして、ブラックとシルバー、ピュアゴールドの3色が選べるようになっている。
ラウンド形状はややヨコに長い感じで装着すると耳からはみ出しそうな印象だが、実際はそれほど飛び出すほどではなく、ちょっと手が触れた程度では外れるようなこともない。
その音は、低音のパワー感と勢いのバランスがよく、生き生きとしたサウンドが大きな魅力。ジャズを聴くと、リズムのキレは鋭く再現され、しかも深く響く重量感も不満がない。熱気やテンションの高さがよく出る印象で、その場に居るような臨場感が感じられる音だ。
ポップスでも、溌剌とした鳴り方は共通で、リズムのキレのよさもあって躍動感たっぷりに楽しめる。声の再現もクリアーで発音も明瞭だし、高音域の伸びも透明感があってスムーズだ。
細かく聴き込んでいくと、ディテールの再現性などでより高価なモデルとの差も感じるのだが、バランスのよさと躍動感のある鳴り方が気持ちよく、大きな不満を感じない。
非常にうまく仕上げられた音という印象で、1万円以下のイヤフォンとしては出色の出来。というか、1~2万円くらいの価格のモデルと十分に張り合える実力がある。
Apple Musicで、好みのアーティストのライブ盤をたくさん聴きたいというような人ならば、価格など気にせず一度試してみてほしい。その臨場感に驚くはずだ。
(次ページに続く、「1万円台でハイレゾ対応!! ラディウス HP-NHR21」)
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